36話
今回から新しい展開です。
よろしくどうぞです~。
漫画研究倶楽部改め、漫画研究同好会は発足する運びとなった。
とはいっても、部室は美術室、顧問は神野と、なんら美術部と変わらない。
まあ、演劇部の植野先輩が部長(会長)になっている所を除けば。
実質的にはダイヤ先輩なのだろうが、部長が部長を掛け持ちは良くないとの事。
植野先輩はこっちがメインで演劇部が掛け持ち、って扱いらしい。
「上辺なんてどうでもいいのよ。
私はダイヤちゃん、カヨちゃんと楽しめればね」
植野先輩らしいっちゃらしいお言葉。
そりゃそうだ。
実際今までやって来てる事を公にやるってだけ。
いや、要は体育祭でコスプレを遣りたいが為。
ただそれだけ。
酷い話だ。
そのせいで生徒会長のさとじ君達に迷惑をかけ、渋る神野先生にも無理言って。
先生には僕が今年も頑張って、秋の県展でまた特選以上を取ると約束して了承してもらったのだ。
そう、去年の県展で僕の油絵は特選を頂いた。
県展は体育会系でいう県大会みたいなもの。
特選は、う~ん、5位入賞したけど全国大会には行けない、みたいな感じ?
たしか全国推薦っていうのが特選の上で、それを取ると全国に行けるらしい。
よくわかんないけど。
画家先生の神野師匠の言う通りに励めば、それなりの作品が出来る。
おかげでダイヤ先輩から運営などという変な仕事を押し付けられたのだが。
一応美術部の活動で学校に貢献してるので、職員室の先生方の反応はまず良好。
利用出来るものは最大限に、との事である。
「よし!
ついにコスプレ部の発足である」
まだ言ってる。
ま、実際その為だけに作るのではあるが。
美術室には台矢、中山田、植野の先輩方と、なつき、僕、会わせて5人の同好会メンバー。
あれから1週間後、さとじ君から前回の申し出通りに話が付いたと報告があった。
それで今日は簡単な発足式となったのだ。
「あの女の敵、山本生徒会長も我らに屈した」
酷い言われよう。
「だが、やっとここでスタートラインだ!
これで後顧の憂いなく、宿敵稲月高校演劇部に相対する事が出来る!」
「「「おおーーーっ!」」」
そうだ。
全てはそこだった。
今度はあの稲高に、いや、燐光寺休にいいようにはさせない。
その為のコスプレ行進だ。
体育祭のその行進だって、後にあるであろうコミケ会場での直接対決の為の行動だ。
夏コミで受けた借りはキッチリ返してあげないと。
「夏コミで決戦、と行きたい所だったが、冬コミで対決だ。
5月のコミケ、夏コミ、体育祭と力をつけて、冬コミでの最終決戦とする!」
「「「はい!」」」
やはり勝負事になるとブレがない。
こういう時のダイヤ先輩には、さとじ君の気持ちも理解できる。
うん!
この人について行こう。
ーーーーーーーーーーー
もうすぐ5月。
マリンメッセのコミケまで目前。
今日僕は、カヨ先輩、なつきと福岡に来ています。
博多スターレイで中規模のコミケがあるとの事で、軽く視察とコスプレを。
ダイヤ、ウエ両先輩は、衣装作りに忙しいと血の涙を流し断念。
とくにウエ先輩は演劇部の衣装もあるので寝る間もないらしい。
カヨ先輩は同人誌を物色し、なつきと僕はコスプレをする。
カヨ先輩に財布を預けて2人して更衣室へ。
今日は天馬ではないとは言われたが中を見せてくれなかった。
開けてからのお楽しみだ、と言ったダイヤ先輩の笑顔は嫌な予感しかなかったが。
「うわああ!
嘘っ、これ着るの?」
なつきが思わず声をあげる。
困惑気味に僕を見て、服の肩をつかんでこっちに向けた。
ハンガーに上着と、スカートが掛けてあった。
女子高生の制服だった。
今期から始まった女子高革命ウ、なんとか。
何か前評判いいらしい。
最近忙しくて新番組までチェック出来てない。
先輩方も忙しいらしく、有り物にちょっと手を加えただけみたいだ。
この制服を着たら腰に剣を帯びる。
木刀入れ渡されたから新撰組かと期待してたのに……
「全く師匠ったら、仕方ないなあ」
もうすっかりダイヤ先輩に毒されたか、なつきは愚痴りながら着替え始める。
「もう、仕方ないよね」
僕は、ちょっと、不覚にも、可愛い制服だなと思ってしまった。
ん?
何か回りの人が……
見てる!
チラ見だが、大勢の目がチラチラチラチラ。
恥ずかしいっ!
「な、なつき。急いで、急いで」
ちょっと急かしちゃう。
「どうしたの、ミチヨ……!!」
なつきも気づいたみたい。
((ひいいいいいーーーーっ))
僕達は急いで着替え、逃げるように更衣室を後にした。
数年後は福岡ドームが大きなコミケのメインになりますが、
この当時はマリンメッセか国際センターでしたね。
今でも使ってるのかなあ。
全然行ってないなあ。
読んでいただきまして、ありがとうございます。
次話もよろしくお願いいたします。




