【大多喜 廉次郎】の手記2
完徹なんていつぶりだろう?
少し頑張りすぎたようで、とても眠い。
もしかしたら、ホッとしたからかもしれない。
これを書いたら一眠りしよう。
結果としてテル少年の無実は証明された。
彼は犯人では無かったのだ。
僕がずっと監視していたし、なんなら彼のほうがうつらうつらとし始めるのが先だった。
それに、僕以外にも彼が部屋から出ていないことは確認されている。
その間に高倉由美が亡くなったのは、悲しいことだ。
けれどおそらく安心感から、彼女は自室に引っ込んだ。
それは芳賀も同じだった。
ワタべも釣られる形で、部屋に戻った。
心の内で、凶悪犯を捕まえたという安心感がそれをもたらしたのだろうと思われる。
けれど、やはり罪悪感はあったようで、芳賀とワタべが一緒に様子を見に来た。
しかも、芳賀は一度ならず二度も訪れている。
そして、ウトウトしていたテル少年を確認しているのだ。
僕自身、安心した。
気分がスッキリした。
だからだろうか、とても眠い。
眠ろう。
きっと、そう、時間が来たのだ。
眠って、そして、ゆっくり休
《ここでこの手記は不自然に途切れている》




