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俺クシ、アマゾネス系お坊ちゃんでッスわ〜!  作者: 沈椒肉絲
運命の交差
5/10

未知邂逅。ホラー映画って正体分かんない時が1番怖いよねコイツもその一種だった

今回も長文です。ご了承下さい。

「ブゥわぁHAHAHaaa……!」


 高笑いしながら車のライトチカチカ並みに眼光を飛ばす野良のオークに向かって。


「今の俺クシはお課金アイテム様様のチート装備でお身体をprotectしているのでッスわ! そんじょそこらの序盤ボスモンスターが、ムテキゲーマー気分の俺クシに勝てるわきゃねぇっっっスッわーーー!!!」


 何やらコメント欄が荒れているようだが知っちゃこっちゃねえ!


 配信とか、醜態とか、そんな事より煮汁を飲まされた相手に復讐する。今の俺にはそれしかミエネ!


 もう考える事なんざ捨ててるんだよ!


「ヒャッハーーーーーーーー!!! 好きだぜオークだから嫌いな貴方様をを叩く! この──」


 混成旗杖鎚ヘカノティア。

 この武器は(頭で纏めんのいちいちめんどいから簡略して)用は3形態あり、その一つが


「──ハンマーで!」


 勢い×STR補正×遠心力×頑丈さ=パワー!


 そんな式が成り立つのかと問われれば疑問符を浮かばざるおえないが、今の俺には些末な出来事に割り裂く思考などない。

 何故なら……


「オーバーフローだぜェェェ!!!」


 絶頂(エクスタシー)状態にあるからだ。



ーー6



 ジャイアントオークを倒した俺の道のりを邪魔する者ぞ誰ぞ其方は!

 そんな言葉を吐きながらエンカウントしたオークにゴブリンにスライムに狼と、割とグダってしまった数分を経て、ようやく第二ステージの果樹園に着いた。


 普通はさっきのステージでちょっとずつレベルを上げてここに来るのだが、現状の俺の装備とジョブによる補正マシマシの脳筋アタックで自分よりレベルが10くらい上のモンスターにもなんとか戦えている。


 しかしキツイな。

 なにもレベルが上の相手には絶対勝てない、と言うわけではないがそれでも戦っていて厳しいものがある。


 プレイヤーにとってはレベルは単なる強さの指標の一つだが、事モンスターに限っては高レベルにくると内部AIがどんどんと上質のものになっていく。

 つまりレベルが高ければその分戦闘能力も高く、単調な動きから賢い動きに、そして群れて集団戦術を使ってくる。


 装備やジョブの補正を抜きでジャイアントオークと戦うとしてAIがまだ低脳だから勝てなくはないが、これがもし人並みの知能でボスとして設定された高いステータスで攻撃して来たら、と考えると中々無理ゲー感が強い。

 少なくとも序盤の敵がする事ではない。


(取り敢えずは装備無双はまだ通るな。問題はこの先だけど……装備に頼らない戦法身に付けとかないと)


 俺は基本的に視聴者に配慮した配信はするつもりはない。

 常に自由行動。

 俺の美学であり、それにより後悔し続けて来たこと約30歳超えて無事、立派な童貞な魔法使いになりました……。


 まあ今は女だけど。しかも魔法使いじゃなく聖女。


 と、そんなことはどうでもいいのだ。


 要件は今の俺には装備に頼った戦闘しか出来ない点だ。

 これの解決法はジョブの長所を伸ばす事になるが、生憎俺が就職した聖女ってジョブはパーティなどの多人数プレイヤーと組んで始めて最大限の性能を発揮される。


 そして俺がさっきから強い強い言ってる装備だがその一つが、【Evan Fig Dourado】と言う名前の全身着衣型の鎧。


 修道服と言うのかシスター服なのかは知らんがそんな感じの黒い生地に上から金色の鎧がおっ被ってると、形容するべきか……なんかまあ厨二心を燻られる見た目をしている(語彙力皆無)。


 性能としては聖女ジョブ限定の装備なだけあってそのジョブを強化する感じ。後は『導線』とか言う能力があるだけだが、それはもう一つの装備、ジャイアントオークの顎をホームランした【混成旗杖鎚ヘカノティア】と言う武器の延長線上の能力なだけで特殊な効果はない。


 武器はまあ汎用性があるのでこれからも使っていけるが、防具やジョブの能力を最大に発揮するなら誰かと組む必要がある。


 だが、俺は他人を気遣うプレイは出来ない。したくない。

 なのでソロプレイ上等だし、その都合で今のジョブと俺自身が相性が悪すぎる。


 そう言うわけで聖女ビルドをやめて他のジョブなり装備などを揃えて環境に対応していかなければならないが、課金パックで手に入れたこの装備どもを捨てるのは忍びない。


「……ぅんっふ……デバフ持ちマジくたばりやがれ遊ばせって感じでッスわ……」


 そんなこんなで痒いところに手が届かない万能職に歯痒い思いを抱きながらポップしてきたモンスターとの戦っていたが、なにせ聖女と装備により状態異常の耐性は底上げされているけどそもそも元が浅いので強化上昇値などたかが知れてんよ。


 針に各種状態異常を持ったカラフルビーとか言うモンスターは果樹園ステージ特有のポップモンスターであり、このほかに造形がちょっと緩くなった現実の昆虫をモチーフにしたモンスターがウヨウヨいる。


 例えば、空に飛んでいるクソデカ蝶なんか居るが特定の条件下でのみ攻撃してくるだけでその場合以外では襲ってこない。

 そんな感じに現実の虫の特性を織り込んだ行動をしてくるが事カラフルビーに関しては害虫そのものであった。


 色によって種類が分かれており、紫だと毒の針、黄色だと麻痺の針だったりと状態異常耐性が無ければ対応がめんどかったりするモンスター群。

 特に厄介なのは赤で状態異常は無いがプレイヤーを目にするなり腰振りブンブン有害ピストンを容赦無くしてくる。


 肌面積の少ない装備だったから針を直接受けず、唯一露出している頭部を守ってれば済むので楽だとさっきまで思ってた。


 五分間で10体以上の蜂が人間の半分くらいの体格して頭を狙ってくるんだぜ? 

 軽くホラーだし絵面がB級映画とか巨大化した虫から逃げるサバイバル漫画思い出したとか視聴者から散々言われるわ、頼みの耐性は元が低いから割と当てにならないわ。


 結果俺は体力が結構減った。


「詠唱……は面倒でッスわね。ポーションいきまッスわ。イッキ飲みでッスわー」


 ゴキュゴキュと、脳内では溜飲の音がするのにゲーム内では反映されない。

 そんな無意味な感想を経て、体力を回復させる定番なアイテム、低級ポーションを飲み干した。


「────かぁー!! 無味無臭でクソ不味いッスわぁー!! 昆虫さん達の亡骸を眺めながら飲むのわ!」


 倒された虫どもが消えていく。

 何というか、5が3つの平成4作品目の特撮の敵の退場演出に似てる感じの変え方だ。


 まあそんな事はどうでもよくて、事前に予測していたがやはり実践で体感するのとは訳が違う。


 現状の俺のキャラビルドの弱点。

 それはプレイヤースキルで補え切れるものではなく、解消するにはやはり他プレイヤーとの協力が不可欠。

 戦闘的にも装備的にも、一人で問題を解決していくには無理がありすぎる。


(この先に街があるからそこで消費アイテム面で何とかできるが、装備とかは現状以上の良いのが見つからなさそうなんだよなぁ……ジョブを変えようにも5連続で聖女ダブったし、またやっても同じ結果になりそうなんだよな……)


 ゲーム側の干渉が絶対なんかある。

 そうでもないと5連続で、しかも上位職の聖女がダブる事ないだろ。一万ドブに捨てたんだぞ。

 あ、やば、苛立ってきた。

 これから聖女のことドブ女って呼んだろ。心の中で(保険)


(リセット……もないな。そもそも美少女アバターになったからこんな事してる訳だし)


 やはり解決には他プレイヤーとの協力かな。


 始まりの街には鍛冶屋があり、武器や防具を販売や補修してくれたらしてくれるが、序盤も序盤なため今俺が付けている装備より上質なのはなかったし、NPCの鍛冶屋の店主に強化とか頼んだら何故か跳ね飛ばされた。

 「こんな貴重な物に手をつけられるか!」とか言われた気がする。思わず中指が勃ったね。


 ……と、考えてみたが今は何とか出来る段階ではないので保留と言うことで、次の街へと歩を進めた。


 途中であったモンスターは素材と経験値稼ぎに片っ端からぶっ潰した。


 そして、前回みたく自ら出向いて来ないで、指定の場所に根城を置いて待ち伏せしていたボスモンスターのヘビィースイートと対面切った。


「…………蛇苺でッスわ?」


 樹木としか形容出来ない胴体に根城を構えるという文字通り地面に根を張っている尻尾、固定されているのか動かない頭から生える枝には葉っぱとイチゴなる物体が見える。


 ジャイアントオークより大きく、そしてより不気味で奇怪な姿は蛇と大木が合体した感じと、一言で表すには言葉足らずな、表現のしようがないモンスターだった。


「……まあどうとでも良いでッスわ。倒すだけなので」


 近付いても何もしない。


 いや正確には目線を俺に合わせて動かしているが、それ以外の反応がないためホントにボスモンスターなのかと言いたくなる。


「──我が身を更なる高みに……チャージ」


 強化魔法であるチャージは1人を対象にSTRを上昇させる。


「──ストレートスマッシュ!」


 ストレートスマッシュはさっきレベルが上がった事で習得した鎚系統の武器のスキルだ。

 ハンマーでの攻撃に威力上昇の補正を与える。


「お食らえなさい……でッスわ!」


 ヘカノティアを肩に背負って、振りかぶる。

 落下の勢いを攻撃に転じさせ今の俺に出来る強化を持ってして、動かないもはやサンドバッグとしか言うしかないヘビィースイートに攻撃を……しようとしたんだ。


「────大丈夫かい……サマエル」


 それは俺にかけられた声ではない。

 名前にしても、雰囲気的にも明らか違う。


 しかし、それ以上におかしいのは、何故ここに()()1()()居るのか、だ。


「っ、はぁ……体力が半分以上……削れて……いまッスわ」


 かなり心臓ビクッて挙動がブレている。


 それもそのはず。

 何故ならその男?は突如として現れたのだ。


 身長は凄く大きい。

 体格は細身っぽく髪は金髪。


 ソイツはさっきまで俺が立っていたところの近くにおり、俺は数メートル離れたところにいつの間にか倒れていた。


 まるでホラー映画だ。

 実際この胸の高まりようも昔見た心霊系の映画のビックリシーンで驚いた時のと同じ感じだ。


 だが、それ以上に驚いていることもある。


 男?と思った原因。

 体格だけでは判明できない未知。


 俺はその謎に問いを掛けずにはいられなかった。


「わぁ……凄いイケメンでッスわー……」


 違うそうじゃない。

 確かにそう思ったし口に出そうになったが止めたんだ。

 なのにゲームシステムが勝手に言ったんだ。

 そう悪いのはシステムだ。ふざけやがって(責任転嫁)


 だが、俺のそんなセリフに金髪イケメンは無言で視線をこちらに向けてくるだけだった。


(いや何か言ってよ悲しくなるじゃん)

《補足》

察してる方もいると思いますが、主人公さんが課金で手に入れた装備はジョブガチャの確率に干渉して女性なら『聖女』に、男性なら『聖人』にジョブを変更します。


聖人の職業ってなんだよ。と思う方も居ると思いますが、やる事は中国拳法を使わない教徒です(武術を使わないとは言ってない)。


聖女と聖人は下位職業の修道者とは違って回復、強化魔法の他に攻撃魔法や武器スキルも覚えます。

武器スキルや攻撃魔法とかは後々書いていきますが、修道者は支援特化で聖女聖人は万能型って感じです。

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