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月うさぎ

作者: 桜 スノウ

 ぺったんぺったん


 ここは月にあるうさぎのくに

 うさぎさんたちは何をしているのでしょう?


 ぺったんぺったん


「はーよいしょ!」


「よいしょ!」


 ねじりハチマキをしたうさぎ2匹が大きなうすに向かってこれまた大きなきねをふり下ろしています。


 これは…… その時、小さなうさぎさんがパタパタと小走りでやってきました。

 その手には小さなお皿が握られています。


「おとーちゃーん!おもち!おもちできた?!」


 子うさぎさんは目を輝かせながらうすをのぞき込みます。


「あれ?これお米だよ!おもちは?」

「アッハハお前は来るのが早いんだ。餅はな米を潰してできるんだよ」


 お父さんうさぎは子うさぎの頭を撫でながら言いました。


 そうです。うさぎさんたちはお餅をついていたのです。


「とーちゃん!ぼくもやりたい!」


 お父さんうさぎは困った顔でいいました。


「ごめんな。これすごく重いんだ、危ないからお父さんたちがやっているんだよ」


「えー。とーちゃんたちだけずるい!」

 と家の方へ駆け戻って行ってしまいました。


「おい、追わなくていいのか?」


 もう一人のうさぎさんが言いました。


「兄貴ありがと。大丈夫かあさんに任せるよ」


「おう!じゃあ美味しい餅を食べさせなきゃな」


 はちまきを縛り直し、気合いを入れ直してまたお餅をつき始めました。


 そのころ、子ウサギは…………

「かあちゃん!かあちゃん!とーちゃんたちひどいんだ!餅つきするなって言うんだよ!」


 お母さんうさぎはおっとりと笑って言いました。


「そっか。おとーちゃんはなんでダメって言ったのかな?」


「あぶないからだって!ぼく、もうおっきくなったのに!」


 子うさぎは小さな頬をパンパンに膨らませておこっています。


「おっきくかー確かに大きくなったね」


「でしょ!かーちゃんからも言ってよ!僕も餅つきできるよって!」


「どうしようかな〜じゃあ、これを答えられたら言ってあげる。」にっこり笑いました。


「えっ!ほんと?なになに?僕なんでも答えられるよ!」


「じゃあ、なんで餅つきするか知ってる?」


「知ってるよ!お星さまをゆっくり見るためでしょ!」


 鼻をふんふん目をキラキラさせて答えました。が


「おしい!お星さまはお星さまだけどなにを見るんだっけ?」


「えーと……地球!」


「正解!じゃあなんで地球を見るのかわかる?」


「えーとうーんと……わかんない」


 しょんぼりしてしまった子うさぎの頭を撫で、膝に座らせ

 お母さんうさぎはゆっくり語り始めました。


「むかーしむかし、この月に地球から『人間』がやってきたの。彼らはね私たちがここに住んでることを知らなかったの」


「えー!じゃあなんで来たの?」


「それはね『夢』のためだそうよ」


「『夢』……」


「人間は昔から月を見ていてね。遠すぎて届かないから特別なものと思われていたのよ。それで月に来ることを『夢』にみてたの。それを叶えたのが科学。科学で人間は宇宙でも生活できるように工夫してついに月に来たのよ」


「へー!人間ってすごいね!」


 目をキラキラさせて言いました。


「そして、人間は月でいろいろなことをしたわ。私たちと交流したり、実験したり。そのおかげでほら周りを見て」


 家の中にはいろいろな電子機器があります。


 それに家の外には国を囲う大きいドームと畑もあります。


「えっ!じゃあドームも、この畑も冷蔵庫とかも全部人間が考えたの?」


「ふふふ。そうよ機械に畑、国を囲む重力と空気をとどめるドームも全て人間が作って教えてくれたのよ。昔は跳びすぎて月から離れて行っちゃっていなくなるってことも多かったからね」


 子うさぎはすごいすごいと走り回りながら家中の電子機器を触りに行きました。


「すごいすごい!かあちゃん!人間ってすごいね!ねーお礼言いに行っても良い?」


 耳をパタパタしっぽをフリフリして玄関の前で足踏みしています。


「そうね。じゃあ一緒にお餅も持っていきましょうか」


「やったー!はやく、はやく!とうちゃんのところ行こう!」


「ふふふ。ちょっと待ってね」


 二人は手を繋ぎお父さんうさぎのところへ向かっていきます。


「そういえば、なんでおもちを食べるんだっけ?」


「それはね。元々、地球では『月見(つきみ)』という文化があってその時にお団子を食べるの。それを真似して私たちはお餅を食べるのよ。お餅なのは当時の人間がすごいすすめてきたからよ。なぜかしらね?」


「へー!気になるね!じゃあ、それもあとで聞いてみよっと!とーちゃーん!おもちできた?人間さんに持っていくんだ!」


「おー!できたぞ。とーちゃんたちも一緒に行こうかな」

「早く早くー!」


 うさぎの家族はにぎやかに出来立てのおもちを持って我々のところへ来るそうです。


 さてさて、迎える準備をしなければ。


 今日は月がきれいな十五夜。


 月の上からはきれいな青い地球が見えます。


 では、みんなで「お地球見(ほしみ)」しましょうか。


 さぁ、あなたも一緒にお月見しませんか?




読んでいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのとして、素晴らしい世界観の作品ですね。 心がほっこりしました☆ 読んでいて、和める、良い作品ですねー(^o^) [一言] 私も今回、初めて児童文学を公開しました。 通常の作品より、…
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