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神を喰らうには

 この主人公、既に何度も転生しているので冥界、常世も常連でした!

常世、所謂、ニライカライは、現世と酷似しながらもストレスフリーな楽園でなぜか?その住民も農業を営んだり、商売を営んだりしている。

 もちろん、村があり、街もある。

そんな、街にある商店街をいつものスーツ姿で歩いているが違和感なし!昼も夜も曖昧な時間感覚で過ごせる!

 現世というより、近世以降の庶民の装束、時代バラバラに着こなした住人達が各々に闊歩している。

 伊達にこの国に千年も輪廻転生を繰り返していた訳ではない!?

“常世にある商店街にも馴染みの飲み屋があるのだ!”

 そこで一杯、引っかけようと罪悪感なしに昼間、いや朝から北区赤羽を歩いている気分でいるが……その前に藪用が一つ。

 それを片付けるには、辛気臭い店に寄らなければならない。

 この前、来たのは……まだ、戦後のドタバタが続いていたころで……と前世くらいまで思い出せるようになってきた記憶を頼りに当たりをつけて歩いてみれば、やっと見つけた!?

“「幽玄堂」の看板を発見!”

 見た目は、大正モダン風といっても通りに面した箇所のみエンタシスの柱風に支柱を建て、レリーフに出所不明の片乳を出している女神像を飾る骨董商。

 上と横から覗けば、トタン屋根に板張りの外装の建物だとバレてしまう。

 関東大震災後によく建てられた看板建築のようだ。

 ドアの呼び鈴を鳴らして、入店すれば……櫂を漕ぐ船頭、よろしく、うつらうつらと昼行燈のような店主がレジ·カウンターの椅子にもたれている。

 前、店に顔を出したときは、今の店主の爺さんに当たる立派な人物だった。

「ハタっ、秦 角彦って、いやー!今生の陰陽師で一番って、誉れも高い先生が常世でまた、居眠りって贅沢していいんかい!?」

 と、孫の体たらく振りについべらんめい調に話しかけても、……起きない?

「主人がいつも、ご迷惑かけてすみません」と後ろ手に女性の声が代わりに答えた。

 どうも、自称?角彦の妻、「岩木 冴」は人なのか?式神なのか?不明で角彦もはっきり答えない!?

 大正期の髪隠しの髪型で簪さし、少し面長、目は一重で少しつり上がっている。 色白の東北美人の顔だちなのだが年齢不詳、背も女性にしては高い方かな?服装はいつも着物で帯の色合いで締めている。

「いやっ、奥方さん、こちらこそ、旦那さんにお世話になってますんで……!」

「相も変わらず、簪と帯の色が決まってますね。肌の艶も……本当に……。」

と言いかけたところで

「ゴホン!ゴホン!」

とわざとらしい咳払いをする主人。

「冴、奥にいってなさい!」

と指図するも、けっして、妻だ、使用人なのか?と聞いても答えず、はぐらかすのが()やしい?

「ミャー、ミャー?」

“ここっ!どこ?どこ!?”

 と足元にまとわりついて来た三毛猫ことミーちゃんも一緒に入店していた。

 両脇からゆっくり抱え上げ、店主へ一緒に挨拶する。

「猫?は入店禁止だったっけ?」

と問えば、

「女性は、いつでも大歓迎ですよ!」

とにっこり返事されても……!?

 ミーちゃんに、

“ナ〰️ゴ!“(ありがとう)

”ゴロゴロ“

と機嫌が良く喉を鳴らされてもね?

 店内を見回せば、本棚には、

“『三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集』、「晴明朝臣入唐伝」……etc。“

 と読んでいくうちに舌を噛みそうな書籍ばかり、そのうちの一つを指しながら、

「これって、真密の坊さんが書いたって説、本当かな?」

と藪を突っつくような質問をかける。

京人風にすまし顔でいる角彦が、

「ぶぶ漬けでも……!」

と返したところで、

「俺の“預け物”……返してもらおうか?」

 と聞いた途端に右手に刀印を組み、九字を切る前に、

「そうしないと……妲己(ダツキ)ちゃん、起こすよ!」

 と何気に原子爆弾(アトミックボム)級の脅しをかけてやった!!

 “天狐(テンコ)”に対抗できる天敵の“オオカミ”である俺の封印を解くとどうなるか!?

 某国の共産党のお抱えの道士たちでも、天文方としても用をなさなくなった陰陽師寮の残党も為す術なく、東アジアの指導者層は……破滅に向かい。世は新たな革命へ向かう!!

「隠された傾国の器を東アジアへ放てば、政局を覆す!どころじゃない!?」

この脅しにどこまで無言でいられるかな?と俺は余裕をかまして、角彦の表情を眺めた。

「お前が【(ショク)】の力を取り戻してまで……挑む相手って……天帝では、なかろうな!?」

と泡を喰った体で慌てふためきながら問う様は一興だったが、

「西の問題だ!!奴らの『虚ろ』を喰らうのには……“天狼(テンロウ)”の力が必要なんだよ!」

と事情を説明して、イザナミ様はもとより、アマテラス様も了解の上だと念押しして、この件が終わり次第に返上すると“約定済み”と勅書まで、見せてやった!!

「天狼の使命は、天帝を導くってこと、忘れてないかなー?君っ―!?」

と陰陽師としての常識を再確認させたところで

「仰せのままに……!」

と角彦が腰を抜かしながら、勅書の前でひれ伏して答えた後は、予想以上の展開でこいつの先祖と交わした契約通りにやっと、儀式一般の準備に動き出した。

それから、あの世の感覚で三日の後に「宿曜経」を基にした“返納の儀”を執り行う。


 やっと、昔の“蝕”の【異能(アナザーアビリティ)】を取り戻せ、そうなところに……余計な珍事?が起こっていた!?

 あの拘束状態から抜け出した“カセイジン”が“フルチン”のまま、逃げ出しちまったんだよな〰!?……と俺の管轄外で……どうしようもない。

 俺は、久方ぶりに規格外の“悪友”どもが集う……“常世の二丁目”と呼ばれるアブノーマルな裏通りに嫌々ながらも歩を進めていた。


 本当に……彼は何者なんでしょう?って俺がいってもなんだかなぁ〰️!?

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