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第35話 竜一の結界

「俺はお前に守られるくらいなら、アリアに殺されるほうがいい!!」


 俺はこれを鏡美に対して本気で言った。

 さすがの鏡美も無言だった。

 俺はアリアと睨みあう。


「竜一、お前はこの場面では鏡美に頼るのかと思っていたが、思っていたほどの腰抜けではなかったか」 


「ただの男の意地だ」


「女子供に守ってもらってきたお前にまだそんなものが残っていたとはな!」


 アリアの発言に俺は完全にぶちぎれた。


「アリア! 言っていいことと悪いことがあるぞ! 

 お前こそ使命に逃げてるだけだろうが!」


「それで使命を果たせるだけまだましだ!! 

 お前は周りのものに迷惑をかけるだけだろう?!」


 立場の違う者同士、お互いに傷をえぐりあう。


「だったら、ちょうどいい! 

 お前に殺されたらもう誰の迷惑にもならないし、お前も使命とやらに戻れるしな!」


 そう言ったときだった。

 アリアが腰にさしていた水鏡の剣が光りだす。

 そして、あの銀の蛇がぬけだしてくると、アリアの体を這って、彼女の左腕に巻きつく。そのあと、俺の方に伸びてきて右腕に巻きつく。


「これは?!」


 この現象は今まで俺がピンチのときにしか起きなかったことだ。


 そして、俺の足元が赤く淡い光を放ちはじめた。

 ‎正確には俺を中心とする小さな円が光りだした。

 

「きゃあ!」 

 

 近くにいた鏡美が吹き飛ばされる。


「鏡美?! なにがどうなって?!」


 足元の光の輝きは一層強くなる。

 ‎アリアが立っているところも含まれている。 

 おそらく光っているのはちょうどアリアが動ける範囲内。


「竜一、これは?!」


 考えられる可能性は1つだ。


「俺の結界が勝手に発動してる?」


 俺を中心とした約2メートルの円、つまり結界の発動としか思えなかった。


「お兄ちゃん!」 


 さっき吹き飛ばされた鏡美が近づいてきたが、結界の中に入ろうとした瞬間。


「きゃっ!」


 赤い火花が散って鏡美は外にはじかれる。


「鏡美!」

「お兄ちゃん!」


 結界は輝きを増し、視界は真っ白になった。


 

 気がつくと俺は冷たい床に倒れていた。

 ‎起き上がってあたりを見渡す。

 ‎床や壁を見る感じ、石造りの建物らしいが全く見覚えのないところだ。

 ほこりまみれの古びた机や椅子。

 ‎あちこちにクモの巣が張っている。

 ‎近くにアリアが倒れていたので起こす。

 ほどなくアリアも目を覚ます。


「竜一……。

 ん? ここは? 

 竜一の部屋ではないようだが……」


 アリアは立ち上がって周囲を調べ始める。

 机の上のボロボロになった本を見ると。


「こ、これは?!」

 

 アリアは驚いたように本を落とした。

 そして、窓から景色を見る。


「こっちに来い、竜一!」


 アリアに促されて窓際に近づく。

 窓からの景色は見たこともない紫色の空。

 広がる平原と森と遠くの山々。

 ここは塔のようで、高く見張らしは良い。


「竜一、この景色は見覚えがある」


 アリアは俺の方を見た。


「ここは私の世界だ」

         


 

  


  ‎




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