表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/80

6話

ふたりっきりのビデオ鑑賞です。

いやいやいやいや、親友同士ですから。

幼馴染みが居間で一緒に映画観ているだけですから。

ほんとにそれだけ?

……まあ、おたのしみ下さい。


 それは悲しい恋の物語……

 結ばれぬ、けして叶う事のない、愛の物語。

 悲劇をもたらす、そう分かっているのに、どうして出逢ってしまったの……


「ど、どぼじでえ……でばっでぢばっだ、ううう……」


「な、ティッシュ持ってきて正解だったろ?」


 ミッキーに手渡された紙を当て「うん、うん」した後、

「ヴィーン」と大きく鼻をかんだ。


 ミッキーのうちの居間で行ったビデオ上映会。

 大恋愛ののち、寄り添い眠る様な2人の最期に、僕の涙腺は崩壊した。

 さすがにミッキーは耐えたようで、しかし目を真っ赤にしている。

 僕の前でも、恥ずかしいのかな?

 なんか、ちょっと嬉しい。


「すっごく良かったあ」


「ああ! また今度、何か借りてこようぜ」


 ミッキーもご満悦だ。


「それにしても、ミッキーが恋愛物なんて意外だね」


「ん? ああ、ちょっと勉強にだな……」


「勉強?」


 変な事を言う。

 僕が疑問符を顔に浮かべて見詰めると、少し照れた表情をして頬を指で掻いた。


「俺さ、演劇部に入ろうと思ってるんだ」


「えんげきぶう!?」


 この男からは、まず出て来るはずのない言葉に驚いた。


「どういう事?」


 ミッキーは中学の時やっていたバレーボールか。

 甲子園めざす、とか言い出して野球をまた始めるのか。

 部活やるなら運動系、なんて勝手に僕は思っていた。

 少年野球で彼は、サードで4番だったのだ。

 ミッキー、カッコ良かったなあ……


「ヤエの奴がな……」


 ともかちゃんっ!?


 そうだった!

 今日ここへ来た目的はソコだった!

 映画を観に来たんじゃない……良かったケド。


「うんうん」


「あいつは1組で、俺は3組」


「そ、そうなんだ」

 やだ、今一瞬ホッとした……


「それでな、燐光寺の奴も、1組だった」


「え? そんな……」


 今感じた罪悪感に、さらに不安感が交ざる。


「それでな、1組になったバレー部仲間の話によると」


「うんうん」


「2人は初日に仲良くなって、来週から一緒に演劇部に入るらしい」


「えーーーーーっ!」


 どうしよう? どうなんだ? いいのか? どっちなんだ?

 本当に燐光寺君が悪い奴なら、ミッキーが側にいた方がいいけど……

 2人が普通に仲直りして、いや、仲良くなっていたら?

 ミッキー、側で見ていられる?

 その2人が恋愛に発展したら、割って入って行けるの?


「それにしてもあいつ、何で逐一俺にヤエの情報言ってくんだ?

 ま、助かるけどさ」


 ダメだーーーーーっ!

 このニブチンじゃダメだ!


 勝てない。

 勝てる訳がない。

 他人の方が、あんたの気持ちに気付いてんだよう。

 こりゃ完全に負けたあと、本当の気持ちに気付いた……ってパターンだ。

 別マでやってろ!


「ミッキー!」


「おお?」


「特訓だよ!」


「特訓?」


「うん。

 演劇部に入るんなら、演技の予習をしよう」


「はあ?」


 僕はミッキーがやっぱり好きだ。

 ともかちゃんと付き合ってしまうのは、正直辛い。

 でも蚊帳の外のまま、燐光寺君にともかちゃんを取られて、後悔や嫉妬や失望のミッキーを見たくない!

 せめて、せめて三角関係位には持ち込みたい。


「折角ビデオ観たんだからさ、さっきのやってみない?」


「さっきの?」


「あのラストのところ」


「ラストって、2人面と向かって喋って……」

 

 そこ、見詰め合って愛を囁くだろ。


「キスするんだろ」


「バカ! そこまでする訳ないだろ!」


「ああ、びっくりしたあ。そうだよな」


 こっちがビックリだよ。

 ……僕は、それでもいいんだけど。


「当たり前だろ!

 2人で愛を囁いて、キスする手前でストップ」


「えー、こっ恥ずかしいなあ」


「だから練習するんだろ!」


「ああ! そうだな、その通りだ」


 よし、この特訓で形だけでも、恋愛に慣れさせよう。

 まあ、僕も経験ないから自信ないけどね。

 

ビデオ鑑賞を口実に、彼女を部屋に連れ込み易くなるのはもう少し先の事でしょう。

この頃は家族団欒のアイテムでもありましたね。


読んでいただいて、ありがとうございます。

次話もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ