三章四節……開戦
「ふー……疲れた」
「どうした?ショー」
「いや、優奈を説得するのにちょいと疲れたダケだ」
「そうか……お前も休んだらどうだ?」
「お二方戰が動きました」
「どっちの方向だ!」
「えーと……こっちに向かって来てます!」
「大体何時間位だ?」
「そうですね……約三時間位かと……」
「三時間か……じゃあ、一時間半経ったら起こしてくれ」
「分かりました。では一時間半後」
「あと残りの奴等も頼むわ。秀お前も寝とけ」
「あぁ、そうする。じゃあ頼んだぞ」
「はい、分かりました。ではお休みなさい」
「お~、お休み」
その頃戰は、走りながら独り言を呟いていた。
「しかし、この体は人間にしては素晴らしい肉体だ。このスピードで走っていても疲れを感じない。この肉体ならば、憎き人間共を皆殺しにする事が出来るかもしれん」
そう、人の独り言にしてはとても危険な独り言を……。しかし、今の戰は姿形は人で有るが心が人とは違うモノである。その心とは、銀狼である。銀狼は絶滅したと思われている。しかし、絶滅の原因は人間によって沢山の銀狼が殺されてしまったからである。銀狼の生きた肉を食えば、一人生き返らす事が出来る為である。そして、一匹の銀狼が戰の体に憑依した為に今は、戰の心には銀狼が居てその銀狼に乗っ取られている状態である。
「しかし、暇だ。早く人間共に借りを返さなくては。ククク、ハハハハハハハハハハハハ」
そして、戰はまたスピードを上げた。
そして、秀達が寝てから約一時間半。
「(ピンポンパンポン)皆さん起きて下さい。時間です。早く起きないと、電流を流しますよ?」
『止めろ!』
寝ていた全員が一気にアナウンスに向かって叫んだ。
「では、早く集合して下さい。これで、放送を終了します(パンポンピンポン)」
そして、全員がすぐに集合した。
「意外に皆さん速いですね。それは置いといて、これから作戦を作りたいと思いまして……」
「作戦?何のだ?」
「題して、戰を落としてとっとと帰ろう大作戦!」
「何なの?その作戦って言うのは?」
「簡単に言えば、色仕掛けですね♪」
「なっ!?それは多分出来ないと思うよ。だって、戰は今人の心を喪っているから……」
「まぁ、冗談です。言わば、後頭部殴って気絶させて鎖で何重にも縛って目を覚ましたらまた殴る。そして心を取り戻せたら、鎖を外すと言う単純な作戦ですよ?」
「何てSな作戦なんだ……」
この作戦を聞いた時は、全員が思っていた事を秀は地味に言った。
「そうですか?ですが、一番手っ取り早くて単純な作戦である事は、皆さんも分かっていると思うのですが……」
しかし、森口明海(アナウンスや作戦を発表していた人)の言う通りであった。
その作戦が一番簡単で単純な作戦であった。
まともに戦って勝てるかどうか怪しいし、和解など向こうがする訳がない。となれば、確かに確実を取るならばこのドS作戦が良い。
「じゃあ、その作戦でしましょう。その作戦ならば、全員で殴りに行くわよ」
「おー!じゃあそうすっか!」
「では、これをどうぞ」
「何故に今……?」
渡されたのは、太い鎖だった。それも、なん十本も一緒に渡された。
「まぁまぁ、気にしては駄目ですよ。……おっと、戰がもう近づいて来てますよ」
「えっ!?嘘!」
レーダーには、あと一分と書かれていた。
「じゃあ、そろそろ降りよう」
「やっと戰に、会えるんだね。やっと……」
(ズサッ)
「おー。今日の俺は冴えてるね~」
「……戰!」
「だーかーらー。俺は戰って奴と違うって言ってンでしょ!?しつこいなぁ、まぁ今から殺すけど……」
そして、一瞬風が吹き抜けた。
大分遅くなってすみません。ちょっと最近忙しくて……。また大分遅くなると思います。本当にごめんなさい。