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第49話 過去の真相

 俺が捲し立てたこともあって、鬼灯が再び話し始めるまでにしばらく時間がかかった。


「あの時のことをまだ……引きずってらしたの?」


 その発言がさらに俺をいらつかせる。

 ‎俺にとってはとてつもなく大きな問題だ。


「まだってなんだよ?!

 当然だろ!

 明らかに人間扱いされてなかったからな!

 ネズミのオス呼ばわりされたんだぞ!」 


「……だって」


「だって、なんだよ?」


「だって、だって、仕方ないじゃありませんか?!

 結界の能力がなければこの世の中では認められませんわ!

 私1人だけがあなたの味方をできたと思いまして?!

 そこまで私は強くありませんわ!」


 涙目になりながら自分の正統性を主張してくる鬼灯に怒りしか感じない。


「だからってな、いじめる側に加担にしていいと思ってんのか?!

 開き直るんじゃねえ!」


「自分の身を守るためです! 

 なにも楽しんでやっていたわけではありませんわ! 

 ‎やむを得ないことです! 

 ‎あなただって私と同じ立場であれば、同じことをしていたはずですわ!」


「だからって、断り方があるだろ?!

 って、まさか、あの告白の時、誰かに聴かれていたのか?!」


 そこで躊躇いがちに鬼灯は答えた。


「……ええ、ええ、そうですわ。あなたが私に告白するということは事前にみんな知っていましたわ!」


「なんで、ばれたんだ?! お前から漏れる以外、考えられないじゃないか?!」


「それは……」


 鬼灯は俺から目線をそらした。


「なぜ、そこで言いどもる? 

 言えよ、言うんだよ! 

 ‎お前が他のやつに漏らしたからそんな事態になったんだろ? 

 ‎だったら、悪いのはお前じゃねえか?!

 ‎なんで漏らした?

 ‎誰に言ったんだ?!」


 俺の剣幕に圧倒されたのか鬼灯は泣きはじめる。

 ‎それが余計癪にさわる。


「おい、女だから泣いたら赦されるとか思ってんじゃないだろうな?!

 言え、言いやがれ!」


「お兄様……です……」


「なに?! 副会長? あいつに……」


 意外な人物の名前が出てきて、俺は戸惑いを隠しきれなかった。


「ええ、ええ、そうですわ!

 私はあなたに呼び出しを受けた時点で、私はどうしたらいいのか分からなくて。

 ‎それでお兄様に相談したら、あっという間に話が広がって……。 

 私はあなたをこっぴどく振る役目を与えられたのです。

 私とあなたの二人が話している様子を影で録画して、みんなで後で見て……」 


 あいつのせいだったのか。

 あいつが鬼灯にあんな言葉を言わせたのか。

 俺を晒し者にするために。

 だが、一つ疑問が残る。


「そのことをなぜ今の今まで黙っていたんだ?」


「言えば、あなたは必ずお兄様にやり返そうと考えるのが分かっていたから……。お兄様とは戦っていただきたくありません!」


「そういうことか。だが、なんにしても俺は復讐すると決めてる。お前がどう言おうとな」


 鬼灯はいつにも増して、意志の強い瞳で見つめてくる。


「本当に分かっていませんのね! 

 今のお兄様はあなたなんて殺そうと思えば一瞬で殺せるのです。

 お兄様の能力は桁外れなので、生徒会長以外誰も口出しできませんわ! 

 お兄様は人を何人も殺めているのです。

 だけど、逮捕もされません。

 そんなことをしたら暴れて何が起こるか分からないからです!

 さっきのアリアさんとの戦いでも実力の1%も出しているかどうか」


 それが鬼灯なりの俺に対する優しさってことなのか。

 鬼灯がただ性格の悪いやつというわけではなかったのかもしれない。

 俺はずっと勘違いしていたのか。鬼灯に対して少し申し訳ない気持ちになってきた。


 それはともかくあの副会長はがっつり俺の復讐対象だったわけか。

 なら叩きつぶすだけだ。

 あいつですら弟には敵わない以上、無敵ではないはず。

 アリアに対していきなりあそこまでやるのだから、相当手強いのは間違いないが。

 

 そんなことを考えているうち、インターホンが鳴った。

 

「誰かしら? すぐ戻りますわね」


 鬼灯は涙を軽くハンカチで拭うと部屋を出ていった。

 それからしばらくして、早足で鬼灯が戻ってくる。

 顔が真っ青だ。


「どうしたんだ?」


 鬼灯にそう言った瞬間、頭痛がして俺は顔をしかめた。


「か、会長が。生徒会長が来られましたわ!」


「なに?! 弟が?!」


 竜司が?! 何をしに来た?!


  



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