騙されていたのか!
愚かだったのか!
騙されていたのか!
愚かだったのか!
作 葉月太一
(一)
信じていた、ずーっと信じていた
「平和利用は是」
いや、信じさせていた
自分に信じさせていた
やむを得なかった
原発再稼働はあまりにも愚かだ!
原子力の平和利用の是非論
まやかしだ
僕らは原子力と核は同じだと知っている
必ず原爆研究に結び付く事を
原発はやるべきでない
みんな異口同音に叫び続けた
本当の意図を知っているから
核兵器を持つ能力の為だ
知っていたのに
「平和利用」と嘘吹いた
いまだに多くの人は
刷り込みされたままだ
原発再稼働はあまりにも愚かだ!
僕らは原子力に夢を抱いた
その愚かさに
その落とし前をつけなければ
かなり強烈なメッセージだった
(二)
はたちのころ見学した長崎原爆資料館
忘れることが出来ないあのショック
「みたび許すまじ原爆」を
「核兵器廃絶」を
誓ったはずだったのに
いつのころか
周りにはびこったまやかしのボキャ
「平和利用」なる
まやかしボキャが横行
「廃絶」「廃棄」「撤廃」が風化していく
二〇〇〇年から、長崎を離れた
その八年間
「原爆許すまじ」は風化した
腑抜けの八年間
玄海原子力発電所を見学
川内原子力発電所までも
そして騙される
これでもかと犯される
「平和利用は是だぞ」と
刷り込まれる
核兵器は
「段階的解消がベターだぞ」
だから大人の行動をしよう
あの非核論者が豹変す
あの非核論者が絶叫す
鬼の首でも取ったのかのように
「平和利用は是だぞ」
「段階的解消がベターだぞ」
思うだけでなく
絶叫して歩く
(三)
八年たって帰った長崎
最初の八月九日
素直に黙とうしていない自分が
そこにいた
「はっ」とした
間違いなく風化は起きていた
いけない
自分は腑抜けになっている
(四)
そして三年後
東日本大震災
東日本大震災は、
福島・宮城・岩手にまで及んだ
被災地にライトバンを飛ばした
仙台・石巻・松島・気仙沼・大船渡
更に
リアス式海岸を北上して行った
道なき道を通り
山を抜けて漁村に出ると
漁村は津波の爪痕で
ことごとく壊滅
何か役に立てないか?
いうすべもなく
ただ立ち往生するのみ
そして、その時は、
福島に心を馳せるゆとりはなかった
しかし、福島電発の惨状が
次から次へと判明していった
自然災害への憤りより
間違いなく人災である原発災害への憤り
噴出した!
「完全安全」の神話は崩れた
スリーマイル島やチェルノブイリとは違う
福島原発は
チェルノブイリは原子炉暴走・爆発
スリーマイル島は人為的ミスの重なり
ところが福島原発は違う
大地震と大津波
大自然の力によるものだ
その力を侮った奴らは誰か
「想定外」で済ませるつもりか
チェルノブイリの事故の時も
福島原発の事故の時も
胸を痛めたが、
「平和利用」の
刷り込みが残っている
原発反対を口にできない
立場のもどかしさ
そこにも腑抜けになった自分がいた
「即時撤廃」を叫ぶべきなのに
気持ちと行動を黙殺
何も語らずに時間の経過を待つのみ
それでいいのか
(五)
大自然の強大な力
なめるな
人間の想像を超越する力
あなどるな
なめてあなどったあげくに
「想定外」とうそぶく
そして白を切る
いまだに
大自然の強大な力を
認めようとしない不遜な態度
許せない
除染作業・保修作業・メンテナンス作業
原発に従事する人は、
毎年五人程度
癌で死んで「くれて」います。
これまでも数百人
犠牲になって「くれ」ました。
これからも死亡して「くれる」おかげで
原発は安全に運転できるのです。
どうぞ、ご安心ください。
(六)
原発、即、許すまじ!
セシウム137が子供たちの上に
許すまじ
これからの、
そして将来の子供たちに
犠牲を強いることを
決して許してはいけない
核兵器はもちろん
原子力発電所も
「即時廃棄」「即時撤廃」
今すぐに
遅くはない
何ができるかを考えるのではない
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