楓
伊吹が襲われて、数日後…
「全快しちまった…」
朝起きると、痛みがない。
全快したら覚悟しろと、楓に言われていたのだ。
「なんとかごまかせないか…?」
そんなことを考えていると楓がやってきた。
「ごまかせないわ」
「…! なんで聞こえてんだよ…」
「まあいいわ…早く来なさい」
俺は楓と朝食を食べ、楓に呼ばれて庭にでる。
「今から、あなたの格闘センスがどれ位か見てあげるわ」
「マジでやっていいのか?」
「ええ。私は能力も使わないし、ただの殴り合いね。」
背は伊吹の方が大きい。楓は小柄で腕も細い。
能力を使わないのなら、充分勝てるだろうと伊吹は思う。
「そーいえば、伊吹の能力ってどんなだ?」
「後で教えてあげるわ…さぁ、来なさい」
楓が構える。
「じゃあいくぞっ!」
伊吹は走って楓に近づいていく。
「…!!」
楓は驚いた表情をしている。なぜだか分からないが隙がある。
そして、楓の前につき、腕を振りかざして殴ろうとする。
スカッ!
「!?」
目の前にいたはずの楓が消えた。
「どこに行った?」
周りを確認する。すると、楓が一瞬後ろに見えた。
「そこかっ!」
すかさず蹴りをいれる。が、その蹴りは虚しく、宙をきる。
「くそっ…」
そういった瞬間、
ドッ!!
「グホッ!?」
腹を殴られた。小さいから気づかなかったが、いつの間にか楓は伊吹の腹部分の所に移動していたのだ。
腹を押さえながら、伊吹は地面に膝をつく。
「いってぇ〜…!」
すると突然、楓は驚いた表情で伊吹に言う。
「アンタ…」
「??」
「弱っっ!」
「!?」
いきなりのセリフに俺は動揺する。
「最初に走ってきた時から!アンタ足遅すぎでしょ!」
「筋肉もないし、動きも遅い、動体視力もないわ」
「そんなにダメか?」
「ダメダメね。ここまで弱いとは思わなかったわ」
(うざい…)
伊吹はそう思うと同時に疑問が浮かぶ。
「どうやって強くなったんだ?」
「・・・」
「まぁ後々教えてあげるわ」
「あ!じゃあ楓の能力見してくれよ」
「弱い奴に見せるのは嫌だけど、まぁいいわ」
(いちいちうざい…)
3mくらい離れた大きい岩に楓は手を向ける。
「ふっ!」
すると岩が緑色のオーラに包まれ、大きな岩が浮いた。
「!!」
「すげえ!それが楓の能力か!」
「ええ。私の能力は物を浮かし、自在に操ることが出来るの。」
「浮かせれる数は最大10コ。操れる範囲は30mよ。能力の強さは能力を持っている本人の強さに比例するわ」
「??」
「馬鹿ね…つまり、自分が強くなると、能力も強くなるの」
「なるほど…」
「だから、仮にあなたが私の能力を持っていたとしても、浮かせることが出来るものは
せいぜい小石1コ程度ね」
「マジか…そんなに弱いのか俺は」
「ええ」
「じゃあ…楓!」
「?」
「俺を強くしてくれ!」
「うーん」
「頼む!」
「アンタみたいな馬鹿は家に置いときたくないし〜」
「お願いだ」
「うーん、まあいいでしょ」
「本当か!ありがとう!」
「その代わり、雑用しなさい」
「…っ。分かったよ…」
「じゃあ明日から色々教えてあげるわ」
「よろしく!」
こうして、伊吹の修行が始まった…!
伊吹の能力は次話か次々話でます!待っててください!