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西湘バイパス、箱根ターンパイク

私は以前、カワサキプラザで空冷バーチカルツインのW800を中古で手に入れた。お値段は車検2年付きで60万円ほど。

 黒をベースとしており、エンジンはメッキで出来ている。ホイールはゴールドだ。これはW800の中でもスペシャルエディションだから、ホイールの色まで作り込まれている。

 このバイクは、磨くと一層輝いて見える。

 前のオーナーさんはマフラー交換をしていて、重低音が強く、ドコドコとした鼓動感が走っていて心地いい。


 さて、今日はどこまで行こうか。箱根かな。途中で海も見たい。

 高速道路である圏央道を南下し、西湘バイパスに入る。

 西湘バイパスは天気が良いと海がエメラルドグリーンに輝き、潮風が心地よい。

 西湘バイパスで唯一のPA、西湘PAに立ち寄った。このパーキングは、バイクをとめるスペースもそこそこあり、まるでバイクの観賞会みたいだ。その中で、1台のバイクが目に留まった。

 あまり見ない車種だな~と思った。青い車体。排気量はミドルクラス?ハーフカウル。

 すると、細身の若い(20代半ばくらい?)眼鏡をかけた男性が近づいてきた。


「こんにちは。」

「こんにちは。珍しいバイクに乗っていますね。」

「このバイクはXJ6といいます。600ccで、ヤマハの逆車です。」


 逆車ね。どうりで見たことがないわけだ。

感じの良い男性である。


「私はこの後、箱根ターンパイク(有料道路)を登ってカフェに行って、そこで今日はどこへ行くか考えようと思って...。」

「それ良いですね。下界は暑いですし、ご一緒しても良いですか?僕は松下と言います。」

「私は小林です。よろしくね。」

 富士山麓を走った後、連絡先を交換した。


 こうして、ライダーの仲間が増えたところで、私は心の中でガッツポーズしたのだった。


 この後、箱根ターンパイクへ。霧はなく、快晴だ。

 駐車場にポルシェがずらっと並んでいる。記念撮影している人がいる。オフ会かな。

 1階で食事を済ませた後(富士山カレー)、2階のカフェでひと休憩。ドリンク飲み放題だ。


「松下さん、富士山綺麗ですね。」

「ここから富士山がよく見える事って、今日みたいに快晴じゃないとほとんどないですからね。」

「今日はこの後どうしましょうか?伊豆スカイラインを走って伊豆へ足をのばすもよし、御殿場に降りて富士山周遊するもよし。」

「御殿場から富士山巡るの良いですね!下界は暑いですし、富士山麓で涼みましょう。」



 一方、ここは私の職場、採血室である。

 医師が外来で問診して指示を出し、外来処置室と採血と連携して患者様の処置を行う。採血はもちろん医師の指示で行っており、電子カルテだけではなくて患者様にはファイルを持っていただく。


 バイクに乗る事が、私の仕事へのモチベーションを高めている。


 最後の患者様の採血が終わり、機材の消毒を行っていると、女医の桜井先生が私をからかいに来た。

「小林さ~ん。昨日も年下のライダーを引っ掛けたんでしょ?食堂じゃちょっとした噂よ。」

「桜井先生~。引っ掛けたとかそんなんじゃありませんから。珍しいバイクに乗っているから話をして、ライダー同士で意気投合しただけで。誰ですかそんな噂流したの?」

「さあ?小林さんのファンじゃないの?」


 桜井先生の身長は私と同じ位(私の身長160cm)だけれどやや細身で、端正な顔立ちをしている。歳は聞いたことはないが、見たところ30代前半~半ば。その他身の上話は知らず(興味がない)。


「それが引っ掛けたって言うのよ。どうしようかしら、サプライズで血管が細い患者さんの採血をどんどん回してもらっちゃおうかな?」

「冗談でも止めてください、そう言うのは。」

「20代独身で男漁りね~。選び放題ね。」

「そういう軽口は本当に止めてください!」

「ごめんね、あはは。」


 今日も桜井先生は絡んでくる。これがいつもの光景だ。

 以前、桜井先生をいつかタンデムさせますと言った私が馬鹿だったのかしら。


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