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俺クシ、アマゾネス系お坊ちゃんでッスわ〜!  作者: 沈椒肉絲
Beginning One!
10/10

遊戯設定。ゲーム内の設定次第で戦闘はかなり変わるのでちゃんと理解した方が良いアル

「なんか……グイグイ来るね君」

「たり前っしyo。アんシ、俺クシさんの"ファン"なので」


 7時間の睡眠を経て、脳を回復させた俺は朝食を行った後にASSにログインした。

 そして湯湯婆さんと連絡を取ろうとしたら、なんかタイミングよく現れてあれよあれよとなんかパーティ組んで戦闘に赴いていた。


 急展開にも程があるがそうだったのだからそうとしか言いようがない。

 自分に言い聞かせるように状況を整理していたが、ようやく不自然な言動を頭が受け入れてくれたよ。


 そう……無断で戦闘姿を()()()()事にも、それを()()()だからと言い訳してくる事にも慣れたよ。


「手伝ってくれんじゃあ無かったの?」

「手伝うのは装備作成だけアル。それ以外のカンケーないモノは全部俺クシさんに任せるネ」

「まあ俺としてもそっちのがスキルポイント的にありがたいから良いんだけど……せめて撮るの辞めてくれない?」


 スキルポイント。

 これはASSと言うかRPG系のゲームなら大体ある設定だから既存のシステム通りだと思ってたんだが昨日、機械関連を調べてた時にそこについて少し触れられていて気になって検索したらとんでもない設定が施されていた。


「なんでレベルとスキルのプラス値の差が10過ぎると習得したスキルが無くなるんだよ」

「ASSは変なところでリアル思考だからネー。しょーがないアルYO」


 スキルポイントはスキルを習得したり強化するのに使われる。

 強化した場合は+1と表示されるが、このプラス値は強化の回数を示すだけでなく熟練度みたいな設定がある。


 それが先の忘却システム。

 レベルとプラス値の差が10以上離れた場合、自動的にそのスキルを消されてしまうと言うクソッタレなシステムである。


 これの対処としてスキルポイントを定期的に割り振るのが基本なんだが、そのスキルポイントが得られるのはレベルアップの時にそれまでに使用したスキルの回数を参照してポイントが与えられる。


「こう言うのって手数の多さが強さに繋がると思ってるんだけど、このゲームの場合だと多ければ多いほどスキル管理や割り振るポイントの調整に苦労したりするよなー」

「ぅんまあ、バランスチョー整とかで抑制するならそーなるし、やたらメッタに色んなスキルに手を出させないようにした結果このシステムになったと考えれば合理的と言える……かも?」


 始まりの街から森、果樹園、沼地の三つのステージを超え、ここからは第二の街側のステージに入る。


 第二側は農地、草原、山道、小川の四つのステージがあり、今俺たちは第3ステージの山道の中盤辺りにまで進んだが、この先の小川は川の流れに沿って進むだけで特にモンスターとの戦闘がほとんどないため実質的に第3ステージが第二側のラストステージとも言える。


「合理的ってゆーか、計画的に育成しろって運営からの意思がヒシヒシ感じられるYOネ」

「計画的……ならやっぱり、さっき話し合った事をもう一度考え直すなんてのは……」

「NO」


 ですよねー。


 山道まで来る道中、湯湯婆さんと今後の方針について話したのだが、その内容が中々に廃人じみていてガチゲーマーじゃない俺からしたら無理すぎる計画なのだ。


 まず初めに俺のレベル問題。


 最大で上げれるレベルは99なのだが、最低でも90レベルまでは1週間以内に終わらせろと言われ、次にステージ攻略。

 前述した通り第二側は四つのステージがあり、小川を超えた先の山の麓に第三の街がある。

 そこでアイテムと装備を整えて第九の街まで一直線で大急ぎで向かう。ちなみにその街までの適正レベルは50程必要みたいだ。


「結構行き当たりばったりな計画してんだけど、これでいいの?」

「どんなに計画を練っても、要は"強さ"に繋がるんだからこれくらい雑でいいんだYO。そもそーも()()なんだから細かく考えても意味ないアル」


 前提……そう、前提なのだ。


 ここまでは俺がそこまで育成している事を前提に、最終目標の工房を入手するための計画。

 最初の課題をクリアするための準備なのだ。


「早くしないと、バトロワに参加出来ないYO」





ーー1



「はあはあハァ……疲れた」


 小説で描かれるようにフルダイブVRゲームは言わば夢。

 人の身体機能と超科学による非現実じみた技術により現実にあるように見せかけて……いる?


 よく分からんがそんな感じだろ。

 少なくとも俺はそう理解している。


 まあなんにしても、だ。

 訳5時間にも及ぶレベリングと素材集めにスキルポイントのために効率のいいスキル回しを気にしたりと、とにかく大変な数時間を経て、俺は今昼休憩を取っている。


 と言っても夢から覚めたってだけの事なのだ。

 かなり頭を使ったが脳が疲労してるだけで体はほとんど疲れていない。強いて言うなら寝たきりの状態だったから少し体が重いってくらいだが……まあ昏睡状態から起きた時と比べればヘッチャラだな。


「だけど、コンビニに行くだけでもこの疲労とはな……これからは少しは運動しようかな健康のために」


 ゲームによる疲れは頭だけだ。

 なら身体的な疲労はどこからなのか。それはカップ麺と飲料水を大量に買ってきた外出による物だ。


 これから俺はクソ作業に追われてマトモに時間が取れなくなる。

 プロゲーマー程ではないが、それでもしばらくはゲームに付きっきりの生活になることは確定している。


 制御機能(セーフティライン)に引っかからないようにしかしそのギリギリの線引きでゲーム生活をすると言う不健康極まりない数日を送る。

 とてもじゃないけどイカれた生活態度だが先を考えれば必要経費とも思えられるし多彩なカップ麺の残弾とそれだけだと流石に体調崩しそうだからせめてもの気持ちでサラダと野菜ジュースを買ってきたんだ。


 それらの重量で袋の持ち手はかなり痛んだし肉体疲労が半端ないけど良い運動になったと思えば……うん。汗だくだけど。


「キャベツってそのまま食うと雑草と変わらないよな。玉ねぎは辛いしキュウリはブヨブヨしてる。でもコーンは美味い」


 やはりドレッシングがないとな。

 よく、素材の持ち味を活かした〜何とかの料理です。なんて表現で高級料理を表現する漫画あるけどさ、俺マヨネーズぶっかければそれで事足りるんじゃないかと思ってるんだよ。


 それと同じようにドレッシングがないサラダとかただの豚の餌ぁぁ〜〜なんだ。兜の料理回かなりぶっ飛んだ内容だけどまあ"平成"なんてそんなもんだよな。


「ドレッシングもマヨネーズも無くって仕方なく醤油かけて食べた事を思い出したわ。アレはホントまずかったなー」


 俺の舌が合わなかっただけかもしれないが食えたもんじゃなかったよ本当に。でも残す訳にもいかないから"焦がし"野菜炒めにして食ったんだっけなぁ……。


「あの時の黒く、ゴリゴリした感触が忘れられ……うん。忘れよう忘れよう」


 あんな豚の餌にもならない出来事を思い出してどうする。

 きつねうどんの味が落ちるだけだろ。


 と、スープを飲み干した俺は同時に視聴していたASSの動画をストップさせた。


「ロボットは10mくらいが照準サイズで、それ以上大きくするとエネルギー消費が激しくなり各部位が動かしにくく高重量のせいで全体的な行動が遅くなる。代わりに火力や耐久値が照準よりも多く底上げされるけどその逆に火力と耐久性を削って機動力と長期戦に優れた小型機体などもある……最大収縮サイズは……5m……あと3m減らせられないかな?」


 アダムのあの変形する装備を再現する。

 断片的な情報しかないが、それでも再現するには似たような物を片っ端から調べ尽くすしかない。


 いやその前にアダムについて調べた方が良いんだろうけど、ある程度ネットで検索して見切りをつけた。だって未知のイベントなのだからそりゃあ俺が進めた以上の情報はない訳だ。


 だから形だけでも知ろうと今模索しているのが()()だ。

 本音は自動装着する機械的な戦闘用スーツってロマン感じるよね? すっごい心が燻るんだよ。カッコいいから。


「でもこれだとなぁ……対人は無理だよなぁー」


 人間の数倍のサイズのロボットが対人戦に向いているのか?

 当然向いてない。


 巨大ロボットの利点は人じゃ対処できない大きさの相手に立ち向かえる点だ。

 それをわざわざ捨ててまで2mにも届かない哺乳類に合わせる必要があるのか。いや無い(断言)。

 無理にサイズを縮めてまで対人戦を意識するならもうロボットじゃなくてもいいんじゃないかと思ってくる。


 と言うのが巨大ロボットの解説兼実況動画を見た結果から得た感想だ。


「MPに依存しない方法で空中を自由自在に飛び回れてビームやらレーザーソードで敵を倒す。見た目はカッコいいけどこれを人にやるのは過剰打点がすぎるよね……」


 ギミック自体はいい着目点なのでこれをどうにか損なわず、かつ対モンスターにも対人にも活躍を見込める性能にする。


 難しいが、中々面白そうなチャレンジだ。


 上手く出来れば動画の映えネタにもなりそうだし、夢にまで見た変身ヒーローと同じ事が出来るようになる。


「変身ポーズとか考えないとなぁー。あ、その前にデザインか? いや待て、変身時のエフェクトとか設定出来るか? セリフ読み上げ機能とかも付けてみたいし、楽しみが多すぎる」


 思わずニヤニヤしてしまう。

 多分、てか絶対キモい顔してる。


「……まあ、ともかく、まずはレベル上げだ。大会に出るならせめてレベル差の暴力は無くしとかないと、な」


 この後は少し仮眠したらまたASSにログインする。

 そうして、育成とストーリーを進めて最初の課題、資金問題をクリアする。


公式大会(バトルロワイヤル)。その優勝商品があれば理想にかなり近づける……そのためにも頑張らないとな」


 気合いを入れるように呟いた俺は────





ーー2



「俺クシさんが来るまでの間に儀礼のお面、取引が出来てしまいましたよ」

「本当に、ごめんなさい」


 ────俺は寝坊してしまった。



 








《補足》 ロボットの使用条件


先んじて説明しとくとガンダ○のようなロボットは戦闘では使用できない。

正確には操縦している機体より高さが一定以上の差がある場合、"許可"が降りない。


世界の法則と言うべきか、対プレイヤーならともかくモンスターを巨大兵器で蹂躙するのはヒエラルキーが崩壊するのでクリエイターが抑制している。

と言う設定で、ASS運営がバランス調整のために使用そのものを制限する言い訳にしている。


この設定が無いとそこかしこで棺桶ダンスや地を平す行進が始まる。(そんな地獄絵図が頭に作者の頭によぎった)

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