Fool
さっと書いては投稿できるよう、とっても短いですがお付き合いいただければ。
『知ってるか?天使ってのはなぁ、性別がないんだってよ。へへ、これ神父様に教えてもらったの内緒だぜ?でもな、おかしいよなぁ。だってこんなベッピンさん女以外ありえねえよ』
今日は朝から雨が降ってた。
地面は濡れてぬかるんでいる。
「クソッタレ」
ザクザクとスコップで土をすくうと掘り返していく。
『愛ってのはなぁ。みんなに権利ってのがあるらしいんだよ。何の権利かわからねえけどよ』
最初っから頭が足りてないのはわかってた。
でもここまでバカだとは思ってなかった。
『俺さ、好きな女ができちまったよ。一目ぼれだぜ?すげぇだろ。誰だって?そんなんいえるわけねえだろ恥ずかしいなぁ』
誰だってよかったよてめえの好きな女なんて興味なんかないからな。
『た、たすけてくれぇ!!なんか怖い男どもに追われてんだ助けてくれよなんでだよこわいよぉ!!』
てめえが誰に手を出そうと好きにすればよかったんだ。
でもてめえはバカだってこと忘れてたんだよ。
手を出したのはクソッタレのボスの情婦だった。
ここらを牛耳ってるクソ野郎の女だ。
そいつの情婦に手を出したやつをかくまえば俺まで殺される。
だから俺は……見捨てた。
『ヒ、ヒィィィィッッ!やだよぉやめてく……ウギャアァァァア!!い”でぇよぉぉお』
一晩中泣き叫んで朝になったら冷たくなっていやがった。
バカ野郎の顔面は焼け爛れ、骨は砕かれてた。
「……クソが。死体を置いていくんじゃねぇ」
そして、今日の仕事になった。
泥まみれになりながら四角い穴を掘りあげると、
雨に濡れた重い麻袋を引きずって持ってくる。
「バカ野郎。死体が重いんだよ」
無造作に放り込むと十字を切り、小さな天使像を投げ入れた。
「望んだベッピンさんだ。せいぜいあの世で楽しめよ」
そして、土をかけていく。
バカ野郎が。
「さよならだ」
今日の仕事は終わり。
泥まみれになった服を脱ぎ捨て、風呂に入って寝た。
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