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無属性の占星術師  作者: 好きなリンゴはappleです
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~術がなくとも占星術師の頂点を目指します!~

エピソード0


*本編が始まる少し前の話です


魔物がはびこるこの世界。魔物から人々を守るため、星々の力を貰い受け、魔物を倒すもの達がいた。彼らを人々はこう呼んだ……

占星術師と……


子鳥のさえずりと、窓から差し込む朝日で目を覚ました。

(いつ眠ったのだろう……記憶にない。2徹は流石にキツかったか。教師の仕事も楽ではないな。)

そう思いながら立ち上がり、軽く体を伸ばす。机の上に散乱していた資料を片付け、職員室を後にする。無駄に長い廊下を歩き、校舎の外に出ると、春だというのにまだ少し肌寒く思わず、

「寒っ」

と言ってしまった。ポケットに手を入れ校舎の周りを歩き始めた。外から見る校舎や、グラウンド、体育館などは昔の記憶を呼び覚まさせる。

(大丈夫、僕が変えてみせるから……)

凍てつくように寒かったあの夜。もう二度とあんなことが起こらないようにするために。

「さぁ!今日も社畜しますか!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


職員室に戻ると、僕の隣の席には同僚のカル・スコーンがペンを耳にかけ、何やら考え事をしている様子であった。

「カル先生!おはよう~!今日も朝早いね~」

カル先生の肩に手をかけそう言うと、私に気づいていなかったのか、驚いた顔をして、こちらに振り向いて、

「あっ!申し訳ございません。ローズ様。少し考え事をしていたもので……」

と言って頭を下げた。

「ローズ様はやめてくださいって!同僚なんだからお堅い言葉はなしで!」

そう言うと、カル先生は頭を上げ首を横に振った。

「いやいや、十二貴族様に敬語無しでお話するのは……。それにローズ様は白羊宮に選ばれたお方。尚更敬意を払わなければならないのです!」

カル先生はそう言ってニコッと笑い僕の目を見た。白羊宮という言葉は久々に聴いた。家を出てからは言われたことないからな。みんな僕のことは裏切り者だの、十二宮の恥など散々言ってきたからな……

「私が十二宮の裏切り者だとしてもですか?」

右頬にある、傷がついた白羊宮の紋章を触りながら、思わず口に出してしまっていた。

「ん〜。ローズ様は僕的に裏切り者って感じがしないんですよね!多分何かしらの事情があったんだと思います!僕の勘ですけど……。でも、僕の勘は結構当たるので!根拠はこれっぽっちもありませんが!」

カル先生はそう笑顔で答えた。

(やはり、カル先生は不思議な人だな)

そう思い、

「敬語は禁止で!様もなしでお願いします!

。距離を感じまので!」

と笑顔で返した。カル先生は戸惑いながら

「が、頑張ります!」

と言いった。

(敬語が抜けるまでまだ時間はかかりそうだな)

と思い、そういえばカル先生が考え事をしていたことを思い出した。

「そういえば、何か困り事ですか?すごい顔してましたけど・・・」

僕はそう言って話を切り替えると、カル先生は3枚の紙を僕に渡してきた。

「今回の新入生……変な人多くないですか?」

「あ〜。優秀な子多いですよね!アクアも今回入学するらしいですし。彼、昔から優秀な子でしたし!さすが宝瓶宮に選ばれた秀才!」

そう言うとカル先生は首を横に振って、僕に渡した3枚の紙を指差した。

「違います!ローズさ……んん、ローズ先生が担当するⅥ組の子達です。まず1人目。呪われた没落貴族のアスメナ家の子孫。」

1枚目の紙を見ると、リア・アスメナと書かれていた。

「あ〜。昔王家に代々使えてた錬金術を得意とする一族ですか。確か、金を作り過ぎて通貨の価値を暴落させ、王都を追放されたんですよね?」

そう言いながら紙を読み進めて見る。紙には名前の他に、適性元素、本人の星術、霊力量、などが書かれてあった。

この世は、火、水、土、風の4つの元素からなるとされている。人間にはどの元素を操ることができるか決まっており、それが適性元素というものである。その適性元素を元に星術が決まっていく。星術とは人間が生まれながらにして持つ、言わば固有スキルの様なものである。その星術の欄に錬金術と書かれてあったため、アスメナ家の子孫なのは間違いないだろう。

「です!です!王都を追放された身なのになんで今更推薦されたのか謎です。」

腕を組んで頭に疑問符をうかべながらカル先生はそう答えた。2枚目の紙を見てみるとクラハシ ジュンヤと書かれてあった。

「クラハシ ジュンヤ。珍しい名前ですね?この国の人ですか?」

「いいえ。名前的に多分東洋の人かと。魔族の大侵攻の影響で大打撃を受けたらしく、この国にも避難してきた東洋人がいるので、そのうちの1人かと……。この子も謎です。星術はろくじんしんかという言う意味がわからないものになっています。霊力量もこの学校に来るくらいならあと3倍は欲しいところですよね〜。」

読み進めて見ると、確かに霊力量は少ない。星術は初めて見るものだった。3枚目の紙を見るとノーマン・カーターと書かれてあった。

「ローズ先生!最後の子はですね、なんとこの時代において星術を持ってないんです!霊力量はそこそこありますが、星術を持っていないのに推薦されるなんて、前代未聞です。」

星術は親からの遺伝が強く、ほとんどの人が星術を持つ中、星術がないなんて不思議である。

「星術がなくても、四元素の術は使えるだろう。えっと彼の適性は……」

そう言って紙を読み進めていこうとすると、

「ローズ先生。彼に適性元素はありません。無属性です。だから謎なんです。」

とカル先生は言った

(ここ王立ニスコンフォーム学園は王国随一の占星術師養成学校。占星術によって、星々の神の思し召しを受けた人間しか入学できない、完全な推薦制。ということは、この3人はこの意味不明なステータスでこの王国の上位の占星術師になる才能を秘めているということか)

そう思うとニヤニヤが止まらなかった。

(彼らがどんな物語を見せて、くれるのか会うのが楽しみだ)

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