平和な世界の話
そんなに人間たちはすごいことをしていないです。勢いだけで決めた設定を垂れ流すだけのものです。それでもいいよ、どんと来い! な方はどうぞお進みください。
へっ? 面白い世界の話は無いかって? ああ、ちょうどいい話がある。こことはちょっと違う世界の話さ。
その世界には四種類の種族が居た。猫耳や犬耳が生えてて、対応するしっぽなんかも生えてる、少し脳筋だけど義理堅い獣人。すらっとした体形にきりっとした顔の耳がとんがっているお堅い、だけどなんだかんだ愛情深いエルフ。ちまっとした姿にぷにっとした体、だけどその体に宿る力強さはどの種族にも負けないドワーフ。あと、君たちと同じ人間だね。
それで、悲しいことにそのうちの獣人とエルフとドワーフは争ってた。理由? 知らないよ。戸棚に隠してたお菓子を取られたとかじゃないかな? まったく、世界共通の敵として魔物もいるのに何してるんだって感じだよね。
えっ、人間? ほかの種族に比べて戦い向きでないのもあって、中立だったよ。まあ、すべての人間が戦いに関わってなかったかと言われればそれは違うよ、って言わないとね。人間は傭兵だとか商人だとかで三つの種族の間をぶらぶらしてたって感じかな。
まあ、そんな風に争いが続いてたある日、獣人の方に雇われた人間の傭兵が居たのさ。魔物を切り払い主力を温存するための人間の傭兵。その人は人間の中では強くて割と獣人の偉い人にも気に入られてたみたいでね、何回か食事に誘われることもあったとか。それでその食事の場で言ったんだよ。彼の性癖を。
「俺はすらっとしたスレンダー体形が好きだ! ついでに耳はとんがっていてきりっとした真面目な子がいい!!!!」
「ほう、獣人の中でもそのようなものは希少ですが……想像するとなかなかにいいですな。さすが私の見込んだ人間だ」
そして、こんな風に獣人のお偉いさんに受け入れられてねぇ。こうして、獣人の将軍の中にすらっとした体形好きの人が増えた、というか流行ったのさ。
なんとなく察しが付くかな? 将軍がエルフと争っているところに助っ人に行ったわけだけど、その時の将軍の反応は、
「なんという事だ……俺の好みのタイプの子ばかりじゃないか! 戦えるかぁぁぁ!!」
と、こんな感じ。地面に四つん這いになって悔しさに涙を流しつつ肉球でポフポフ地面を叩いてた。
このときさらに面白いのが相手のエルフ、明らかな大チャンスだったわけだ、なんせ獣人側の助っ人が謎の行動をし始めて仲間の獣人は戸惑っていたわけだから。だけど攻めれなかった。なぜかって? それは、
「あんな、かわいいモフモフを手にかけるなんて私にはできないぃぃぃ!!!」
「むしろ、守る! モフモフは私たちが守るぅぅぅ!!!」
と、エルフの方も助っ人に呼んでいたエルフが全力で涙を流したり、妨害に走ったりしたから。もちろんエルフの方もあの人たちに何があった!? と、混乱の中だったわけで、なんかもう混沌になったから、両種族とも引き上げていったわけだ。
え? なんでエルフもそんな愉快なことになっていたのかって? それは人間の吟遊詩人が冒険譚を語る中でエルフの長に気に入られて、
「このようなモフモフが私は好きなのです。それにこのふにっとした感触もいい」
というように新しく手に入れた服を自慢していたところから、エルフの長の何人かがケモモフに魅入られたってところだね。
戦いにならないから、何人かはドワーフの方に配属されたみたいだけど、そこでもまた面白いことが起きる。図らずも同時にドワーフ側の戦力を強化した獣人とエルフだったけど、ドワーフを攻めることはできなかった。ケモモフ嗜好に染まっていないエルフや、エルフ好きに陥った獣人が先頭にいた訳ではない。あ、ちなみに後方に配置されてたそんなエルフと獣人は連絡先を交換してたみたいだね。
まあ、最前線で起きたことを簡潔にセリフで表現すると、
「ああ! ロリっ子、ショタっ子! 守らないと! この世の宝よぉぉぉぉ!!!」
「ちっちゃかわいいものはいい! よくわかってるじゃないか、そこのエルフ!!」
「わー、夢にまで見たモフモフだー! 敵? かんけ―無い!」
「あら、あなたも見どころがあるわね」
「すらっとした美人……好きだ!」
「お前もな、どうだ、今度ぷにっとした肌の良さについて語らないか」
「あ、モフモフ素敵……」
こんな感じ。先ほどの獣人とエルフの戦いの場以上の混沌が訪れたってこと。
なんでこんなことになったかって? 人間の傭兵や吟遊詩人は一人じゃないってこと。それぞれが自分の持つ趣味嗜好を行く先で語ったことで、エルフ、獣人の中には子供好きも多数存在してたわけだ。
じゃあ、ドワーフもそうなのかって? そうだね、ドワーフの方は人間の商人が持ち込んだ商品が原因だったっけ? ちなみにその商人はエルフスキーでケモナーだったらしい。趣味嗜好を広めたいがために商人をやってる変わり者って、人間の商人の中では有名だったとか。
まあ、そんなこんなで、ケモナーになったエルフとエルフスキーになった獣人が交換していた連絡先で、仲介に人間のロリコン傭兵とケモナー詩人と業の深い商人を用意して、ケモナーでエルフスキーなドワーフの代表と、子供・モフモフ好きなエルフの代表と、スレンダーまたはつるペタ好きな獣人の代表が、それぞれもっと交流しようと血走った眼で調停を結んで、世界は平和になりました。
めでたし、めでたし。
カルボナーラ食ってて思いついた設定
争いが、エルフスキー、ケモナー、ドワーフスキー、の手で終結する
アオニシキでした