操作された再会
プロローグ
なぜ神様は私をこのように産んだのだろう。
声を出せず、相手に思いを伝えさせてくれないのか、、、
この姿では忌み嫌われ、近づくこともできない。
ただ、、、ただ、、、●●●●れればいいのに。
私はただ、、、
僕らは日々戦場に身を投じる。
国のため、国に住む人々のため、友人のため、愛する家族のため、、、
僕が初めて戦場に出たのは14の時、始めこそ躊躇いはあったが、
今では躊躇なく敵を殺せる。
これが人の本性なのか、それとも僕の本性か?
どうでもいいか、考えるだけ無駄だ。
ただ僕らは守るべきもののために殺すだけだ、、、
数か月の休戦が決まり、僕は初陣以来戻らなかった実家に向かっている。
いい思い出のほうが少なかったから、できれば戻りたくはなかったが、
他に行くあてもなく、自然に身体が動いていた。
気付いたら実家の目の前まで来ていた。
「思っていたほど朽ちてはないんだな。村もなんだかんだで廃村になっていないのか。
生まれ育った故郷だから当然か。」
戸に手を伸ばし、中に入ろうとしたその瞬間。
背後より懐かしい気配が、、、
振り向くと、ここらでは珍しい獣人の少女が、何者かに追いかけられていた。
普通よりは上等な服を纏い、護衛の見た目からして奴隷商だろう。
生命を金でやり取りする卑しい奴らだ。
「こっちに来てないか?」
少女はまっすぐこちらに向かってくる。
そのまま僕の胸に飛び込んできた。
深翠の髪と瞳をした美しい少女。
やはりどこか懐かしい。
この少女は何者なのか、気になってしまった。
「おい小僧!その小娘は俺らの奴隷だ。気安く触るんじゃねぇ。」
少女は懐かしさとともに、厄介な奴らを連れてきてしまった。