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俺クシ、アマゾネス系お坊ちゃんでッスわ〜!  作者: 沈椒肉絲
運命の交差
6/10

孤独物語、ソロプレイヤーは大人しくストーリーモードを進める

急いで書いたのでメチャクチャだと思いますがご了承のほどよろしくお願いします。

 突然だが、このゲームは偏にソロモードとマルチモードに別れている。


 ソロモードでは一人で遊ぶのに適しており、マルチでは他プレイヤーとパーティーを組んだりしたりできる。


 大まかには、その認識で通ってる。だがその二つを()()()()隔てる壁がストーリーの分岐点だ。


「貴方様は一体何者なんでッスわ」


 ふざけている訳ではない。ゲームシステムに沿った強制口調だ。

 ……やっぱこれ手痛くないか? シリアスっぽいシーンが台無しだよ……いやこの前に自分から壊しただろ。って?

 あ、あれは誤作動だから。システムの誤作動だから俺は悪くない。


 と、ともかくASSはリアルタイムでストーリーが進行している。

 マルチではそのストーリーを他プレイヤーとの協力プレイで攻略でき、良く言えば攻略速度を格段に跳ね上げれるが、悪く言えば……と言うか"悪い部分"になるがマルチモードのストーリーは全プレイヤーの物語として共有している。


 つまり最先端の攻略組が新しいストーリーを進めたら後から来たプレイヤー達は例え同じ足跡を辿ってもそのストーリーに齧り付く事すらできないのだ。


 これが単にストーリー攻略ならば遺憾に思ってもまあ平静で居られるが、もしもストーリー進行に伴い強い武器を仕入れられたら?

 はっきり言おう。かなりの理不尽だ。


 ASSはフルダイブのVRmmoだがそのゲーム性にはRPGとしての側面もある。

 武器や防具、スキルや魔法などやり込み要素があり、プレイヤーが強くなるにはそれらに触れる必要があるが、ゲームを進めるにつれて手に入れられる武器防具強くなる。

 必然的にプレイヤーは強くなっていくのだ。


 なのに最新の強い装備が一度きりしか入手するチャンスがなく、だけど他プレイヤーと競争式だなんてクソゲー極まれりだ。過疎るわそんなもん。


 まあ長くなったが、マルチは先行体験、ソロは個人のためのストーリーと考えれば区別がつく。


 しかし如何に先人達でも見落としはある。

 今がまさにそれなのだろう。


 実際コメント欄では未知なる存在に対して摩訶不思議と未知に思う反応が多数だ。


「君は……“隣人“を愛しているかい?」


 美青年と言うべきか。

 ASSはアニメ風の3dモデルではなくリアル系の3dだ。

 だから誰でも(課金すれば)美少女美男子が作れる。


 しかし、始めるにあたり手当たり次第に見たプレイ動画では目の前にいる推定男性より美麗な顔立ちはなかった。


 中性的と言うべきなのか、一見すると女性のような嫋やかな顔だがよく見ると猛々しさと凛々しさが混在したなんかすっごいイケメンなんだ。


 そんなイケメンがいきなり意味不明なことを言った。


 隣人?

 ふむ……。


 それから俺は数秒考えたのちに文章整理をして口を開いた。


「宗教勧誘なら隣家(よそ)でやって下さいまし。俺クシ、アマゾネス系のお坊ちゃんでッスので」

「それが君の答えなのか。そうか……分かった」


 俺の、煽りとも否定とも取れる返答にお気に召してくれたのか、金髪イケメンは交戦準備に入る。


 良かったよ。

 さっき受けた攻撃や問いかけに問いで返す甘ったれた行動のせいで苛立ってたんだ。


 それに……その()()()()()()の性能を知りたかったしな。





ーー1


『貴方はこの世界を歩く歩く1生命体。そして、他の生命と共にこの世界に生きる隣人である』


 これは俺が“隣人“を〜〜って問いを掛けられた時に思い出した事だ。


 それは良くある世界設定。

 しかしながらプロローグにしてはクソ長い文章その一端だ。


 と言っても、この聞いた時点では特になんとも思わなかった。見知らぬイケメンが意味深な言葉を言うまでは、な。


(ちょっと思い出したけどやっぱこれってなんか関係ある感じよなぁ……隣人……とある聖人が『隣人を愛せよ』とか言ってたけど元ネタはそっちかな? じゃなくても……そうだな……それを踏まえて言うなら)


 と言うわけで俺は皮肉混じりに簡潔な憎たらしいセリフを吐いたわけだが、果たしてどうか。


 奴はそれ景気良く受け取ってくれて、お礼に八回くらい土ペロさせられたよ。

 あ、また転けさせられた。これで9回目だなクソが。


「つ、強すぎるッスわ……装備の力とジョブのおかげでなんとか持ち堪えていまッスが……でも」


 お陰で大体わかってきた。


 奴の攻撃パターンが、どの基準でどんな選択をするのか、どのタイミングでどんな攻撃をしてくるか、速度や威力など、かれこれ数十分ほどやってようやく掴んできたぞ。


N()P()C()()()()()()慣熟なさった動きをなされまして……ええい! そこでポーンでッスわっ!!」


 ポーンとは、擬音でもチェスの駒でもなく、「テメェのそのき○玉、ひしゃげたカエルみたいにしてやるよ!」が口調変更のせいでポーンとか言う意味の分からん言葉に変換された物である。


 何だよポーンって。


 まあ、アレだ。

 立ち上がる時の推進とプラスして半円を刻むように振り回したヘカノティア(鎚形態)は物理演算に従って、恐らく普通に振るより威力があると思われる攻撃を推定男である奴の股関目掛けて打ったんだ。

 ポーンと言う言葉の直後に。


 しかし、奴は加速スキルである踏躍を発動した。

 振り回されたハンマーは、踏み込んだ足に上昇を与えるスキルの効果により寸前で回避された。


 結果的に無駄に終わってしまったが、だからと言って無意味になった訳ではない。

 さっきまでは対応出来ずに防御を剥がされ転がされていたけど今は攻撃する余裕が出来ている。


(踏躍のクールタイムは確か20秒くらいだったか? ジャンプするのと同じような感じで身体を飛ばすスキル……だが、それは予習済みだ!)


 俺はこのゲームを始めるにあたって色々と動画サイトや情報まとめを見てきた。

 その中で俺が一番憧れて、理想の模範となった動画がある。


 それは完全なPSビルドで殆どデメリットしかない戦法だがでもだからこそ浪漫を感じられずにいられなかった。


 何度も見返した。

 何度も思い返した。

 そして……偶然にも推定男である眼前の謎のイケメンはそれと戦い方が酷似していた。


「3…2…1……踏躍は、腰から上の姿勢を軸になさって跳躍(ジャンプ)するスキルッスわ! なら!」


 奴の加速スキルのクールタイムが終わったであろうタイミングで俺は突っ込んだ。

 自爆特攻ではない。

 では何の狙いか。


 奴は恐らく、軽量戦士でも俺の理想のキャラビルドでもないはずだ。

 あくまで酷似してるだけで根本的なところでは違う。


 体感して理解した。

 コイツは俺に対して有効な攻撃手段がない。


 ジョブと装備により耐久力が上がっているが元が低いから結局、近距離戦闘はあんまり得意ではない。

 今まではゴリ押しで誤魔化して来たが防御を捨てて機動力と高い攻撃力を併せ持った軽量戦士ならその速度で翻弄し、俺の隙を縫ってトドメまで持っていけるはずだ。


 なのに、奴は俺を転ばせるだけで仕留めにこなかった。


 その理由は?

 何故仕留めない?


 特攻する俺に、同じように向かってくるイケメン。

 距離が1秒ごとに縮まっていく。

 そしておおよそ3、2メートルあたりで減速、急ブレーキを掛ける。

 普通に走れば相手の方が速いが逆に言えば勢いがつきすぎて急には止まりにくくなっている。

 遅いのは欠点ではない。利点にもなり得る。


(good! 丁度いい位置で止まれた。奴はそのまま突っ込むりだな。"予想通り"だ。だから俺はここで──殴る!)


 止まるのと同時に武器を捨てる……瞬間身体が少し捻れたが姿勢を戻すのを利用して片足を前に出す。そして生まれる半身の勢いをその側面の腕に乗せ、拳を放つ!


 ヘカノティアは三つの形状があり、うちの一つである鎚は大型ハンマー。振るのに隙が生じるし、先端の鉄部分が当たらなければ脅威になり得ない。

 距離を詰めて有効射程内より更に奥に行けば躱すより安全にカウンター狙いやすい。

 と、奴はこう思考したんだろう。


 なんとも……AIらしい合理的な判断だ。

 だから読みやすいんだ。


 謎のイケメンと出会した時、俺が最初に着目したのは防具だが次に注目したのはプレイヤーネームだ。

 ASSは基本RPGでストーリーはプレイヤー全員に共有されるがあくまで()()()()()ストーリーだけである。

 これはあるプレイヤーがソロモードでストーリを追っかけていた時、従来と違う展開に気付き、それが知れ渡って色々と検証していった事で発覚した。運営情報隠しすぎだよ。


 んで、謎のイケメンに攻撃されたあとなんでソロモードなのに他プレイヤーが居るんだよ!とイラついた俺は晒し目的にそいつのネームを確認して、だが名前が表示されてない事からNPCだと判断した。

 NPCはプレイヤーと違って頭上にネームが表示されない。


 だから自分達の知らないストーリーが始まった思った視聴者達は驚いて、反転して俺は見えない二択の選択を選ばされていた。

 奴が「君は〜ウィンダンかぁぁ??」とか質問に質問で返した時、俺が煽ったのは選択の一つ、戦闘をするを選ぶためである。多分そこで隣人をラブ&ピース宣言してたら仲良くなれる非戦闘ルートに行けたのだろうがでも戦闘ルートを選ばずにはいられなかった。


 だって仲良くなるより戦った方が楽しそうなんだもん!

 だから殴るんだ!


「おくたばり遊ばせぇぇでッスわぁ〜〜!!!」


 ハハハ!

 俺の意外な行動に戸惑ったろう。

 このまま行けば衝突し両者共に少なくないダメージを負うことになるが、奴のAIは合理的にこれを処理した。


 急ブレーキをする。

 しかし俺と違って止まるためではなく"前に進まないため"。


 ブレーキをかけた足を軸に片方の足を上げ、空中を蹴る。


「…………っ!?」


 踏躍は姿勢によって方向性が変わる。

 垂直に立ち直した奴はスキルにより現実では再現するのが難しい動きを容易く、そう、容易く()()()()()()()


 上昇はその時の姿勢によるがその後は判定されない。

 お陰で奴は無駄な力を入れる必要なくバク転を出来て、それと掛け合わせて放たれるサマーソルトは顔面に当たればスタンしていただろう。

 それを俺が読んでいなければ、だかな。


「surprrrrrrrise! 詠唱短縮、魔法ファイヤーボール!」


 奴がスキルを発動するタイミングは分かっていた。

 と言うか発動させたのだ。

 そろそろ一時間が経ちそうなこの戦闘、そんだけやってれば相手の癖の一つや二つ、ましてやゲームシステムに沿ってる奴なんか見極めるのはそう難しくない。


 問題は対応だが、その問題がなんとか出来たから今仕掛けたのだ。


 あとは俯瞰して踏躍のあとの行動を見分ければ、サマーソルトを繰り出すと判断した俺は後ろ足を上げた事で不安定によろめく身体に使える部位全部使って地面に倒させた。

 その時、奴のつま先に当たりそうになったが身体を捻って擦り傷で済ます。ちなみに30くらいダメージ負った。


 そして、何と言う事でしょう。

 なんかたまたまヘカノティアが落ちてるぞ〜?

 勿論これも計算通りだ!


 ヘカノティアは鎚、杖、旗の3形状ある。

 さっきまでは鎚で戦っていたが俺が近距離戦の経験を積みたかったからだ。

 聖女ジョブは万能型と言われることだけあり回復だけしか出来ない下位職と違って遠近の戦闘が出来るようになる。だけど近距離戦も出来るが遠距離チクチクのが強いため魔法攻撃を使った後方支援が基本だと視聴者が言ってた。


 でも俺はこの先1人で戦うことを踏まえて今のうちに経験を重ねようとハンマーで殴ってた。決して魔法の詠唱が覚えられないからではない。

 今だって魔法を詠唱短縮したのはそっちのが早いし行動を悟らせないためだし、詠唱内容覚えてないからではないぞ!


 そう言うわけで杖に変形させたヘカノティアは物理特化の鎚と反して魔法特化のバフを付与する。

 簡略して言うけど詠唱短縮した魔法は威力が下がるがそれをプラマイゼロにする程のバフだ。


「っ! ガハッ!」

「ようやくまともにお喰らいになりましたわね……良き喘ぎをお上げに下さり、御感謝致しまッスわぁ〜www」


 土ペロってさ、下手すれば理不尽に倒されるよりも屈辱的なんよね。

 溜まってたフラストレーションを一気に発散させたこの一発は、スキルを使ってまでダメージを負いたくなかった奴にとってかなり致命的になったろう。


 何故なら奴は、軽量戦士を模した戦い方をしているから。

 ならば当然基本的な耐久力は低いはずだ。


 ファイヤーボールは下級の位の魔法で、クールタイムは短いが相応として与えるダメージは低い。

 普通にVITとかの防御系のステータスを上げてれば気にならないレベルだけど相手がそれをかなぐり捨てているなら話は別。


 ダメージを負ってもちょっとした衝撃が来るだけで悲鳴とか出ることは無いが、謎のイケメンはNPCであるためシステム通りに出すハメになってる。

 まあ奴からしたら充分声を出すのに足る攻撃になったんだろう。本当に防御面が弱ければ、だ。


「……やったか!でッスわ?」


 生存フラグを乱立させそうな言葉を吐きながら杖を支えに立ち上がる。


 当たった時が時だし、上手いことノックバックさせられたのか謎のイケメンは最初に俺をぶっ飛ばしたのと同じように少し先で倒れていた。


 流石にそこまでは計算してないので意図せず意趣返しが出来たみたいだ。スッキリした。


 だが俺は理解しているんだ。

 いくら速攻が得意な軽量戦士を真似ても、根本的には性質が違うことを。

 奴がダメージを嫌うのはあくまで戦闘のスタイルを崩したくないからであって実際問題、対して意味はない。


 軽量戦士は速攻性能を限りなく高めるために防御をなくす必要が出てくる。

 安全策の耐久力に振られるステータスポイントのほとんどを攻撃力か機動力にするためだし、鎧とかの装備は重量が掛かり必然的に移動速度が遅くなる。だから軽量系の装備を選び、出来るだけ速度を落とさないように最低限の守りを保つ。


 それが軽量戦士だ。


 だがここで違和感がある。

 奴の格好、迷彩柄の服は自衛隊とか冒険隊とかでよく見られる衣服でよく考えたら名称を知らないが、ともかくそんな感じの服とスーツが合体しそこから西洋の鎧を思わせるSFチックな黒茶色の外装パーツ。


 出会い頭襲ってくるゴミクソ知性の奴はカスみたいな質問返しの時はそんな鎧はなかった。けどその前は付けていて、一瞬で変形し何処かへ収納されたのだ。


 これを見た時俺は胸の鼓動が高まった。

 子供の頃、ラ○ダー○ルトを腰に巻いて何度も変身を真似して、今でも真似してるほど恋焦がれた。

 それが現実と見間違うほどのしかし現実ではない電脳世界でそれを、出来ると、それを、再現できると、あーっっ!


 夢が叶う!

 正直言って高揚を隠しきれない。

 ASSやろうとして、かなり自由にキャラクリエイトが出来るなら仮の面のライダー再現出来るんじゃないかと思って調べたら諸々の制限があって無理だと判断せざるおえなかった……でも、何と言うことだ。

 それが出来る可能性が出てきた。


 なら、俺がこれからする事は決まった。


 ────理想を再始動する(beginning)

《補足》前回書いた武器スキルと攻撃魔法について。

まずは武器スキルから。


武器スキルはその名の通り各種武器によって発動するスキルである。

主人公さんが使った鎚ならばそれ系統のスキルが習得出来るようになるし、剣ならば剣のスキルが手に入る。

杖も棒術としてのスキルがあるため武器として扱えるが、このゲームでは魔法杖としての側面が大きい。


武器スキルの他にジョブスキルと言うのがあり、常に発動してる物やそのジョブ限定のオリジナルスキルがあったりする。


攻撃魔法。

火、水、風、土、氷、雷、光、闇とかの属性を相手にブチ当てる魔法。

回復や強化と違ってこれには攻撃魔法には弱体化も含まれている。

もっぱら相手に干渉して弱らせる系は全て攻撃魔法に分類されるため状態異常も入ってくる。

スキルと違う点はMPがある事と詠唱と言う一手間がある事だがこれは魔法全般に言える。

他の違う点ではスキルより純粋な火力が高かったり利便性が高かったりする。

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