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71話

あの時こうしとけば~の番外編を先に終わらせちゃう影響で、こっちがちょっと空いちゃいました。

数少ない愛読者の方、大変お待たせ致しました。

って、そんな奇特な人いないですよねえ~。

よろしくどうぞ!

「なあっ、平川君!

 私の言った通りであろう!」


 ともかちゃんを見た後で興奮気味な僕となつき。

 そんな2人の報告を聞いたダイヤ先輩は、目を輝かせてミッキーに言い放った。


「ま、まさか、本当に……」


 言われたミッキーは軽くショックを受けたみたい。


「え? どういう事?」


 僕となつきは何が何やら。

 おそらく先輩が偵察前に言っていた「策」ってのが関係しているとは思うけど。


「とは言え、俺達のは、やり過ぎになるのでは……」


「いやいや、そんな事はない。

 むしろ我らの方が原作に近いのだ」


 鼻息荒いダイヤ先輩に、それはそうですけど、と肯定しだしたミッキー。

 そんなミッキーの左肘をグイイッと引っ張って、


「何がどうなってんの!」


 大声を出して、やっと2人の意識を僕に向けさせた。

 そこでダイヤ先輩にその「策」とやらを聞かせてもらう。

 

 先輩は植野先輩経由で、稲高演劇部がちょっとした舞台みたいな事をやるのは知っていたらしい。

 向こうの部長の大野さんはダイヤ先輩に対して意固地になっている。が、植野先輩とは今でも大の仲良し。

 地区でやる演劇部の集まりや大会でも、ちょくちょく顔を合わせている。


「奴めペ~ラペラ喋りおって、クククッ」


 少し前にあった演劇部の会合で、大野さんはうっかり口を滑らせたらしい。

 いや、たぶん言った所で問題とも思っていないのだろう。

 だって美術部が演劇部を相手に、逆立ちしたって演技で敵う訳がない。


「私も植ちゃんから聞いた時には、同じ方向で張り合おうなど考えもしなかった」


 との事。

 えっ?

 その口振だと。


「じゃあ、今だと張り合うって言うんですか?」


 なつきが彼氏に……じゃなくて彼女に敬語で尋ねた。

 時々このふたりは男女逆に見えてくる。

 

「そうだ!

 衣装、平川君、そして私。

 これは偶然ではない! 必然だ!」


 興奮して訳がわからない先輩は放っといて、事情を知るミッキーに続きを聞く。

 ミッキー曰く……

 朝俺が斎藤先生んとこで古武術を習っていたのを知って、台矢さんは閃いたらしい。との事。

 2人で即興の組手をやろう、すん止めで。との事。

 やりながら天馬の名シーン、カズキとブッタのバトルを再現しよう。との事。


 何ともキナ臭い計画が練られていたのだった。

 

「先輩! カヨ先輩には言ったんですか?」

 あわてて僕はそう尋ねる。


「い、言った……ような気がする!」


 絶対言ってないな。


「お前達は何故、カヨちゃんばかりに是非を問うっ!」


 経験則ですよ、先輩。

 

「ねえ、ミッキー、どう思う?」


 僕はミッキーに聞いてみる。

 最終的には先輩とミッキーの行動になるからだ。

 それにミッキーの言う事にそうそう間違いはないからね。


「ミチ」


 少し考えてから、ミッキーが僕に顔を向けて答えを返す。


「理性的回答なら、やるべきではない。だろうが」


「ミ、ミッキー!?」


「ファンとして、マスミストとして……違うな。

 筑豊の男として、俺は台矢さんとの組手を受けて立ちたい」


 両肩を掴んで僕を見詰めるミッキー。

 熱い瞳でそんな事言われたら、反対出来なくなるじゃないか。

 仕方なくコクリと頷く。


「平川君、良く言った! なつき、私はやるぞ!」


 こちらも熱く、というよりも爛々と瞳を輝かせて、恋人の方に向くダイヤ先輩。


「もう。

 警備員呼ばれないでよ、師匠」


 なつきも渋々了承した。


「よし、カヨちゃんが来る前に、さっさと花火を打ち上げるぞ」



 ーーーーーーーーーーーー



 ホールの外周、サークルがブースといって陣取っているたくさんの机の集まりのぐるり外側。

 そこは4、5メートル位か、壁までかなりの幅を取ってある。

 壁の辺りには休憩して、買った同人誌を待ちきれずにチラ読みしてる人とかもいる。

 

 僕達は、自分のブースから真っ直ぐ壁の方向に会場を横切った場所、長机から抜けて開けた所に立った。

 僕らのブースには、

「イベント開催中! こちらです」

 と紙に書いて矢印も記しておく。


 ダイヤ先輩とミッキーは、3メートル程距離を取って向かい合っている。

 いや、声明ショウミョウのブッタとアラベスクカズキが対峙している。

 ふたり真剣で、表情に穏やかさの欠片もない。


「台矢さん、よろしくお願いします」


 ミッキーは左手を前に出し半身を後ろにずらす。

 出した左手の平を半開きにしてるのがカズキっぽくていい。


「フフ、よろしくアラベスク。

 ダイヤとは誰の事だね?」


 先輩がやっと顔に笑みを浮かべる。

 不敵さがまた、ブッタみたくていい。


「そうでしたね……」


 ミッキーもフッと微笑み、大きく息を吸った。


「ショウミョウのブッタ!

 この舞闘場ステージ、突破させてもらう!」


 ミッキーが会場全体にも響き渡ろうかという大声でカズキの台詞を吐いた。

 近くの人は予め何となく分かっていたが、少し離れている人達は何事かと視線を向けた。

 またもや視線が集中線となり、舞闘士マインドふたりが周りから浮かび上がる。


六道りくどう、どこに飛ばされたい? カズキよ」


「むう、もっとも仏に近き男……ブッタよ」


 キャアアアアアアアアッ!


 居る! 目の前にブッタとカズキが居るうううっ!

 僕はもう、全てがどうでもよくなってしまっていた。

 

 

ふたりの勇姿をビジュアル化したいのですが……余裕がなくて。

イメージはモロあのふたりで大丈夫です。

そのうちイラスト挑戦します。


読んでいただきまして、ありがとうございます。

次話もどうか、よろしくお願いいたします。

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