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任務:取り残された冒険者達を救い出せ!!・三

「クルシュさん!!」

 

少女は泣き叫ぶ。

彼女は自らの奇跡を行使し、傷を癒そうと必死になる。

せめて、生き残った彼女だけでも、と。

 

しかし…

 

「げひゅっ!!…ゴホッ!!」

 

口から血の塊を吐き出す。

 

「……で…」


苦しげに、彼女は何かの言葉を捻り出した。


「な、んで…あんた…だけ…。」


クルシュと呼ばれた少女は、それだけを言うと、その眼球を裏返して事切れた。


「あ…あ…」

 

少女は自分の両頬に爪を立てる。

ボロボロと涙を流して、血が流れるまでかきむしる。

 

「ああぁぁぁああぁああぁあ!!!」

「…止めろ。」

 

何も、それだけしか言えなかった。

人の死を目の当たりにするのは、これで四度目だ。


何度でも慣れることは無いだろう。

 

「ごめんなさい。」

 

アリスは、彼女の首筋にバチバチと音の鳴る棒を押し当てた。

 

「あ…か…っ」

 

糸が切れた人形のようにパタリと倒れる。

俺は彼女を抱き起こし、肩に担ぐ。

 

「クリス…戻ろう…。」

「…ああ。」

「…あなたは悪くないわ。だから…」

 

その先は聞き取ることが出来なかった。半ば俺が放心していた、と言うのもあるのだろうが…

 

『弱キ者ヨ…』

 

それ以上に、俺の意識が別のところに向いていたからだろう。

 

「…あの時の…騎士…!?」

「く、クリス!!」

「な、なんだ…あいつは…!?」

  

黒い外套を翻し、片手で扱うには少々大振りな剣を携え、髑髏の面から蒼い眼光を光らせる、大柄な人影が、こちらに迫っていた。

 

○○○○○○

 

担いだまま、腰のバトルナイフを構えた。

それに倣うように、ダリルも自らの得物を構える。

アリスはいつでも支援が出来るように、ボウガンを構える。

 

「…あそこを、突破するぞ。」

 

俺の囁きに頷く二人。

俺達三人なら、何とか切り抜けられるかも知れないが、意識を失ったままの女を一人担いだまま戦うような自信も技量も無い。

 

「オォォォオッ!!!」

 

ダリルが盾を構えて突進する。

 

『オォッ!!』

  

騎士も突然の攻撃に対してその得物を振るうが、大きな金属音を立てて弾かれた。

 

ダリルの盾は錬金術で強化された特別製だ。

そう易々と壊されるような物ではない。

 

アリスも、的確な射撃で鎧の隙間を狙う。

 

『グゥゥ……オォッ!!』


騎士は、なぜか真っ直ぐに俺を狙ってくる。

迫り来る剣戟をナイフでいなすが、じりじりとダンジョンの奥へ押し込まれていく。

 

二人の攻撃など全く意味を成していなかった。

と言うか、ボウガンの射角、そして槍の先に俺が居たため、迂闊に攻撃ができないようだった。

 

「うらぁっ!!」

 

迫る斬撃をナイフに咬ませ、その剣を弾く。

俗に言う『パリィ』だ。

 

「すまん!!」

 

担いだ少女を開けた場所に投げる。

鈍い音がしたものの、大きな怪我はしていない筈だ。

 

背中の剣を抜き放つ。

 

「うおぉぉッ!!」

『ヌゥゥゥゥアッ!!』 

 

体勢を立て直した騎士を鍔迫り合いに持ち込んだ。

全身の筋肉にありったけの力を込めて押し出す。

 

『シャァッ!!』 

 

徐々に押し返していくものの、騎士の左拳が顔面に飛んできた。

辛うじてそれを回避し、後ろへと大きく飛ぶ。 

 

 


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