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Episode 2: LA到着、そしてDharma Beans

登場人物

田所家

 健一 /元ハリウッド映画原作主演

 カヨ /健一の妻、ハリウッドのカリスマ、管理魔、

 トシキ /健一の息子、東大生、マザコン


ゴールドバーグ家

 シンディ・ゴールドバーグ/ トシキの彼女、東大留学生、カヨの弟子

 ルイーズ・ゴールドバーグ/ シンディの母、UCLA心理学教授


Dharma Beans (カフェ)

 アラン・ゼンズバーグ/ ルイーズの兄、詩人、カフェ経営 #アレン・ギンズバーグではありません

 ジェイク・ケンドリック/ 詩人、作家、アランの親友、カフェ共同経営 #ジャック・ケルアックではありません


☆なんちゃって参考文献

アレン・ギンズバーグ「HOWL」

ジャック・ケルアック 「路上」

※読んでなくても大丈夫!


ロサンゼルス国際空港。

到着ゲートを出ると。

「Cindy!(シンディ!)」

女性の声が聞こえた。

振り返ると。

50代の女性が立っていた。

ブロンドのショートヘア。

スーツ姿。

知的な雰囲気。

「Mom!(お母さん!)」

シンディが、駆け寄った。

二人は、軽くハグした。

でも、どこか事務的。

「Louise, these are the Tadokoros(ルイーズ、田所家の皆さんよ)」

シンディが、俺たちを紹介した。

「Nice to meet you. I’m Louise Goldberg(はじめまして。ルイーズ・ゴールドバーグです)」

ルイーズは、にこやかに握手を求めてきた。

「あ、はじめまして。田所健一です」

「Nice to meet you, Mr. Tadokoro(お会いできて嬉しいです、田所さん)」

次に、カヨと握手。

「I’m Kayo, Kenichi’s wife(カヨです、健一の妻です)」

「Ah, Kayo. Cindy has told me a lot about you(ああ、カヨさん。シンディからたくさん聞いてますよ)」

ルイーズは、カヨをじっと見た。

観察するような目。

「Your management techniques. Very interesting(あなたの管理手法。とても興味深いです)」

「…Thank you?(ありがとう…ございます?)」

カヨは、少し戸惑った顔をした。

次に、トシキと握手。

「And you must be Toshiki(そして、あなたがトシキね)」

「はい、はじめまして」

「Cindy’s boyfriend. Interesting dynamic(シンディの恋人。興味深い力学ですね)」

「…は?」

トシキは、少し困惑した。

ルイーズは、メモ帳を取り出した。

「Excuse me, I’m taking notes. Research purposes(すみません、メモを取ってます。研究目的で)」

「Research?(研究?)」

俺は、驚いた。

「Yes. I’m a psychology professor. Family dynamics are my specialty(ええ。私は心理学教授です。家族力学が専門なんです)」

「…そうなんですか」

俺は、少し引いた。

シンディが、横から言った。

「Mom always does this. Don’t mind her(母、いつもこうなの。気にしないで)」

「…分かった」

俺は、小さく頷いた。


空港を出て、車に乗った。

ルイーズの車。

テスラ。

「Nice car(いい車ですね)」

俺が言った。

「Thank you. Eco-friendly. Logical choice(ありがとう。環境に優しい。論理的な選択です)」

ルイーズは、淡々と答えた。

カヨが、助手席に座っている。

ルイーズが、運転しながら話しかけた。

「Kayo, Cindy told me you managed Kenichi’s health during the Hollywood shoot(カヨ、シンディから聞きましたよ。ハリウッドの撮影中、健一さんの健康を管理したって)」

「Yes. He has high blood pressure(ええ。彼、血圧が高いので)」

「And you monitored it three times a day?(1日3回測定したんですか?)」

Yes(ええ)

「Statistically significant sample size. Good methodology(統計的に有意なサンプルサイズ。良い方法論ですね)」

「…Thank you?(ありがとう…ございます?)」

カヨは、少し困惑していた。

俺とトシキは、後部座席で顔を見合わせた。


シンディが、言った。

「First, let’s go to Uncle Allan’s café!(まず、アラン叔父さんのカフェに行きましょう!)」

「Uncle Allan?(アラン叔父さん?)」

俺が聞いた。

「Yes. My mother’s brother. He runs a café(ええ。母の兄。カフェを経営してるの)」

「Oh, Allan(ああ、アラン)」

ルイーズが、少し呆れたような声で言った。

「My older brother. Eccentric. Poet. Changed his name after living in Japan(私の兄。変わり者。詩人。日本に住んだ後、名前を変えたの)」

「Changed his name?(名前を変えた?)」

「Yes. From Goldberg to Zensberg. Because of ‘Zen’(ええ。ゴールドバーグからゼンズバーグに。『禅』だからって)」

「Zen?(禅?)」

カヨが、反応した。

「Yes. He claims he studied Zen in Japan. But I doubt it(ええ。日本で禅を学んだって主張してるけど、疑わしいわ)」

「…I see(そうですか)

カヨは、少し興味を持った顔をした。


数分後。

車は、古い建物の前に停まった。

看板が見えた。

“Dharma Beans”

その下に、小さく。

“Café & Poetry”

「Here we are(着いたわよ)」

ルイーズが、車を降りた。

俺たちも、降りる。

建物を見上げた。

「…何これ」

俺は、小さく呟いた。

建物の外壁には。

赤提灯。

たくさん。

変な漢字の旗。

「禅」「道」「無」

そして、書道が下手。

招き猫の置物。

巨大。

そして、なぜか鯉のぼり。

3月なのに。

「…」

カヨは、無言で見つめていた。

トシキが、小さく笑った。

「これ、日本…?」

「…多分、違う」

俺は、答えた。

シンディが、嬉しそうに言った。

「Uncle Allan’s café! Unique, right?(アラン叔父さんのカフェ!ユニークでしょ?)」

「…Unique(ユニーク)

俺は、そう答えるしかなかった。

ルイーズが、呆れたような顔で言った。

「He thinks this is ‘authentic Japanese Zen’(彼、これが『本物の日本禅』だと思ってるのよ)」

「…」

カヨは、何も言わなかった。

でも、その表情には、困惑が見えた。


店内に入った。

内装も、さらに酷かった。

壁には。

侍の(レプリカ)

忍者の手裏剣(飾り)。

だるま。

こけし。

そして、なぜか相撲の化粧まわし。

BGMは。

尺八の音。

でも、なぜかビートニク・ジャズと混ざってる。

「…」

俺は、言葉を失った。

カヨも、無言。

トシキは、笑いを堪えている。

その時、奥から声がした。

「Hey! Welcome to Dharma Beans!(おい!ダルマ・ビーンズへようこそ!)」

振り返ると。

60代後半の男性が立っていた。

長い白髪。

髭。

ボロボロのジーンズ。

タイダイのTシャツ。

そして、なぜか作務衣の上着。

「Uncle Allan!(アラン叔父さん!)」

シンディが、駆け寄った。

「Cindy! My favorite niece!(シンディ!俺の大好きな姪っ子!)」

二人は、ハグした。

アランが、俺たちを見た。

「And you must be the Tadokoros! From Japan!(そして、君たちが田所家だな!日本から!)」

「あ、はい…」

俺は、少し戸惑いながら答えた。

「Welcome, welcome! I lived in Japan, you know. Kyoto. Studied Zen(ようこそ、ようこそ!俺、日本に住んでたんだ。京都。禅を学んだ)」

「…そうなんですか」

「Yeah! Changed my life, man. That’s why I changed my name. Zensberg. Zen mountain(ああ!人生が変わったよ。だから名前も変えた。ゼンズバーグ。禅の山)」

「…」

カヨは、じっとアランを見ていた。

その目には、疑念が浮かんでいた。

アランが、カヨに近づいた。

「And you must be Kayo! Cindy told me about you. The management master!(そして、君がカヨだな!シンディから聞いたよ。管理の達人!)」

「…Yes(ええ)

「Interesting! You know, Zen is also about discipline. Control. Balance(面白い!ほら、禅も規律についてなんだ。コントロール。バランス)」

「…I see(そうですか)

カヨは、冷静に答えた。

でも、その表情には、明らかに「この人、胡散臭い」と書いてあった。

アランが、俺に話しかけた。

「And you’re the Hollywood guy! AI expert, right?(そして、君がハリウッドの人だな!AI専門家だろ?)」

「ああ、まあ…」

「Cool, cool! AI and Zen. Both about the flow, man(クールだ!AIと禅。どっちも流れについてなんだ)」

「…流れ?」

「Yeah! Let go. Trust the process. That’s Zen(ああ!手放せ。プロセスを信じろ。それが禅だ)」

「…」

俺は、何を言っていいか分からなかった。

ルイーズが、横から言った。

「Allan, stop bothering them. They just arrived(アラン、邪魔しないで。彼ら、着いたばかりなんだから)」

「Oh, come on, Louise! I’m just being friendly!(おいおい、ルイーズ!ただフレンドリーにしてるだけだよ!)」

「Friendly is fine. Overwhelming is not(フレンドリーは結構。圧倒的なのはダメ)」

ルイーズは、淡々と言った。

アランは、笑った。

「Alright, alright. Sit down, sit down! I’ll make you my special Zen latte!(分かった、分かった。座って、座って!俺の特製禅ラテを作ってやる!)」

「…Zen latte?(禅ラテ?)」

俺は、恐る恐る聞いた。

「Yeah! Matcha, espresso, and a touch of enlightenment!(ああ!抹茶、エスプレッソ、そして悟りのひとしずく!)」

「…」

俺は、何も言えなかった。

カヨが、小さく溜息をついた。

トシキは、笑いを堪えている。

シンディは、嬉しそうに言った。

「Uncle Allan is always like this(アラン叔父さん、いつもこうなの)」

「…そうみたいだな」

俺は、小さく頷いた。

(変な旅になってきたな…)


数分後。

俺たちは、カフェのテーブルに座っていた。

アランが、“Zen latte”を持ってきた。

緑色のラテ。

上に、泡で「禅」の字が書いてある。

「Here you go! Zen latte!(はい、どうぞ!禅ラテ!)」

「…ありがとう」

俺は、恐る恐る飲んだ。

「…おお」

意外と美味い。

「Good, right?(美味いだろ?)」

アランが、得意そうに言った。

「ああ、美味いです」

「See? Zen is everywhere. Even in coffee(ほら?禅はどこにでもある。コーヒーの中にもな)」

「…」

カヨは、ラテを飲みながら、アランを観察していた。

その時、店の奥から、別の男性が現れた。

60代後半。

ボロボロのジャケット。

ジーンズ。

髭面。

「Allan! We need more beans!(アラン!豆がもっと必要だ!)」

「Oh, Jake! Come here, meet my guests!(おお、ジェイク!こっち来い、客に会わせろ!)」

ジェイクが、こちらに来た。

「This is Jake Kendrick. My best friend. We go way back(こいつはジェイク・ケンドリック。俺の親友。昔からの仲間だ)」

「Hey, nice to meet you(よお、よろしく)」

ジェイクは、にこやかに握手してきた。

「あ、よろしくお願いします」

「You’re from Japan, right? Cool, cool. I love the road. Been everywhere(日本からだろ?クールだ。俺、道が好きなんだ。どこにでも行った)」

「The road?(道?)」

「Yeah! Hitchhiking, man. That’s freedom(ああ!ヒッチハイクさ。それが自由ってもんだ)」

「…」

俺は、少し引いた。

(この人たちも、変わってるな…)

カヨが、小さく呟いた。

「…面倒くさそうな人たちね」

「…そうだな」

俺は、同意した。


その後、アランとジェイクは、延々と話し続けた。

「You know, when I was in Kyoto…(ほら、俺が京都にいた時…)」

「Yeah, and I was hitchhiking through California…(ああ、それで俺はカリフォルニアをヒッチハイクしてて…)」

俺は、半分聞き流していた。

カヨは、冷静に観察している。

トシキは、シンディと話している。

ルイーズは、メモを取っている。

(何のメモだ…?)

その時、アランが言った。

「Oh, by the way! This Friday, we’re having a poetry reading night!(そうだ!今週金曜、ポエトリー・リーディングの夜があるんだ!)」

「Poetry reading?(ポエトリー・リーディング?)」

「Yeah! I read my poems. Jake too. You should come!(ああ!俺が詩を読む。ジェイクもな。来いよ!)」

「え、でも…」

「Come on! It’ll be fun! Zen poetry, Beat poetry, all mixed together!(来いって!楽しいぞ!禅詩、ビート詩、全部混ぜてな!)」

「…」

俺は、カヨを見た。

カヨは、小さく頷いた。

「まあ、せっかくだし、行ってみましょう」

「…分かった」

俺は、小さく溜息をついた。

(この旅、展開が全く読めない)

毎週月曜日8時更新です。

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