「 」
僕は狭くて暗い場所に居る様だった
後頭部に触れる
血は既に乾いていて、瘡蓋に髪が巻き込まれていた
この場所は何処なんだろう
手を伸ばす
前方10cm有るか無いかの所に壁があった
左右にも手を伸ばして確認する、やはり広くない
ほとんど人間一人が入れるだけの空間に、いま僕は居る様だった
外では強い風の巻き起こる音がする
通常、強風は寒さを運ぶものだが、僕の居る場所の外では熱い風が吹いているような感覚が有った
──そうか、ここはきっと
僕は眼の前の板を叩いた
大声で人を呼ぶ
でも考えてみれば、今こんな事をしているのは僕をここに閉じ込めた人々に違いない
『騒いだとしても助かる望みが無い』事に思い当たり、僕の顔から血の気が引いた
時間はある、助かる可能性は無い
予想した通りに箱は焼け崩れ、僕は炎に包まれた
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
そして僕は生きたまま火葬された




