町
リリリリン!!
凄まじい騒音で俺は飛び起きる
「!?」
どうやら楓の悪戯で耳元に目覚し時計がセットされていた。
「なんなんだよ…」
楓はまだ寝ている。
俺は仕返しを考え、1分後に目覚しが鳴るようにセットし、楓の耳元に置いた。
楽しみに待っていると、すぐに1分が経ち、騒音が鳴り響く。
リリリリン!
「キャアアァ!」
甲高い声で叫びながら楓が飛び起きる。
俺は笑いを堪えられず吹き出す。
「ハハッ」
「何よアンタ!何て事すんのよ!」
「お前が先にしたんだろ!?」
「うるさいわね!悪戯する余裕があるならご飯作りぐらい手伝いなさい!」
「まだ全快してないんだけど…」
「手伝わないで家にずっと居るなら追い出すわよ」
「へいへい、手伝いますよ」
やはり面倒くさい奴だと俺は思う。
それからキッチンに移動し、ご飯を作ろうとした時、俺はある事に気づいた。
「俺、料理できねぇ!」
「は?あなた何歳よ!料理も出来ないの!?」
「やった事ないし…」
楓が本気でキレて、怒鳴りつけてくる。
「使えないわね!じゃあ掃除でもしてなさいよ!」
「へ、へーい」
また怒ると面倒くさいので俺は素直(?)に掃除を始める。
掃除中に辺りはを見回したが、何もない。
どうやってここに住んでいるんだろうか?
そんな疑問を持ちながら良い匂いのする家に戻る。
「うまい!」
「・・・」
「楓、料理うまいな!」
「…褒めても何も出てこないわよ?」
「いや、本当に美味しい」
「・・・」
会話が途絶えてしまう。
ご飯を食べ終わり、また楓は俺に雑用をさせる。
「おーい、食料ないから買いに行ってきて〜」
「え?この辺りは何もないんじゃないのか?」
「あるわよ町くらい。ここから10km位進んだらあるわ」
「結構遠いな…」
「つべこべ言わずに行きなさい」
「はいはい」
そうしてお金を渡される。
「はい、これでいい感じの物買ってきて〜」
「適当だな…しかもこんなお金みた事ない…」
「? なにいってるの?はやく行きなさい」
俺は半ば強制的におつかいをさせられる
「10kmってかなりあるぞ…?」
そう思いながら3時間後、街についた。
「や、やっとついた…」
楓はこの距離を日常的に歩いているのか、と俺はすこし感心する。
町と言っても小さな町で、家は10軒ほど、あとは市場があるくらいだ。
とりあえず、市場へ行き、一通り見て回った。
美味そうな肉があったので、これを買う事にする。
「おっちゃん、この肉ください」
「お?ここらじゃ見ない顔だね。引っ越してきたのかい?」
「え?いや、まぁそんな所です」
どう答えたらいいか分からず、適当に流してしまう。
「800パフだよ」
聞き覚えのない単語に動揺する。それがお金だと分かるのにちょっと時間を要した。
「まいどー」
「パフってお金の単位か…覚えとこう」
そして、野菜らしき物を買って、町を出る。
「こんだけ買えばいいかな?」
そしてまた長い10kmの道のりを歩き出す。
最初の伊吹の笑い方はあの有名なネズミではありません。
本当に。
ハハッ⤴︎