トランジット(乗り継ぎ)
これは事実です。
こんなことか起こるんですね。
起こるんです。
まだ中国に返還される前の香港
ここには世界で一番着陸の難しい空港があった。
香港カイタック空港
初めて乗った飛行機から見た香港の夜景は感動的なシーンだった。一気に高度を下げ、ビルとビルの間を滑空する。そして、再び上昇すると大きく機体を傾け、半旋回する。これを人は香港アプローチや香港カーブと呼び、香港の名物となった。パイロットからは世界で最も着陸が難しい空港と言われたらしい。
僕はこの空港で飛行機を乗り継ぎ、さらに南半球の街に向かう。しかし、どこに行っていいのかわからない。漢字だから分かるだろうとか、英語は通じるだろうとか、あまり期待しない方がいいかもしれない。
大きな空港ではないが、いかんせん初めての海外。端から端まで歩くと広い。到着が夜中だからスタッフも少ない。
「乗り遅れたらどうしよう」
そんな不安が脳裏をよぎる。
その時、通路の奥から女性が歩いて来るのが見えた。女性というよりは女の子というところだ。
よく見ると、
「さっき、同じ飛行機に乗っていた女の子だ」
少し安心して、僕の方から彼女に話しかけた。
どうやら行き先も一緒だ。
なんと言っても可愛い。
「やはり今回の旅ついてるぞ」
そして、僕は本題に入った。
「さっきから乗り継ぎが分からなくて、迷ってるんだ。どう行けばいいの?」
彼女は屈託のない笑顔でこう答えた。
「私も迷ってるんです」
たまにはこういうのもよくないですか?