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異世界恋愛

愛想が尽きた。と言われましても、貴方からの愛は微塵も感じませんでした

作者: 蒼本栗谷
掲載日:2023/11/24

「エミリー。君には愛想が尽きた。ここから出ていってくれ、二度と帰ってくるな」

「……今、なんと?」


 エミリーは婚約者のシルベからの言葉に首を傾げた。

 愛想が尽きた? 出ていけ? エミリーは言われた言葉を脳内で繰り返す。


「愛想が尽きたから出ていけと言ったんだ。聞こえなかったのか?」

「はあ」

「はぁ……その態度も見ているだけで腹が立つ。早く出ていけ」


 何言ってるのでしょうこの男は。エミリーは驚いた。


「愛想が尽きた。と言われましても、私は貴方からの愛は微塵も感じませんでしたわ」

「――なんだって? この私が大事に大事に愛を注いでいたのに、愛を感じない? 馬鹿にしているのか」

「馬鹿にはしていません。事実を言ってるだけです」

「――っ!! 出ていけ!!!」


 その言葉にシルベは顔を真っ赤にして叫んだ。拳に力を入れ、今にも殴りかかりそうだった。

 

「……それだけで怒るなんて、気の小さい人」


 それを見てエミリーは小さく吐き捨ててその場から離れた。


「あれで愛を注いでると勘違いしていると、いつか破滅しそうですわね」


 つまらなさそうに呟く。

 そしてシルベとの過去の思い出を振り返る。

 婚約者だからといつも上から目線。言い方も棘があり、エミリーは微塵も愛を貰っていると思えなかった。

 馬鹿にしているのでしょうか。エミリーはいつもそう思っていた。

 だからエミリーは適当に過ごした。無理にシルベに合わせる必要性はない。と決めたからだった。

 そうして日々を過ごして、今日の出来事が起きた。


「つまらない人、ああそうだ。あの人に会いに行きましょう。あの人の傍は、温かいですから……」


 エミリーはある場所で初めて会った、心地が良いある人物の事を思い出す。

 初めて会った時、エミリーは一目惚れした。この人の傍にいたい。この人の嫁になりたい。この人なら愛してくれる。エミリーの心はその人物に奪われた。

 だが、エミリーはシルベと婚約済み。だから傍にはいられない。

 だけど、今なら――。

 エミリーは小さく笑みを浮かべた。あの人なら今の私を貰ってくれるかもしれない。そう思って速足でその人物の元に向かった。


<>


「……無我夢中で来てしまいましたけれど、あの人は私を受け入れてくれるでしょうか?」


 馬車から降りてエミリーは呟く。豪華な門を見つめ、ごくりと唾を飲み込む。

 もし、受け入れられなかったら……いいえ、そんな事考えなくていい。エミリーはそう気持ちを強く持ち、近くにいる兵士に声をかける。


「ご機嫌よう。私、エミリー・ルーベリアと申します。アルライト・ミーリング様に会いたいのですが、よろしいでしょうか?」

「少々お待ちください」


 淡々と兵士は声色を変えずに言って隣にいる兵士に知らせに行かせるように指示した。

 暫くして、兵士と一人の男性が姿を現した。


「――エミリーさん!」

「ご機嫌よう、アルライト様」

「どうしたんだい? 来る連絡はなかったけど……もしかして何かあったのかい? ああすまない、それより先に中に入ろう。風が吹いてるから風邪を引いてしまうかもしれないからね」


 アルライトは表情をころころと変えながら、兵士を仕事に戻らせてからエミリーを中に入れた。

 

「実は、シルベさんに婚約破棄されました」

「ええっ……!? どうして? もしかして、エミリーさんが言ってた、愛を注いで貰ってる感じがしない。と関係ある?」

「そうですね。君に愛想が尽きたから出ていけ……と言われまして」

「あ~……そっ……かぁ」


 エミリーの言葉にアルライトはやっぱりかぁと言ったような表情をする。


「僕から見ても、貴方達二人は仲悪そうに見えたから、そう遠くない内に別れるんじゃないかと思ってたけど……想定より早かったなぁ」

「私としてはやっとあの人から離れられて清々しています。ただ、居場所がなくなりましたが」

「エミリーさんはどうしてここに来たんだい?」

「アルライト様に会いたかったからですわ。駄目、でしたか?」


 最後だけは自信なさげにエミリーは言った。アルライトは目をぱちくりとさせてから顔を赤らめた。


「そ、そっか。それは、光栄だね。僕も、君と会いたかった」

「っ! アルライト様……!」


 その言葉にエミリーの表情は明るくなる。

 そしてアルライトは悩んだ様子を見せて、うん。と頷き、その場に膝をつけた。


「婚約破棄されたなら貰っても……いい、よね? エミリーさん、僕と結婚してください。初めて出会ったあの時に一目惚れしました」

「はい。是非」

「幸せにするよ。過去を忘れられる程にね」


 その言葉を聞いて、エミリーは笑った。


 その後、風の噂でシルベが女王に手を出して没落した事を、二人は知った。

 だけど、そんな事はもうどうでもよかった。


 二人は今、幸せだったから。

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