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33話

最近はしゃぎ過ぎたので、ちょっと物足りない感があるかもしれませんね。

それなりに、どうぞお楽しみ下さいませっ。


「コスプレ部のなにが悪い!」


 ダイヤ先輩は鼻息荒く抗議したが、逆にみんなに非難される。


 せっかく生徒会がやんわり、申請の通し方を教えているじゃないか。

「意見はごもっともです」

「ただコスプレ部っていうのはちょっと」

 と、言ってくれているのだ。

 要は、生徒会と学校が判を押しやすいよう、体裁を整えてくれって事でしょう?


 新しい部の名前は「漫画研究倶楽部」で申請する事になった。

 これなら日本中、至る所に存在する部。

 いわゆる「漫研」だ。


「こっちの方が、私達らしいじゃない。

 ダイヤちゃんのじゃコスプレだけの部みたいよ」


「むむむ、確かに。では致し方ない」


 ダイヤ部長も納得されたので、これで提出となった訳だ。

 そこで透かさず、僕は練ってきた案を出す。


「活動の方は漫画制作が主で、漫画を元に映像表現にまで着手するとしたいんですが」


「おおっ、ミチヨ君、大きく出たな」

 

「いずれはアニメや実写で漫画を表現したい。

 こうしておけば、実写映画の名目でコスプレできるでしょう?」


「「「おおおおおおおーーーっ!」」」


「策士だ」「いいアイデアだよ」「うん、悪くない」

「策士、策に溺れるだな」「もう! ダイヤちゃん」

「「「アハハハハハハハ」」」


 どうやら満場一致のようだ。

 早速、生徒会への提出書類の隙間を埋める。

 昼休みにあらかた記入しておいたので、そう時間はかからない。

 出来れば今日中に出しておきたい。


 小一時間もかからずに記入し終えたのだが……


「よし! 私も行こう!」


「は、はいっ?」


「善は急げだぞ、ミチヨ君。

 どれ、任せなさ~い」


 気持ちのノッてしまったダイヤ先輩は、用紙を手に美術室を出ていった。

 慌てて僕は後を追う。


 なんか、悪い予感しかしないんだけど……


 

 ーーーーーーーーーーーー


 

「何故通せない!」


 生徒会室にダイヤ先輩の怒声が響く。


 部屋の中央には長机が2つぴったり並べて置かれ、

車の付いた事務用椅子が両脇に2脚ずつ置かれている。

 僕らは入って右脇の椅子を勧められていた。


 長机の奥には事務机が2つ並んでいて、ひとつは右壁際、

大きなワープロにそれをカチャカチャ打ち込む眼鏡の女子。

 おそらくは書記だろう。

 もうひとつは長机の延長の正面。

 部屋全体で見て上座の位置。

 そこに座しているのが2年1組、僕のクラスメート。


 山本さとじ生徒会長だ。


「先輩の憤懣やる方ない心持ちは充分理解しております。

 ですが先程も申した通り、新しい部活動に割ける部費が全く無いのです」


 さとじ君は1年から生徒会で実績を上げ、2年生ながらも会長になったキレモノ。

 代表的なのは、2、3学期にやった全校生徒による、周辺地域の空き缶拾いである。

 元々ヤル気の無かった当時の会長を尻目に、企画、実行、後処理と全てを彼が取り仕切ったとの事。

 3学期の時なんか地元紙に連絡して、後日朝刊に載ったりしたもんだから、校長も大喜びだ。

 因みに山本姓はクラスに2人、学年で10人位いるので、下の名前で呼ぶようにしている。


「だから、金の問題ではないのだ!」


 またダイヤ先輩が声を荒らげる。


 カチャカチャカチャカチャ。


「ですから、そういう訳にはいきません。

 正式な部活動には規則がありますので」


 カチャカチャカチャカチャ。


「だから、そんな端金(はしたがね)などいらんと言っておるのだ!

 うちは金持ちだ!

 貴様らに恵んでもらおうなんぞと塵ほども思ってはおらん!」


 カチャカチャカチャカチャ。


 あああああ、またヤっちゃったよ……

 書記が記録してるのに。

 

 会長を見ると、ほんの一瞬口角が上がっていた。

 笑っている?

 でも燐光寺のような嫌な感じはない。


 喜んでいる。


 そう、これがしっくり来た。


「先輩、落ち着いて! 冷静になりましょう」

「私は何時でも冷静だっ! 喧嘩しに来た訳ではないっ」


 ドッカと先輩は椅子に腰を下ろす。


 カチャカチャカチャカチャ。


 とりあえず、ちゃんと話し合おうという意志は残しとかないと。


 ん?

 視線を感じて会長の方をチラと見る。

 目が合った。

 あわててさとじ君は目を逸らす。

 あまりいい表情ではなかった。

 ムッとしていた。


 暴走しかけた先輩を止めたのにムッとされる?

 何故?

 本当は話し合いなどしたくなかった?

 先輩がこの場を台無しにして、はい、おしまい?


 いや、それはない。

 嫌なら、話を延ばさずさっさと追い出せばいいし、

一応受け取って、駄目でした~と後から通達してもいい。

 明らかに会長さとじ君の意図が、何処か別の所にあるのだ。


 僕らが対抗策を出すのを待ってる?

 前回みたいにヒント出したりして?

 いや、前回先輩に対応したのは当時の生徒会長なのかもしれない。

 ヤル気の無い人だったらしいので、さとじ君が仕切ってそうだが。


「すみません書記さん、この議事録みたいなの、去年も取っていました?」


 記録が残っていれば、何か糸口になるかも。


 カチャカチャカチャ……。

 止まった。


「私は書記ではありません」


「え?」


「そうだぞ、ミチヨ君。

 彼女は副会長の三宮(さんのみや)みやこ。

 私の級友のミヤミヤだ」


「ダ、ダイヤちゃん、今はやめて」


 自分のとこは打たないんだ、ワープロ。


「ええと、クニタチ君でしたか?

 まあ、仕方ないわね。

 今生徒会は会長と私の2人だけなので、新人が入るまでは掛け持ちですから」


「ミヤミヤは去年、おととしと書記だったのだ」


「もう!」


 あ、じゃあミヤミヤ先輩に聞けばいいか。


「では副会長、去年の2学期にうちの台矢が申請に来たときは記録してますか?」


「ええ、今の様に。用意します?」


「いえ、先輩が覚えてらしたらいいんですが。

 当時台矢の応対は現会長でしたか? 当時の会長ですか?」


「え? そうね……」

 少しだけ目を上に向けたがすぐに、

「さと、山本会長だったわね」

 と言った。


 やっぱりさとじ君が仕切ってた。


 おかしい。腑に落ちない。


 例えばそう、今回の却下の理由。

 予算が振り分けられないなんて、前回先輩が申請した時と条件は変わらない。

 前回だって予算は出せなかったハズだ。

 何故なら今期の予算編成会議はまだ始まってない。

 予算が決まる直前でも、この対応なのだ。

 じゃあどうして彼は、期待を持たすような言い回しをした?


 まだ分からない。

 何となくは掴みかけてる様な気はするが。

 おそらく生徒会長、山本さとじの思惑が問題なのだろう。


 部の新設は、このキレモノをどう扱うか。

 僕とダイヤ先輩で……

 

 また、悪い予感しかしないんだけど。

 

 

 


 

仲良くさせていただいてる、立倉支さんの作品『君は彼女を好きになれない。』

https://ncode.syosetu.com/n7169do/

に影響されて、日常の学生生活での謎解き、みたいなものに挑戦しようと思います。

うーん、悪い予感しかしない。


読んでいただきまして、ありがとうございます。

次話もどうか、よろしくお願いいたします。


タイトルなんですけど、

「くにたち君は、男好き?」

にしようかなあ、なんて考えています。

ほかにいい案あったら協力お願いします。


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