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第54話 王の力の秘密

 俺とアリアは見つめあっていた。


「アリア……」


「竜一……」


 心なしかアリアの頬が赤い。

 きれいな空色の瞳に吸い込まれそうになる。

 そして、アリアの赤い熟れた果実のような唇。

 俺とアリアは顔を近づけていく。


「ちょっとたんま、たんま」


 唇と唇が触れあう直前、鏡美が制止する。


「お兄ちゃんたちがキスしたらなんかすごい危ない気がしてきた」


「なんだよそれ、お前がやれと言ったんだろ?」


「そうだけど、やっぱりダメ。ダメったらダメ!」


 なんとも気まぐれなやつだ。

 だが、このままいってたら俺もなにかヤバかった気がするから良かったのかもしれない。

 ‎そして、俺がアリアと体を離そうとしたとき、俺は突然バランスを崩した。

 ‎なんとか体勢を立て直そうとするが、そのままアリアの方に倒れこんでしまう。

 ‎気がつけばアリアの顔がドアップで目の前にあり、唇には柔らかい感触が。

 ‎俺はアリアとキスをしていた。


「ああ! ダメって言ったのに! なに押し倒してどさくさに紛れてキスまでしちゃってんの?! さっさと離れなさい!」


 俺は体をさっと起こした。

 左手に柔らかい感触が。

 アリアの胸を俺は触っていた。

 顔をリンゴのように真っ赤にして涙目なアリア。


 そのあと俺がアリアにボコボコにされたのは言うまでもないことだ。


 それから俺とアリアはなんとなくぎこちない感じになった。



 弟、竜司との戦いに備えて作戦を練らねばならない。

 やはりこういうことが相談できるのは叔父くらいだ。

 そこで、研究所に向かった。


 いつもの叔父の研究室だ。


「なに?! 竜司くんと戦うことになった?!」


 叔父が珍しく驚いていた。

 ‎難しそうな顔をする叔父。


「残念だが、勝てる見込みは全くないだろう」


 早すぎる結論に俺は反発する。   


「なんだよそれ? もう少し考えてくれても」


「いや、今からでも断ったほうがいい。

 お前が力に目覚めたのならまだしも、それもなしに立ち向かったところで勝負にならない」


「私もいるのにそう思うのか?」


 アリアもいい気はしなかったらしい。

 だが、叔父は相変わらず厳しい顔だ。


「多分戦いにすらならないだろう」


「あの者の能力とはなんなんだ?」


 アリアが質問する。


「竜司の能力か。

 先に言っておくがそれを知ること自体がとても危険を伴うことだ。

 ‎そして、話すことも危険だ。

 ‎前に鬼灯のご令嬢がそれで倒れたことがあっただろう。 

 ‎それでも知りたいかい、王の力を?」


 俺もアリアもうなずく。

 叔父は仕方がないという感じで話し始める。


「簡単に言えば、あれは鏡だ。光ではなく心を反射する鏡と言えるだろう」


「心を反射する? どういうことだ?」


 俺の問いに叔父が答えようとしたときだ。

 彼は突然苦しそうに頭をおさえはじめた。





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