能力
楓から破談と浮遊を教えてもらい、基本戦闘はだいたいできるようになった。
「次は能力ね」
「どんな能力だ?」
「見ただけじゃわかんないわ。自分で出してみなきゃ」
「自分で出すったって…どんな感じだ?」
「まぁでも、能力を扱うのは浮遊より簡単よ」
「マジか!じゃあすぐ出せるかな!」
「エネルギーをうまいこと使えばすぐわかるわ」
伊吹は言われた通り、集中して、エネルギーを感じる。
(エネルギー…能力…出てこい…俺の能力…)
目を閉じ、集中する。
ボコッ。
何処からか音がした。下の方だ。
「ん?」
伊吹の足元の土が盛り上がっている。
「おお!楓!これ能力じゃねえか!?」
「まだわかんないわ…もっかいやってみて」
伊吹は力を込める。集中する。
ボコボコッ!
土が弾け飛んだ。
「これ絶対能力だろ!」
「そうね…多分、土を操れる能力ね」
「正直…微妙だな…」
「まぁ、いいんじゃない?あと、もうちょっと練習してみなさいよ」
「おう」
伊吹はまた土を操ろうとする。すると
ブォォッ!
「キャッ!」
突風が吹いた。
「今日は風が強いな…」
「ええ…。って集中しなさいよ」
「ん、おう」
ブォォッ!
「ホントに風強いな」
「…もしかして」
「アンタ、能力2つ持ってるんじゃないの?」
「え!?マジで!?」
「2つ持ってるとしたらかなり珍しいわ」
伊吹は力を込める。風が吹くイメージをする。
ブォオオオ!強い風が吹く。
「やっぱりね…アンタ能力2つ持ちだわ」
「能力を扱うコツは、イメージよ。完成図を想像するの」
「破談と一緒だな」
「まぁね、そうね。あと、能力は自分のアイデア次第よ」
「どういうことだ?」
「例えば、土を動かすだけじゃ意味がない。だから、土を何かに作り変えて武器とかにすればいいんじゃない?」
「なるほど!」
「まぁ、試してみなさい」
「剣を作ってみるよ」
完成図を想像する。
ボココッ!土が盛り上がり、形になっていく。
「ん…よっと!」
剣が出来た。
「出来たぞ!楓!」
「まぁいいんじゃない?」
「なにかに使ってみたいな」
「んーあなたが襲われた洞窟にでも行ったら?」
「ちょっと気がひけるけど…行ってみるか」
「あ、楓…もし負けたら死ぬから、ついてきて…」
「甘ったれんじゃないわよ!」
「まぁ、予想はしてたけどな…」
そして、伊吹は洞窟に向かう。
「そうだ、移動手段として風は使えないか?」
風を操り、風を吹かす。
ボォフッ!
「うぉぉ!」
足から風がでた。すごい風圧だ。
「移動がめっちゃはやくできる!やったぜ!」
伊吹は風のようにはやく、洞窟に向かう。
〜10分後〜
前は1時間かかった洞窟に10分で着いた。
「能力って便利だなぁー」
伊吹は感心する。
そして、洞窟に足を踏み入れる。
「懐かしいな…いい思い出はないけど…」
コツン…
「!?」
小石の動く音がした。
(怪物か…)
岩の陰からヌッと怪物が出てきた。
「いつ見ても気持ちわりーな…」
目が飛び出していて、肌が紫、長い爪に鋭い牙。
「じゃあ、腕試しだ。行くぞ!」
「まずは破弾だ!」
手のひらを上に向ける。すると、黄色い弾ができあがる。
「ふっ!」
怪物めがけて、破弾を撃つ。
ドォォン!!
怪物に直撃する。
「グォォッォオ!!」
「おっほー!つえぇな!」
怪物が怒り、突進してくる。額から緑の血を流している。
「気持ちわり…ぃな!」
力を込め、土の能力を発動させる。
石が造形され、伊吹の前に石の壁ができる。
ゴスッ!
「グォォッ!」
怪物の頭が突進の勢いで石の壁にぶつかる。
「へへっ!バーカ」
伊吹はまた土の能力を発動させる。
グググ… 怪物の周りに石でできた拳が出来る。
「いけっ!」
ドドドドド!石の拳が怪物に雨のように降り注ぐ。
「グォオオオオォォオオ!!!!」
「トドメだ!」
怪物の腹の下にトゲを作る。
「おりゃっ!」
ブシャッ!!怪物は串刺しになった。
「よっしゃ!勝ったぞ!能力強えな!」
勝利して、伊吹は満足して帰る。
楓が家で激闘しているのを知らずに…。