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俺の黒歴史が魔法になった〜詠唱するたびに尊厳が削られていく〜

作者:猫じゃらし
プロローグ「俺の人生、エンディング早すぎない?」

残業終わりの夜道。
街灯の下、スーツ姿の男がふらふらと歩いていた。

佐藤隼人(27)、中小企業の総務・庶務担当。
今日も定時を遥かに超えた帰宅。手にはコンビニの袋、肩には疲労と諦め。

「はぁ……魔法使いてぇ……」

彼の脳内では、いつもの妄想が展開されていた。
“もし俺が魔法を使えたらリスト”の最新版を、帰宅後にメモ帳に書き足す予定だった。

「魔力操作特化……詠唱なしで魔法を操る……くぅ、ロマンしかない……」

その瞬間、前方から歩きスマホの若者が突進してきた。

「うわっ、ちょ、前見ろって!」

隼人は反射的に避ける。
その拍子に、工事現場の足場から「落下注意」と書かれた看板が、まるでタイミングを見計らったかのように落下。

「え、今!?なんで今!?」

咄嗟に身をひねって回避。
しかしその勢いで、彼の足は縁石に引っかかり、スローモーションのように車道へと倒れ込む。

「いやいやいやいや、嘘でしょ!?俺、避けただけだよ!?なんで!?」

──ブォォォォン!!

トラックのヘッドライトが、彼の瞳に映った最後の光景だった。

静寂。
そして、どこか遠くから聞こえる声。

「……あー……これは……うん、理不尽だねぇ……」

目を開けると、そこは白い空間。
目の前には、金髪で青い瞳の女性が、申し訳なさそうに頬をかいていた。

「え、誰?てか俺、死んだ?いやいやいや、死因、納得いかないんだけど!?」

女神らしき女性は、にこりと笑って言った。

「うん、わかる。私もびっくりした。巻き込まれ体質、すごいねぇ……」

「褒められても嬉しくない!!」

こうして、佐藤隼人の人生は、理不尽と妄想とツッコミに満ちたまま、幕を閉じた。
──そして、異世界の扉が、静かに開かれる。
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