43話 えとうなつきのおはなしⅡ- 2
なつき視点です。
しばらく続きます。
よろしくお付き合い下さいませ。
「松田君、あの時は本当にごめんなさい」
2人だけになってから直ぐ立ち止まり、僕はかつて親友と呼べたのかもしれない友……松田豊君に謝った。
ミチヨは何か考えがあるらしく、僕らに撮りっきりカメラを買いに行かせた。
彼と一緒にさせたのは間違いなく、僕の気持ちを慮ってくれたのだろう。
「さっき謝っただろう」
「あんなドサクサじゃ嫌なんだ」
「そうか……」
一歩先を歩いていた松田君は、振り返り正面を向いてくれた。
「松田君、僕はあの時……
君が真剣な気持ちで接してくれたのに、無視してしまった。
君が謝っている言葉を、聞こうともしなかった」
「だから俺の気の迷いだったんだって」
松田君はまた僕を、僕の気持ちをも庇おうとしてくれている。
やはり本質は友人思いの優しい人なんだ。
「それでも!
ごめんなさい」
この数年間、後悔でずっと胸に黒い靄を作っていた。
時間は巻き戻せないけれど、同じ失敗は繰り返さない。
そう思う事はできる。
「僕は、松田君が好きだった」
「!」
「でもそれは友達として、すごく大事で、大切で……
親友になってほしい、そんな気持ちだったんだ」
あの時やれなかった事ーー
松田君の気持ちと、真摯に向き合う事。
「…………」
「僕にはずっと好きな女の子がいたんだ。
だからあの時はまだ、男性を愛するなんて考えられなかった」
僕は正直に、当時の気持ちを彼に伝えた。
「まだ、か。
今では考えられるのか」
「え!
いや、僕は、その」
うっ!
無意識にそんなとこまで正直に伝わった。
「国立だな。
やっぱり2、3発クラしときゃよかった」
「松田君!」
「冗談だよ」
ニカッと、懐かしい、人懐こい笑顔をみせる。
が、直ぐに少し顔を歪めた。
「でも奴はたぶん、平川の事を」
「うん、今でも好きだよ。きっと」
「お前……」
『いいんだよ、僕は。
なつきがともかちゃんをどう思っていても。
僕がなつきをどう思っているかが大事なんだから』
前にミチヨの言っていた言葉を思い出す。
今なら君の気持ちが痛いほどよく分かる。
僕らはホント、似たもの同士だね。
「いいんだよ。
僕がどう思ってるか、だから。
それに」
やはり今でもオレンジ色に包まれた、じっと見詰めてくる彼女がふと浮かぶ。
「僕の方も、初恋の彼女をまだ吹っ切れていないし」
そこまで言う事もないだろうに。
つい相談する様な感じで話してしまう。
……そうだった。
かつて松田君とは、よくこんな風に話していたんだった。
「ああ、八重洲ともかだな」
「え!?」
「前に幼馴染みが好きみたいな事、教えてくれただろ」
「そ、そうだっけ?」
うう、ミチヨの事、笑えないな。
「まったく、お前といい平川といい、損な恋愛しやがって……」
「松田君……」
「ありがとう、江藤」
「え?」
松田君はもう一度ニッコリ笑顔を向けた。
「俺の為に涙を流してくれたらしいな」
「うん」
「俺はそれで、胸につっかえてた物がスッキリ消えたよ」
「松田君……」
ポン!
彼は僕の左肩に手をのせた。
「なあ、また友達になってくれないか」
僕の胸の温度が一気に上がり、目が熱く、とても熱くなる。
「もちろんだよ。
ごめん……いや、ありがとう」
ふたりとも笑顔なのに涙が頬を伝っていた。
全てが同じとはいえない。
同じなはずはない。
でも……
僕の時間が数年間、巻き戻ってくれた。
そんな錯覚をした。
「さあ、カメラを買いに行こう。
何に使うのかは、まあ、俺は知らないって事にしなきゃ」
「そうだね」
ふふふ、あははと笑いながら、僕たちは駅の売店を目指した。
カヨコ「おみやげは?」
KUZ「はあ?」
カヨコ「執筆すっぽかして沖縄行ってたんでしょ」
KUZ「す、すみません」
ダイヤ「はっはっは。いいさ、どうせ待ってる者などいないのだ」
KUZ「うっ、強く否定できない」
カヨコ「そんなんだと、ほんとに誰も読まなくなるわよ」
KUZ「ごめんなさい。反省します」
ダイヤ「お前が好きにやってる事だ。自身で考える事だよ」
KUZ「おっしゃる通りです。これでもどうぞ」
カヨコ「あ! 私このお菓子大好きい」
ダイヤ「おおっ! チン〇スウだなっ」
カヨコ「ダイヤちゃん!!」
KUZ「結局、下ネタかよ……」
読んでいただいて、ありがとうございます。
先週は遊び過ぎて配信できませんでした。
数少ない読者様に見棄てられないよう、気を引き締めて精進します。
どうぞ、次話もよろしくお願いいたします。
ちんすこう、種類がいっぱい増えて、美味しいです!




