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爆ぜる  作者: 変汁
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第九章 ⑤②

家電等の買取価格が適正だったのか、3人にはわからなかった。


その為、弓弦は持っていかれた家電のメーカー名や使用年数を雷鳥に尋ねたが、雷鳥は全く覚えていなかった。


「そんな事気にする方が変だよ。壊れて仕方なく修理に出すことになって初めて使用年数等を教えてもらったりする訳じゃん?」


横やりを入れる形でヒヨリが言った。

確かにそうだ。けど、メーカーが分かっていればネットで買取り価格を調べられるんじゃないんか?だから聞いたんやと弓弦が続けた。


「確かに!あ、弓弦、それならもっと早く雷鳥に教えとけば良かったじゃん」


「雷鳥が色々売るなんて、さっきまで知らんかったわ。な?雷鳥」


「うん。そうや」


「つか、雷鳥、どうして私達に黙ってたのよ?」


ヒヨリは、雷鳥から隠し事をされていた事を急に思い出したかのように強い口調で雷鳥を問い詰めた。


「それは今から雷鳥が話してくれるけん。ヒヨリもギャンギャン言わんと待っとれや」


「誰がギャンギャン喚いたのよ。私、そんな低脳女子じゃないから」


澄ました顔でヒヨリは言うが鼻の穴がヒクヒク動いている所を見ると、ヒヨリ自身、自分が言った言葉の何処かがおかしかったのだろう。雷鳥や弓弦にヒヨリの笑いどころはわからなかった。


「とにかくこの状況を雷鳥に説明してもらわないんといかん」


「そうよねぇ」


自分に向けられた4つの視線が、痛々しい程、雷鳥に突き刺さる。


雷鳥は一呼吸置いてから、事の顛末を2人へ話して聞かせた。


「なして早よう言わんかったんや?ワシらは遠慮するような仲や無かろうが」


小学五年でお金の問題がどうにかなるとは雷鳥には思えなかった。けど、ひょっとしたら弓弦ならどうにか工面してくれたかも知れない。


無理だとしても弓弦ならお爺ちゃんやお婆ちゃん、おじさんかおばさんに、雷鳥に金貸してあげてくれ、いや弓弦なら自分の数年分のお小遣いはいらないからと掛け合ったかも知れない。


そのように雷鳥に思わせる所が、弓弦の凄い所だった。


「心配かけとうなかったんよ。お金に関してはママが帰って来よったから何とかなると思いよった。でも、まさか電気代とか支払っていなかったのは流石にびっくりしたよ」


「だから家電売るしかなかったって事か」


ヒヨリが言いながら床へ横になった。


「ねぇ。雷鳥?」


「何?」


「さっきのリサイクルショップの名前なんて言うの?」


「リサイクルショップ、さがみ屋だったかな。けど何でいきなり?ヒヨリも何か売るつもりなん?」


「違うわよ。口コミサイトでさがみ屋の評判調べてみたいから」


「それ、ええ考えやな」


弓弦はいいヒヨリの隣に寝そべった。


「弓弦さぁ、まだスマホ持ってないわけ?」


「中学になるまで買ってくれんのや」


「弓弦の両親、ケチだね」


ヒヨリはいい、佑月の方へ顔を向けた。


「ケチとは違うやろ。前にどっかの小学生がスマホゲームで課金したり、変なサイトに入って高い金請求されたりしたニュースとかあったやろ?

まだ小学生のワシがそんな間違いな事をせんようにって、だから中学生になるまで待たんといけんのや」


「それって大人の都合のいい解釈に過ぎないじゃん。何も弓弦の両親がそうだって言ってるわけじゃなくてさ。そんな風に考えてる親が多くいるんだろうから、弓弦の両親もそう言ったんだと思うけどね。でも、私が弓弦のママなら、スマホは買い与えるけどなぁ。小さな子供が大人の変態に触られたり、連れ去られたりするのは何も関東やら関西の大都市に限った事じゃないよ。四国にだって変態はいるよ。それに、北朝鮮の拉致とかの話があるじゃない?あれと似たような事が日本のあちこちで起きてるって話だしさ」


「それも北朝鮮か?」


「本当かどうか知らないけど、中国人らしいよ。日本の小学生は親が付き添って送り迎えなんかしないじゃん?それに私が住んでた関東は小1くらいの子供でも1人で電車に乗って移動したりするから、世界の変態から見たら連れ去り放題な筈だよ。おまけに日本は治安がよくて安全だって世界中の国のニュースで話題になってるくらいだから、変態や誘拐犯がそれを知らない訳がないじゃん?」


「そうだね。ヒヨリが知ってるくらいだから、大人の悪い人達なら知ってて当たり前かも」


「つかよ、ヒヨリすげ〜な。よくそんな事知ってんな?」


「全部ネット情報だけどね」


「なんや、ヒヨリ、インターネットやっとるやないか。その内、高い金請求されんで?」


「馬鹿。私は大丈夫。アイツが全部払ってるから」


いうとヒヨリは弓弦から視線を外した。

きっと大嫌いな父親の顔を思い出してしまったのかも知れない。


「数件しかないけど、それでもさがみ屋の口コミ、クッソ悪いよ」


「どんな風に書いてあるん?」


雷鳥が聞いた。


「持ち込みで査定してもらったけど、提示された金額があまりに安かったので、売るのは止めますと言ったら、


「は?査定までさせといて売らんやと?こっちはな、お前の為だけに貴重な時間使っとんや。それが何や?売らんやと?アホか。なら他所に行かんかい、って言われたらしい。その他はねぇ、このさがみ屋で売ったら大損するからやめろってさ」


口コミとやらが何か知らないが、やはりアイツは血ろくでもない奴やったか。車の助手席に乗ろうとしたあのデブな顔を弓弦は思い出した。


雷鳥は下駄箱の上に置いてあった停止の紙を持っていた姿を思い出し、慌てて封筒の中を覗いた。指を入れ、全額を床の上へと取り出した。


「6千340円……」


たったこれだけじゃ、支払い出来ないじゃないか。雷鳥はその金額を見て思わずそう怒鳴った。と同時に、去り際に社長が言った言葉を思い出した。それを2人に話して聞かせた。


「なら取り返そう」


ヒヨリがいい、さがみ屋へ電話をかけた。

スピーカーというらしい、全員が話が出来、聞く事が出来るモードにしてくれた。


ヒヨリと弓弦は寝転んでいた身体を起こし、床に置いたスマホを中心に3人は向かい合うで座り直したい。改めてて姿勢を前屈みにした。


相手が出ると雷鳥が頷いた。口パクで社長だと伝える。ヒヨリが話し出した。すいませんと言った所で社長が


「お前らさっきのガキのダチか?何の用や」


社長の声を聞いた瞬間、雷鳥はカッとなった。あっという間に首から顔が赤くなり、スマホへ向かって顔を近づけた。


その時、弓弦が雷鳥の口を押さえつけた。首を振り黙れと唇に人差し指を立てた。


その間、ヒヨリが話を進めた。


「別にこっちはええんやで。ガキには1週間以内なら渡した金額で買い戻す事が出来るって言うとるからな。そうしたいなら取りに来ればええだけや。やけど、こっちだって3人がかりで取りに行ったんや。払い戻しすんのならその分の手数料は支払ってもらうけんな」


「あの、その手数料って幾らになるんですか?」


「3人やからのう。そやな 1人あたま、2万五千円やから7万5千円と渡した金で買い戻し出来るわ


「それっておかしく……」


ヒヨリが冷静に話を進めようとしたその時、雷鳥が弓弦の手を払いのけスマホを掴んだ。画面に口がくっつく程、顔を近づけた。


「お前、ぶち殺しちゃるけーな!」


怒鳴る雷鳥の身体に両腕を回し押さえつけた弓弦はヒヨリにスマホを取り返すように怒鳴った。

ヒヨリは直ぐに雷鳥の手から取り返した。


再び社長と話そうとした瞬間、


「あんたらには悪いが、この電話、全部録音させてもろうとるんや。お嬢ちゃんワシが言いたい事、わかるか?」


「はい」


ヒヨリは迷う事なくそう返事をした。


「お嬢ちゃんは賢いのう。せやけど、さっきの小僧はそうやないやろ?アホみたいな顔しとったからな。やからしゃあないわ。ワシが教えちゃるわ」


社長はいい、雷鳥が怒鳴った言葉が脅迫となると言った。


「例えその相手が子供だとしても、そんな事わからない、知らないとしらばっくれたらしまいや。それに誰の電話か知らんが、番号通知はいただけんで」とケタケタと笑い出した。


「ま、そういうこっちゃ。こっちは小僧がしのびのうて、手数料も取らんで金支払ってやったんや。寧ろ感謝して貰いたいくらいや」


社長はいい、続けて「さいなら」と同時に電話を切った。


弓弦とヒヨリは顔を見合わせた。どちらとも何も言わなかった。そんな2人を他所に雷鳥はぶち殺しちゃると怒鳴りながら、両の拳で床を殴りつけていた。


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