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灰色の黒龍の碧  作者: 生木
2歳(19歳)編
14/21

閑話 少女と不思議な白い子②

鼻をつくようなきつい匂いがする

街の喧騒とかけ離れて、カラスの鳴き声しか聞こえない裏路地は、より一層恐怖を引き立てていた

胃の奥から込み上げてくる液体を無理矢理押し戻して、死体に近づく


首を一文字に裂かれて絶命している

瞳孔は開ききっていて、舌はだらしなく口からたれていた

未だにだらだらと流れ続けている血が、今さっき殺されたばかりだということを強調している


そこまでしなくてもいいのに無駄に何度も入念に確認する

が、何度見てもそれはあの黒服だった



………アオイを探さなきゃ

ここで何があったのか

それを聞き出さなくては


そう思って立ち上がる

だが、探し人は探すまでもなく見つかった


その子はこちらを見ると一瞬驚いたように眉を動かして、ペタペタと濡れた足を拭くこともなく裸足で歩いて近づいてくる

その右手には濡れたナイフが握られている

着ている服は、いつも上着に着ているパーカーを脱いで中に着ていた長袖のTシャツ一枚になっていて、その袖はどこかで洗ったのか、濡れていた


少しずつ、少しずつ近づいてきて私の目の前に来る

そして、言う



「………チクんないで」




「は?」




「だから、チクんないで」


と、目の前の子は懇願する


「え……と、どう言う意味?」


「そのままの意味。このことを、誰にも言わないで」


できないなら、と私の首にナイフを突きつけてくる


「君を殺さなきゃいけなくなる」


目の前の子は、静かな声でそう言った

その碧の目は真っ直ぐ私を見つめている



………本気だ

本気で私を殺そうとしている


「どうする?ここでのことを忘れるか、死ぬか。選んで」


首に当てられたナイフの力が強くなってくる

首から少しずつ暖かい液体が流れ始めてきた


答えなくても殺す

という意思表示だろう


なにか

なにか答えなきゃ

そう思って口を開く


ゆっくり

静かに

はっきりと


この子に、ちゃんと伝わるように

言う


「私は、アオイの味方だよ?」




アオイは驚いたように目を見開く

こころなしか、首に当てられたナイフの力が弱まっているような気がする


少しの間の静寂


その間も、ずっと二人で見つめあっていると、突然アオイが笑い出す


「ふふふ、やっぱ面白いね、君」


と、目を細めて妖艶な笑みを浮かべ、首元のナイフをどかす


「あーあ、せっかく洗ったのにまた汚れちゃった」


手元のナイフを見つめながらそう呟く


「もう帰って良いよ、絶対チクんないでね」


そう言って、元きた裏路地に入って歩いていく

その後ろ姿は、どこか満足げだった


それを見ているとなんだか力が抜け、地面へへたり込む

その音に驚いたのか、アオイはこちらを振り向くが、何もないと分かったのかまた振り返り歩きだそうとする


「待って!!!」


そう私は叫んだ


「ここで何があったのか教えて」


「………僕が、彼を殺した。それだけだ」


「納得できない。何故、そんな事をしたの?」


「君が知る必要はないよ」


「知りたいの!!何かできるなら、あなたの力になりたい!!!」


「無理だよ、君にできることはない。むしろ邪魔だ」


「なら何もしない、何もしないから、教えて」


そう言って、アオイの目を見つめる

アオイは困ったように頭をかいていた


「………はぁ、わかった。でも、今は無理だ。ここの片付けとか、バレないようにする工作とか、色々あるからね。三日後にいつもの公園で。それでいい?」


「わかった。それでいいよ」


「じゃあ、僕これからちょっと忙しいから」


またね、とアオイは手を振って路地裏に消えていった

なんか凄い展開が急ぎ足になって微妙な気がする

もしかしたらそのうち書き直すかもしれません

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