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23話 えとうなつきのおはなし3

ダイヤ「皆さまには、大変ご迷惑をお掛けしております」

カヨコ「うちのバカKUZ人間がダラダラ話長引かせて」

ダイヤ「さっさと泊まって」

カヨコ「やる事やれってのよ」

ダイヤ「……ラジオ体操とかだよね~カヨちゃん」

カヨコ「あ……当たり前じゃないの~ダイヤちゃん」

ダ&カ「「それでは、健全且つ有益なひとときをどうぞ!」」

カヨコ「補足します。今回もなつき君視点です」

ダイヤ「ごめん、それ一番大事なとこ」


 昼食の影響だと思うが、夕食も遅い時間となった。

 

 2人共そこまでお腹が減ってなく、小腹が空いたくらい。

 そこでミチヨ君は、ジャーに残っていたご飯でチャーハンを作ってくれるとの事。

 一応僕も、また玉ねぎを切ってお手伝い。

 さらにスープづくりを任されてしまった。

 まあ、お湯を沸かして玉ねぎ、コンソメを入れるだけだったけれど。

 仕上げはミチヨ君が卵をクチュクチュって回し入れてくれた。


 チャーハンの具は卵と玉ねぎのみじん切りだけ。

 手際よく作ってくれた。かと思ったら、最後にもうひと手間。

 なんとレタスを入れた。

 サラダにするのかと思ってたら、小さく千切って軽く炒めたのだ。


「完成! さあ食べよう」


 こんなチャーハン初めて食べた。

 シャキシャキした食感が小気味いい。

 そしてフワッと香る、甘い醤油みたいなソースの様な。


「うわあ、何この味、美味しい!」


「ふふふ、これはオイスターソースが効いているのだよ」


「オイスターソース?」


「うちも最近知ったんだけど、牡蠣のソースみたい」


「海の牡蠣? すごーい」


「美味しいでしょ? 

 あんまり使うなって言われてるけど、今日は特別」


「え! そんな悪い……

 ううん、ありがとう。嬉しいよ」


「うん、ありがとう、なつき君」


「なんでミチヨ君がお礼言うの?」


「何となくっ!」


「「あははははは」」


 ああ、楽しいな。

 本当にミチヨ君と一緒だと心地がいい。

 今日は泊まる事にして良かったなぁ。


 さっきうちに電話したら雪姉(ゆきねえ)が出て、泊まるって言ったらびっくりしてたな。

 雪姉だけには前の事、相談してたから。

 そうだった、夜、ミチヨ君から相談があるのかも知れないんだった。


 プルルルルルッ、プルルルルルッ、プルルルル……


 電話の事を思い出してたら鳴ったので、少しドキッとした。


「はいもしもし、国立ですけど。

 ……あ、お父さん?

 ……うん、うん、え? 泊まるの? ホテル?

 ……うん? もう! 妹も弟もいらないからっ!」


 どうやらミチヨ君のお父さんらしい。


「あ、お母さん!

 もう何なの? これでも思春期なんですけど!

 ……うん、酔ってるのはわかるよ。かなりね!」


 明るいご両親だけど、この会話、親からは聞きたくない内容なんだろうなあ。

 ん? という事は……


「え? な、何で今そんな事聞くの?」

(なつき君はそんなんじゃないから!)


 ミチヨ君、小声にしても聞こえてる。


(え? い、居るよ、そばに……ん? うん…………泊まるよ)

「もう! 切るね!」


「ほんっっと、ばか親なんだからっ。

 ごめんね、みっともなくて」


 ミチヨ君は顔を真っ赤にして怒っていた。


「うちの親、今夜は帰らないって」


「そうみたいだね」


「じゃあここ片付けて、僕の部屋……行く?」


 顔を赤らめたままそんな事言われたら、胸がギューとなっちゃうよ。

 だ、駄目だよ。

 僕にはずっと想い続けてる子がいるんだから。

 って、違うでしょーー!


 仲良し、男、友達。仲良し、男、友達。仲良し、男、友達っ。


 そうそう、友達の、うちに、泊まる、だけ。それだけ。


「そ、そうだね。い、行こうかねえ」

 

 僕らはキッチンを片付け、2階のミチヨ君の部屋へと向かった。



 ーーーーーーーーーーーー



「豆球だけ点けててもいい?」


「うん、大丈夫」


「真っ暗って、怖いんだ」


 カチカチと蛍光灯の紐を引いて、ミチヨ君は部屋を薄ぼんやりと暗くした。

 もう11時をとっくに過ぎていたので、自然ともう寝ようかって事になった。

 





 部屋に上がってすぐ、僕はお風呂を先に頂いた。


「寝る時気持ち悪いでしょ。

 さすがに僕のパンツはなつき君が嫌だろうから」


 と、部屋にあるミチヨ君のTシャツとタオルを渡された。

 そんな事ないよとは言えないので、それらと今履いてる短パンを素直に借りる。


 お風呂から上がると、そそくさとミチヨ君は交代した。

 ああそうか、僕の過去に気を遣っているんだ。

 そういう気持ちが嬉しい。

 コタツの上にはお茶を淹れた湯のみが2つ置いてあった。





「あ、起きてた?」


 湯上がりのミチヨ君が、タオルで髪をふきふき入って来た。

 ちょっとダボッとゆったりしたパジャマ姿。

 ほんのりピンクの首筋に、水滴なのか汗なのか数粒光っている。

 

「う、うん。

 べ、ベッド勝手に使っちゃ悪いかなぁと思って」


「あ、ごめんね。

 狭いから僕は、コタツの隙間に布団出して(くる)まって寝ようかと」 


「そんな、僕が下に寝るよ」


「駄目だよ、お客さんをこんな狭いとこ」


「いや、ミチヨ君のベッドに僕が寝るなんて」


「そ、そうだよね、僕の臭いなんか染み着いてそうだし……」

 ……時々ミチヨ君は卑屈な発言をする。


「そんな事ないよ! ミチヨ君ってスゴくいい匂いだよ!」


「!」


 あ! しまった、今なんか大胆な事言った?

 見る見るミチヨ君の顔が、首が、胸元が、ピンクから赤へ変わっていく。


「あ、ご、ごめん、でも、本当に、いい香りだから、僕気にならないよ、ベッドに寝ても」


 あれ? 何で? それ、逆じゃないか?


「プフッ、なつき君、どっちなんだよう」


「そんなあ、これじゃ、どっちも言えないじゃないか……」


 うう、そんないたずらっ子な顔して。

 またぁ、上目遣いで見ちゃダメだろぅ……


 すると、思案の表情を一瞬だけ見せた後、ミチヨ君はこう言ったんだ。


「じゃあ、一緒に寝よっか」



この頃位から、スーパーでもオイスターソースとかオリーブオイルとかを見る様になった。

と思います。

まだまだ高価で、おいそれとは買えませんでしたね。

最近ではガラムマサラやXO醤とか、色々売ってて目移りしちゃう。

まあ、使いこなせないんですが。

特にワインビネガーとアンチョビは絶対無理。とほほ……


読んで頂きまして、ありがとうございます。

次話もどうか、お見捨てなく。

感想、注文、クレーム、何でもどうぞおよせ下さいませ。

ツイッターででもいいですよー。

気楽にどうぞ、よろしくお願いします。

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