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俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
決闘編
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第八十五章「終わり」

大牙がいなくなった後、特殊部隊は夕先と飛烏の指揮の元

P2を殲滅する機関として存続することになった。

「お前も、ここに入るか?」

神矢が放心状態の時雨を機関に誘う。

時雨には帰る家もない。

だが、時雨は首を横に振る。

「いや・・・、約束したから・・・」

「ああ・・・」

神矢は時雨と話していた女の子、谷口のことを思い出す。

時刻は夜中の三時。

「始業式なんだったか。その体じゃ無理だろう。

それに全部燃えたんだろ?」

神矢が言うと、時雨の目に涙が浮かんだ。

「あっ、いや、悪い。そういうつもりじゃなかったんだ」

ぶわっと、こらえていた涙が溢れる。

「あああ、悪いって、ホント」

慌てふためく神矢の元へ弘崎が走り寄ってきた。

泣いている時雨を見て、状況を察する。

弘崎はやんわりと時雨を抱き締め、頭を撫でた。

「まあ、あれだ。色々失くしたものも多いだろうけどそれだけじゃないだろ?

そうだ!俺と友達になろうよ!」

その言葉、時雨には聞き覚えがあった。

弘崎の顔を見る。

清々しいほどの笑顔で時雨を見る弘崎。

なぜだか安心した。

「・・・誰がお前なんかと」

「お前っ、可愛くないなあ」

時雨は笑顔になる。

「忘れてたんじゃないんだ、ただ、もう行かないって決めてただけで」

「え?なんの話?」

「俺、時雨っていうんだ。お前の名前は?」

「ん?えっと、優也」

「そっか」

それだけ言うと時雨は歩き出した。

二人がどこに行くのかと聞いたが、時雨は答えずに施設を出て行く。

出口には狐がいた。

「お疲れだな」

「ああ」

「世話を頼まれてる、暫くはうちで過ごしたらいい」

「頼まれてるって、初めから死ぬ気だったのか」

狐は特に何も言わなかった。

狐が歩き出したので、時雨もその後に続く。

「終わったのか・・・?」

「今回の事柄は全て終わりだ。もう敵も味方もいない。

お前は巻き込まれたにすぎない。忘れろ」

「本気で言ってるのか?」

狐は答えない。

それ以降時雨も何も言わなかった。



学校の校門で、制服を風に揺らしながら待つ谷口。

待ち人を見つけると、嬉しそうに手を振った。

「時雨君!」

「谷口・・・」

「わあ、凄い傷。痛くないの?」

「痛いに決まってるだろ」

谷口はそっか、と言って歩き出す。

色々聞きたいことがあったが、時間がないので教室に向かわなくてはならない。

時雨は校門から校舎を眺めた。

「長い、夏休みだったな・・・」

「時雨君!遅れちゃうよ!」

「ああ・・・」

まだ残る夏の暑さに囲まれながら彼の夏休みは終わった。

一夏の思い出にしては随分と壮大な経験をした時雨。

彼にこれ以上の試練が降りかかることはないだろう。


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