第21話「奥様の願いごと」
親愛なるお姉様へ
このお手紙が着く頃には、アマレッティは里帰りできているでしょうか。天候で道が崩れて、ちょっと遅刻してしまいました。剣術トーナメントの最終日には間に合う筈なのだけれど……やっぱりヴァリエ騎士団長が優勝候補でしょうか。またチェルト君の自慢話が聞けそうです。
私は今、馬車の中でこれを書いています。読みにくくてごめんなさい。
アマレッティの変な病気は続いています。
いいえ、きっと進行しています。どうしたらいいんでしょう。最近、不安になる事が多いです。ちゃんとお姉様の言いつけを守っているのに。
お姉様。アマレッティは、ひょっとしてまた間違っていますか。折角お姉様に頼りにされたのに、また失敗してるんでしょうか。
そして私がやっている事は、オルレアン様にとって良くないことなんですか。オルレアン様の足を引っ張っていませんか。
私は馬鹿で、お姉様やオルレアン様みたいに頭が良くなくて、分かりません。そんなこと当たり前なのに、今、それがとても悲しいです。
オルレアン様に肩掛けに刺繍をしているのだけれど、刺繍する言葉は本当にこれでいいのかと、自信が持てません……そちらに着いたらお姉様、これでいいか教えて下さい。
ごめんなさい。大切な事を書き忘れる所でした。
お姉様、オルレアン様が当主の指輪という物を探してらっしゃいます。メディシス王家に預けた物だとお聞きしました。何かご存知ありませんか。
オルレアン様がずっとおうちに帰ってこなかったのは、指輪を探していたからみたいなんです。
とても大切な指輪なので、見つけたらオルレアン様だって一つくらい、お願いを聞いてくれるかもしれません。借金をなしにしてくれるかもしれないです。そうしたら、お姉様も助かりますよね?
それに指輪が見つからないとオルレアン様が帰って来ないんです。このままじゃ私はオルレアン様のことが調べられないし、オルレアン様が一人ぼっちになってしまいます。そんなの、オルレアン様が可哀想です。
だからお姉様、オルレアン様を助けてあげて下さい。
そしてどうか、博覧祭ではオルレアン様と仲良くして下さい。




