第29話 対生徒会作戦会議
俺はこれまで自分の復讐さえ成し遂げればいいと思っていた
だが、アリアと話して、そうではないことを悟った。
力のあるアリアがその力のせいで自由を失い、つまらない義務や使命に縛られた人生を過ごさねばならないなんてありえない。
あってはいけないことだ。
俺は復讐以外にアリアを使命から解放することもこれからの目標とすることにした。
だが、魔王なんてどこにいるかも分からない敵よりも、目の前の敵に対する復讐が優先だろう。
俺は弟の竜司に復讐せねばならない。
そのために鬼灯から情報を得ようとしたが、先日のように鬼灯が体調を崩す事態に陥った。
直接、竜司のことを訊きだそうとするのは危険だ。
竜司に勝つためには竜司に挑むしかないが、その資格はSA組に入ることだ。
B組で多数決で同意を得られたら、SA組に入るための公式戦の資格が得られるが、俺と鬼灯は先日公式戦を行って、B組にクラス替えになったばかりだ。
少し間を開ける必要がある。
考えた末、生徒会メンバーについて、鬼灯から情報を得ることにした。
「生徒会の役職は生徒会長、副生徒会長、会計、書記、中等部生徒会長で占められていていずれもSランク以上の生徒から選出されますわ」
「鬼灯、生徒会長への挑戦権はどうすれば手に入る?」
「生徒会長と副生徒会長以外の3人を公式戦で破った上で、副生徒会長に挑戦できますわ。その上で副生徒会長に勝利することですわ」
「じゃあ、今度は会長以外の役員メンバーの具体的な情報がほしい」
鬼灯は深くため息をつく。
「正直オススメしませんわ、特に副会長は」
「副会長は鬼灯の兄さんだったよな」
鬼灯はコクりとうなずく。
「そんなに強いのか、鬼灯のお兄さん」
「ええ、あなたが思ってるよりも」
「鬼灯、B組全員を倒して、お前を助け出した俺よりも強いってのか?」
俺の声に怒りが混じっているのを、鬼灯は察したようだ。
「あなたはとてもお強いですわ!
私をあの状況から言葉通り脱出させてくださったのですから、あなたは私のヒーローですわ!」
言い終えて、顔を赤らめる鬼灯。
「それとその鬼灯というの、よそよそしいですわ。あなたには特別にみなわと呼ぶことを許して差し上げますわ」
「じゃあ、これからはみなわと呼ぶことにするよ」
「ええ、よろしくてよ」
この女の変貌ぶりを見るとますます女というのは信用できないと俺は思うのだった。
その後、鬼灯は副生徒会長の鬼灯朽長と会計、書記の家戸姉妹の能力について説明してくれた。
「中等部生徒会長は……」
「いや、それはいい」
鬼灯が言いかけたところで俺は止めた。
「それもそうですわね」
「どういうことだ?」
アリアだけがよく分からないという顔をしている。
「中等部生徒会長は、鏡美だからだ」
「なに?!」
アリアはひどく驚いていた。




