一章最終節……真実と過去……。
あら、いつの間にか一章が……。
(ザーザー!ゴロゴロ!)
「お母さん!お父さん!行かないで!」
………………………うぅ……はっ!
朝から嫌な夢を見たな……。
「おはよう!戰!……どうしたの?」
「いや……別に……何でもない!」
「そ、そう?……あれから、十年だね……」
「あぁ、そう……だな」
あれから、十年……十年前、俺たちは親を亡くした。
いつも通り俺たちの親は、戦争に行った……ただ、その日だけは俺たちはひき止めた。
「お父さん……お母さん……絶対に帰ってきてね……」
「あぁ、きっと帰って来る……」
「お母さん……お父さん」
確か、その時にこのネックレスを無言で渡されたっけ……。
そして、俺たちの親は……帰って来なかった。
泣いたかって……いや、泣いてなかったな……あの時は、ゆーを慰めるので必死だったからな。
「ぐすん……ヒック……お父さん……ヒック……お母さん……帰って来てよ!」
「ゆー……もうくよくよするなよ!」
「でも……でも……」
「だから、泣くなって!俺が……戦争の無い世界に変えてやる!」
「本当?」
「あぁ、本当だ、だから泣くな!ゆー」
「…………うん、わかった!もう泣かない、だから絶対に戦争の無い世界にしてね!」
「おうわかった!俺が……死んでも変えてやる!」
「いやだ……」
「何が?」
「死んじゃやだ……戰も一緒じゃないといやだ!」
「いや~あの時は、ちょっと照れくさかったな!」
「私、そんなこと言ったっけ?」
「うわ!ひど!言ったって……確か!」
「確かかよ!」
「まぁ、このネックレスは形見みたいな物だな」
「そ~だよね」
「はぁ……ん?何だ?この文字!なになに……本当の貴方を知りたければ、貴方の部屋のベッドの下を探して見なさいしかし、後悔してしまうかもしれません……。
……本当の俺って何だ?」
「何だろうね、探して見る?」
「探して見るか……」
「何だ?この封筒…………開けるか!」
(ゴクリ)ヤバいつい生唾飲んじまった。
「えーと、何!?」
「どしたの?」「いや、これ書いたの母さんみたいなんだ……」
「えっ?」
一瞬の沈黙が……いやだね~こういう沈黙。
「読むか……」
(コクり)
ゆーが無言で頷いた。
「なになに……」
あなたがこれを読んでいると言うことは、私たち親は死んでいるということですね。ふふっ悲しいことですね……まぁ仕方がありません。(笑)
「いや、笑うなよ!(笑)って何だよ!」
「早く続きを読もうよ、戰」
「あ、あぁ……えーとここからか……」
まぁまぁ、落ち着きなさい、戰……。
「母さん、絶対にバカにしてる」
あなたがこれを読んでいるということは本当の貴方を知りたいということですね。
本当は……貴方は……野上戰は一度死んでいます。しかしなぜ、生きているのか疑問でしょうね……それは銀狼ライフウルフの魂を貴方に宿したからです。
銀狼の力は死んでから一週間の間なら銀狼の肉を食べれば生き返ることができます…………しかし貴方は死んでから二週間が過ぎていました。そこで私たちは銀狼の魂を貴方に宿してみました。すると、生き返ることができましたが性格が時々暴力的に変わったり、無感情になったりしたのです。そして、また性格が戻った時は、その時の記憶が一切ないという状態でした。私たちは不安になったので調べました。そして見つけました……そしてそこに書いていたことが……銀狼の肉を食べた者は一週間の間なら完全に生き返る…………そして銀狼の魂を宿した者は一年間の間なら生き返ることができる。だが、完全に生き返るわけではない、ただ魂を繋ぎ止めているだけで、時間が経つにつれて……性格が宿した銀狼になってしまう。と書かれていました……。
だから、気をつけて下さい貴方が完全に銀狼に心を乗っ取られたら……貴方は大切な人も殺してしまうかもしれません。危ないと感じたら貴方はその場を離れるべきです。
そして最後に……ごめんなさい……こうして私たちの一時的な喜びのためだけに……貴方に苦しい思いをさせてしまいますね。
本当にごめんなさい。
「ふぅ…………じゃあな、ゆー」
「えっ?」
「俺さ……前に山賊に襲われた時に、戦った記憶がないんだよな……あれってそういうことだよな……だからさ……じゃあな、ゆー」
「……ダメ、行っちゃやだ……約束したじゃない、俺が、戦争の無い世界に変えてやるって……あれは嘘だったの?」
「仕方が無いんだよ……だって、みんなを殺すかも知れないんだぞ!?……だったら、もうここには居られない……すまん、……」
「いやだよ!みんな一緒じゃないと……もう誰も失いたく無いの……」
「ゆー……わかった!やっぱり、俺はここに居たい……だから俺はここにいる」
「戰……」
「だが、一つ頼みがある」
「な、なに?」
「俺が……俺がもしも壊れたら、殺してくれ!誰も俺は殺したくないんだ」
「戰……わかった……」
「頼んだぞ……さて、眠いから寝るか!」
「うん……あ、あのさ……戰?」
「何だ?ゆー」
「一緒に寝てもいいかな?」
「へっ!?……何だよ急に」
「いや、昔はよく一緒に寝たじゃん?だから……久しぶりにみたいな……駄目?」
「いいけど、別に」
「やった~!」
「……襲うなよ?」
「襲うわけ無いでしょ!」
「んじゃ、おやすみ」
「うん……」
(スー、スー)
「……かわいい寝顔してんじゃん……」
なんだか、ゆーを見てるとすごく心が落ち着く。……ずっとこう続けば良いのにな……。
……でも続く訳が無いよな……………………。
「おやすみ、ゆー……」
戰君、辛いですね。
物語はどうなっていくのか!?