第15話 結界の起源
俺の隣に叔父は座った。
目の前にはアリアが寝ている。
「夢想結界の起源?」
俺は非常に興味ひかれた。
「そうとも。
力を発現するきっかけはあった」
「その起源ってなんなんだ?」
俺の問いに答える叔父は普段より真面目な印象だった。
「少し昔話になる。
かつて人は楽園にいて不老不死だったという。
だが、楽園を追われてしまった」
「不老不死……」
「不老不死を求めたとある研究者が、150年前にその楽園の跡地を見つけた。
そこに一本だけ残っていたある木の実を持ち帰った研究者は、不老不死にはなれなかった。
だが、ある日結界の力に目覚めたんだ」
「それが結界の起源?」
「そう。
その木の実は知恵の実なんて呼ばれることもある。
だが、正確には善悪の知識の実という」
「善悪の知識の実……」
「でも、この結界の起源については極秘のこと。
だから他の誰にも言わないでくれ」
そう言って叔父は口元に人差し指を当てた。
「どうしてその極秘を俺に聞かせることにしたんだよ?」
「今のままでは君の復讐は頓挫するだろうからね。
だが、結界の起源を知っていれば、
何かの役に立つかもしれないと思ってね」
「どうしてそれを?」
「見ていれば分かるよ」
「なんかその言い方、嫌なんだが」
「アリアくんは今のままでもかなり強い。
あの剣が鞘からぬけた状態ならば、
君の結界ランクAはある
だが抜けなければCというところだろう」
「Aランク!」
俺は思わず声をあげた。
叔父はそんな俺の顔を見て去っていく。
Aランクは非常に優秀なので俺は内心嬉しかった。
結界にはランクが定められている。
下からF、E、D、C、B、A、S、SS。
結界の範囲や効果など総合的に算出される。
しかし、手っ取り早くランクを上げる方法もある。
それが結界戦である。
ランクの上下は勝敗によって決まる。
学校ではランクによる厳格なスクールカーストが存在している。
俺の怒りはヒエラルキー、
スクールカーストを根底から覆すことを欲している。
当然その頂点に君臨する「王」をたおさなければならない。
善悪の知識の実、それが結界の根源。
ならば、善悪の知識の実とはなんだ。
それが分かれば、「王」に届くのだろうか。
今日は三連休最後の日。
まさか、明日登校してさっそくその「王」に会うことになるとはこのときの俺は思いもよらなかった。




