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第1話 出会いと能力発現は唐突に

初投稿になります。

1話~16話は約2500~3000字に、

17話以降はさらに少ない分量の1500字程度に

するよう努めています。

至らないところは多々あると思いますが、お読みいただけると嬉しいです。



《重大報告》タイトルを変更しました

変更前「夢想結界~異能で召喚した美少女騎士と俺の距離は最大2m」


変更後「夢想結界~異能で召喚した美少女騎士と俺は最大2mしか離れられないが、これでいじめたやつらに復讐する!~」

内容には変更ありませんのでよろしくお願いいたします。

 夢想結界とは異能である。

 これは早ければ5歳ころに、遅くとも12歳ころまでにはほぼ全員が発現する。

 

 しかし、それを過ぎても発現しない者もいる。

 すでに高校2年の俺のように。

 

 容姿、頭脳、人柄、人脈、運動能力、家柄、資金力など。

 たとえその全てが揃っていても、この異能が発現しなかったなら、人として欠落したものと扱われる。

 

 俺は異能がないために辛酸をなめてきた。

 誰からも評価されず、逆に蔑まれ、いじめにもあってきた。

 

 そんな日々に絶望していたある夜のことだ。



 俺は暗闇の中、自室のベッドで仰向けになっていた。

 そして、生命の危機にあった。


「動くな。私の問いに静かに答えろ」


 その声は上から聞こえてきた。女性の声だというのは分かったが、ぞっとするほど押し殺された声。



 ベッドの左横には窓があり、カーテンの隙間から入ってくる街灯の光だけが、視覚の唯一の手がかりだ。


 それでわかることは、俺の真上に人が立っていて、鋭利な刃物を俺に突きつけているということだ。


「ここはどこだ? お前がかの魔王か?」


 意味がよく分からなかった。

 俺の手足はがたがた震えていた。

 すると、苛立ちまぎれの舌打ちが聞こえた。


「おい、死にたいのか?」


 剣の先がゆっくりと俺の額の上を這う。

 そして流れてくる少しぬめり気のある液体が血だと分かった瞬間、声にもならない音が口から飛び出た。


「ふう」


 すると、そこで女性の大きなため息。


「こんな腰抜けが魔王なわけもないか」


 剣の主は一歩下がると、脇に差した鞘に剣を納めたようだ。

 そして、カーテンを開けると、街灯の光が射し込む。

 

 まぶしさに思わず一瞬目を閉じたあと。

 空色の両目と金色の長い髪と赤い小さな唇。

 気の強さを感じさせる整った顔立ち。

 しかし、どこか憂いのある表情。 

 年の頃は高校生くらいのとても美しい少女がそこにはいた。 


「ここは、どこだ?」


 彼女は窓の外から俺へと視線をうつした。

 俺は大空のような彼女の瞳に吸い込まれそうになった。



 夜中の12時過ぎ。

 部屋の灯りをつける。

 彼女の透けるような白い肌は目を引く。

 女騎士、という言葉がぴったりな彼女の衣装もだ。

 体にフィットしていて動きやすそうな白銀の甲冑には、竜をかたどった金の模様が複数あしらわれていた。

 

 また、剣の柄と鍔はそれぞれ竜の首と頭を模したYの字型をしていて、竜の開いた口が鞘にかぶりついたような凝ったデザインだった。

 

 背中には短く赤いマントが腰くらいまである。

 その上に彼女の長いブロンドの髪がかぶさっていた。

 

 総合すると、コスプレ趣味の外国人の少女だろうか。

 だが、異世界から来たという可能性も限りなくゼロではあるが考えられる。

 異世界と思われるところから動物が召喚された例はまれではあるが存在することが知られている。

 なにはともあれ彼女が日本人でないことは確かだろう。

 身長は同居してる従妹より少し高いので160cmくらいか。



 俺と彼女は向かいあって立っていた。

 俺の視線は彼女のまわりをさまよっていたが、彼女の視線は俺に固定されて微動だにしない。

 しばしの沈黙のあと。 

 彼女の右のこぶしが強く握られるやいなや、


「おい、お前」

 

 彼女の右手が俺の胸ぐらを掴んでいた。

 

「ここはどこだ? 

 なんという国だ?

 知っていることを全て吐いてもらおう」


 俺は無意識に両手を上げる。

 降参のポーズである。


「に、日本です」


「ニホン? そんな国名聞いたこともないな。

 それよりまず、お前が魔王やその配下かでないか一応調べさせてもらう」


 そう言うと彼女の右手は左脇に差した剣の柄に伸びた。

 だが、察するに剣を抜こうとするが抜けないようだ。 

 剣の(つば)の竜の口が鞘に食いついて離れない。 

 それを何度か確認すると少女はため息をついた。


「すまなかったな。

 どうやらお前は魔王やその手下ではないらしい」

「え?」


 いまいち意味が分からず、俺は首をかしげた。


「この剣は水鏡(みかがみ)の剣といってな。

 魔王やその配下のものの前では鞘から抜ける。

 だが、そうでないと抜けないというものだ。

 お前は魔王やそれに属するものではないようだ」


 彼女はばつが悪そうに咳払いをした。

 そして、ためらいがちに口を開いた。


「ところでその、お前、名前はなんというのだ? 

 いや、待て」

 

 彼女は右の手のひらを見せるジェスチャーをした。


「私から名乗るべきだったな。

 私はアリア・ウヌ・カルハイ。

 アリアでよいぞ。で、お前は?」


 なんかミドルネームらしきものがあるではないか。

 王族かなにかっぽいと思うと肩にますます力が入る。


「お、俺は鳥羽竜一といいます。竜一でいいです」


 彼女から先程までの殺気のようなものは消えている。

 が、年齢は同じくらいでも丁寧語になってしまう。


「では、竜一。よろしくな」


 握手を交わす。

 そのときのアリアの笑顔は忘れられない。


「竜一」


「なんですか?」


「どうもここは私が元いた世界ではないらしい。

 竜樹さまの存在を感じない」


「竜樹さま?」


 俺が怪訝そうな顔をすると、アリアは頷いた。


「お前が竜樹さまのことを知らないということ。

 それはここが私が元いたのとは異なる世界である証拠。

 魔王のことも知らなさそうだったしな。

 やはり、そうか」


 アリアは俺に背を向ける。

 部屋の扉のほうにゆっくり歩いていきながら、


「私はここから入ってきた。

 この扉から戻れるのではないか」


 そう言ってアリアは扉に手を触れた。

 その瞬間。


「ぐっ?!」


 アリアは体をびくつかせると膝をついた。

 それはまるで感電したように見えた。


「大丈夫ですか?」


 彼女はゆっくりと立ち上がった。


「なんだ、この扉。結界でも張ってあるのか」


 彼女はもう一度おそるおそる扉に手を伸ばす。

 指先が扉に触れるか触れないかのところで、赤い火花がアリアの指先と扉の間に走った。


「これはひょっとして」


 アリアはなにを思い立ったのだろう。

 パントマイムのように、おそるおそる見えない壁でも触るような動きだ。

 それで彼女の指先のあたりの、何もない空中に、時々赤い稲光のようなものが現れた。

 そうやって辺りを触りまくる。

 何周かすると、アリアは頷いた。


「なるほど」


 そして、アリアは俺のほうを改めて向き直った。


「お前を中心に丸い結界が張られているようだ」


「えっ? それってどういう?」


「私はその結界から出られない」


 アリアは深くため息をついた。


「つまり私はお前から離れられないということだ。

 数歩の距離しかな」


「ええっー!?」


 夜中であることも忘れて俺は叫んでいた。

 数歩といってもその距離はわずか2(メートル)ほど。


 だが、叫んだのは束の間だった。

 アリアの視線は冷たく光っていた。


「やはりお前が結界を……」


「でも、俺は結界なんて」


 そこまで言いかけて俺は一つの可能性に気がついた。

 ほとんどありえないがひょっとしたら。


「結界が、発現、した、のか?」


 

 夢想結界とは異能の結界である。

 この結界は結界使用者を中心とした円形のものである。

 結界の展開と発動は原則、結界使用者の意思による。

 結界の範囲や異能の種類、効力の大きさは個人によって千差万別である。

 1人につき1種類の異能しか扱えない。

 

 この物語は結界という異能になかなか目覚めず、それによって虐げられてきた俺、鳥羽竜一の復讐の物語である。


 その復讐の先にどんな運命が待ち受けているのか、このときの俺は知るよしもなかった。

少しでも面白いとか、続きが気になる

と思ってくださったら、

そのままお読みください。

よろしくお願いします!

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