62、5話 ダイヤ先輩のきもち
前回のオマケです。
そこに隠された真実とは!
はいはい。
そんなんじゃないですね。
よろしくどうぞ~。
「先輩っごめんなさいっ! ごめんなさいっ!」
目の前でなつきが土下座している。
私の初めてを奪って悪かったと頭を下げているのだ。
「あ、謝るなと、言ってるだろうが。
そんな、お前だけが、悪い訳では、ないだろ。
私の方が、年上だし、師匠だし……」
やめてくれ、自分が情けなくなる。
「そ、そんな事、今は」
どうせ私だ。
優しいお前が手を出す筈がない。
「いや、なつきの方が襲われ……て……」
ううう、そう、どうせ私なんだ……
駄目だ……もう……
「先輩?」
ごめん、なつき。
こんな師匠で。
弟子に涙を見せてしまった。
だめだ。
止まらない……
「私は、自分がガサツな事位、分かっている。
まわりはそう見てるし、その事も自覚している」
「…………」
「でもな、私だって女なんだよ。
初めての時に憧れだって持つんだよ。
それを……まるで……
場末の酔い潰れた商売女の様に……」
うううううう、今すぐ消えてしまいたい。
「先輩……」
「うっうっうっ……」
うっうっう……
…………ん?
なんだ? この臭い。
クンクンクンクン。
!!
これは、あれの血だ……
あ!
今日は私、あの日だ。
ああああああああああああああ。
何やっとるんだ私は!
おおおおおおおおお。
思い出した。
昨日、なつきが寝入って起きないからって、裸にしたのは私だ!
あああだんだん思い出してきた。
調子に乗った私は、自分も裸になって布団に入ったんだった。
だって興味あんだもん!
初めてはこんな感じで並んで寝るのかなあ、なんて気になんだもん!
そうだ、それでそのまま寝てしまったのだ。
ガバッ!
昨日の事を思い出せてきたら、なつきが後ろから布団を肩に掛けてくれた。
ん!?
そしてそのまま私を抱きしめる。
「先輩。
僕、強くなります。
そして、先輩を守れる男になります」
な、なんだ?
どうした、なつき。
「だから!
だからその時は」
なつきの力がひときわ強くなった。
ええ?
これって……
「台矢明美さん、僕と結婚して下さい」
わわわわわわわわ!
違うぞ、なつき。
お前は何もしていない。
「なつき、早まるな!
お前は勘違いしているぞ!」
これは、その、なんだ、ううう。
どうしよう?
どう説明すればいい?
「勘違いなんかじゃありません。
僕も先輩を時々ちょっとだけ、ガサツだと思います。
暴力的な所もワガママな所もあります」
「うう、そ、そうか」
この事言ったら、ちょっとどころじゃないぞ。
ガサツで、ズボラで、品もない……
「でもそんな物、先輩の温かさからすれば些末な物です。
僕は特に、いつも側でその熱を受けてきたんです。
もうすでに、好きだったんです」
「お、おおう」
あああ、そんな、嬉しいけど、ううう申し訳ない。
そんな大層な女ではないのだ。
「誰が本当に好きだったのか気付いたんです。
けして責任をとるとかでなく。
でも……先輩が僕を男として見れないのなら」
「いや、そんな事はない、ぞ……だが……」
「先輩。
僕は男として真剣に考えて口にしました。
ですから、僕の為とか、師弟後輩とかで話を濁すのはやめて下さい」
「うっ!」
「俺も男です!
男の決断に泥を塗る様な言葉はいりません」
おおおおおおっ俺!?
おひょおおおおおおう。
なつきが俺!
「おおっ!
おおおおお……分かった!
そうだな。その通りだ」
「はい」
言えん。
真実は死んでも言えん。
墓まで持って行こう。
どうしよう……
なつきが好きだ。
もうずいぶん前からだ。
こんなチャンス二度とはないぞ。
べ、別に騙してるわけでもないし……
その、互いの愛があれば、それほど、問題じゃない、だろう?
そ、そ、そうだな、そうだよ……
い、行け、言っちゃえ。
「なつき、付き合おう。私もお前が好きだ。
いや、もう大分前から好きだったのだろう」
「先輩……」
「私も自分の気持ちを誤魔化していた。
だから、まあ、切っ掛けには良かったのかもな」
そうだ。
切っ掛けだったのだよ。
すべては。
「でも、もう俺って言うのはやめろ。
無理して言うもんじゃない。
まあ、私の前で、たまに言う分には、構わんが」
そう。
お互いのこの気持ちが大事なのだ。
「だが男の一言だからな、覚悟しろよ。
私を越えるのは楽ではないぞ」
「はい!
でも、武力の事じゃないですからね、師匠」
「ははは。
それでは永久に私たちは婚約者止まりだもんな」
「こ、婚約者!
は……はい」
私はお前を愛しているぞ、なつき。
「昨夜はこんな風になったが、私は結婚までは許さんぞ。
それでもお前は我慢できるのか?」
だが当分はお前のそれは使わせてやらんからな。
私が初めてだってバレちゃうからな。
私はそんなに安い女ではないぞ。
「先輩! 目がいやらしい」
「ふふん。
まあ、お前が私を支えられるまでは、ここまでだぞ」
でも、これくらいなら、許して……やるぞ。
「え? は、はい」
だがやるからには、徹底してやる。
それが私、台矢明美の本質だからな。
「んんんんんん!」
前にカヨちゃんとやっといて、いい練習になった。
女同士はノーカンなのだよ。
だから。
なつき、これは私の……
ファーストキスだからな。
今回女性の大事な体のしくみを取り上げて、不快に思われた方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。
けして軽んじてなどいませんのでご容赦下さいませ。
読んでいただきまして、ありがとうございます。
次話もどうか、よろしくお願いいたします。




