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爆ぜる  作者: 変汁
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第九章 ⑤⓪

約束の時間通りにリサイクルショップの人達が家にやって来た。


弓弦とヒヨリに隠れて初めてお店を覗いた時、色々売りたいと話した人も一緒に来ている。


僕が話したのは社長と呼ばれる人で背は多分パパよりも高かった。


けどそれ以上にお腹がすごく出ていて、外はかなり寒いというのに、玄関を開けて社長を見上げた時、既に額に汗をかきハンカチで拭いていた。


「冬やっちゅうのに、暑いなぁ。僕もそう思うやろ?」


電気を止められている僕としては、身体全体が冷えていて、お昼前に近い今でも足と手の指先はジンジンする程だった。


だけど、暑いなぁと言われたら、確かにいつもの冬よりは暖かい気がして、思わずうんと返してしまった。


「僕、早速で悪いが、売りたいもんはどれや?こう見えておじさんも忙しいからのう。さっさと査定させてもらえんか」


「わかりました」


雷鳥はいい、付け足すように「こっちです」と答えた。


「なら遠慮なく上がらせてもらうわ」


社長はいい、部下に向けた顎をしゃくり、「おい」と言った。先に上がれという意味だ。


2人が家に上がると雷鳥はリビングがある方を指差した。


振り返り、社長を見ると、下駄箱の上にある水道やガス、電気の供給停止の紙を手にし、それへと目を向けていた。


雷鳥の視線に気づいたのか、こちらへ顔を戻し同時に、何も知らないといった風に紙から手を離した。


「なら、遠慮なくお邪魔させてもうわ」


言うと雷鳥の側を通り過ぎてリビングへ入っていった。後を追うように雷鳥が続くと社長は


「とっとと済ませや」


部下2人にそういうと、額をハンカチで拭いてからソファーへ身を投げるように腰掛けた。


「所で僕、ご両親はどないしたんや」


「今日はいません」


「はぁ?なんやそれ。僕、ええか?買取には本人を確認出来る証明書が必要なんや。それに未成年は両親の承諾書と同伴がないと買い取れんのや。ワシはてっきり両親がおると思いよったから、忙しいのにわざわざここまで来たんや。これじゃ無駄足やないか」


社長は言うが、その間も部下は色々な物へ何かを貼り付けていた。それに気を取られ、貼られた物を見ると、そこには数字が書かれてあった。


「なぁ。僕や」


「はい」


「ワシらは帰らんとあかん」


「なしてですか?」


「さっきも言うたやろ?未成年からは買い取れんのや。たまにあるんや。子供がゲーム機買う為の金欲しさに親の時計やら宝石を売りにくるガキが。当然、買取りはせん。売りたいなら親連れて来いってな。なしてかわかるか?」


雷鳥は首を傾げた。社長が言った意味は何となくわかっていた。けど、今の僕はゲーム機を買う程度の安っぽい状況に置かれているわけじゃない。


一刻も早く、電気代などを全額支払って復旧して貰いたかった。


「どうしても駄目、ですか?」


「そうやな。基本無理や。さっき言ったけど、親に黙って売った物は後々、物が無くなった事に気づいた親がの。その物を返せって言ってくるんや。子供が勝手に売ったとかなんとかケチつけてな。それに最悪なんは親の承諾なしに買い取ったワシらに文句をいう始末や。下手すりゃ訴えるとか言い出す奴もおったわ。それ言われたら、ワシらは終いや。違反しとるのはこっちやからのう。ぐうの音もでやせん。やから、悪いが帰らせて貰うで」


社長はいい両膝に手を置き、よっこらせと言いながら立ち上がった。


「おい、やめや。この僕、親に黙って売り捌こうとしとる」


部下の2人は返事を返し、作業の手を止めた。


「絶対駄目ですか?」


しばらく雷鳥の駄目?社長の駄目やと言う会話のやりとりが続いた。


「どうしてもお金がいるんです」


「そうかぁ。なら仕方ないわ。けど条件がある」


「何ですか?」


「ご両親がおらんのは仕方ない。やけど僕は金が欲しい。しゃあない。けど、査定額よりかなり安くなるで」


「なしてですか?」


「僕の親が返せって言ってきた時、査定額の金額を返せん場合があるからや。なしてかというと、ワシらは現金商売で、あちこちの家から買取り依頼があるんや。四国全般から大阪にも行っとるかなら。だから急に金返せって言われても手持ちがない事があるからや。やから安くなる。それで僕がええなら、ご両親がおらんでも買い取ってやるわ。どうや?僕、ええか?」


雷鳥は仕方なく頷いた。それを見た社長は直ぐに2人に声を掛けた。


「電化製品は全部や。ソファーもな。後は箪笥があったらそれもや。中身はいらん」


「炊飯器と洗濯機は売らないです」


「と、いう事や。わかったか」


2人の部下は同時に返事をした。品物はあっという間に大きなトラックに積み込まれて行く。


「これに売ってもろうた、大型TVなんかを査定した額の金が入っとる」


雷鳥がそれを受け取るとトラックの後ろから弓弦とヒヨリが顔を覗かせた。


「何や。雷鳥、引越しするんか」


弓弦の言葉から被せるように社長が言った。


「あ、僕、ワシ言い忘れたけど、品物を同じ金額で買い戻し出来るんは、1週間以内やからな。それ過ぎたら店の正規の値段で買い取ってもらうけん。そう、ご両親にいうとけよ」


社長はいい、トラックの助手席に乗り込んだ。運転席と助手席の間に挟まれている人は、少し苦しそうに肩を狭めていた。


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