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俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
過去編
70/87

第六十九章「別れ」

「まただ・・・」

時雨君は基本的には大人しくて静かな子だった。

だが、気がつくと勝手に抜け出して僕や病院の人を困らせている。

「どこに行っちゃったのかなあ」

最終的には帰ってくるからいいのだけど、

せめて一言くらい言ってから出て行って欲しい。

「ねぇ、嘉也君」

ヒロトが僕を呼ぶ。

あの事故の後、影を処理して病院まで追ってきたはいいものの

猫の姿では中に入れず、窓から入ってきた。

だから少しだけ機嫌が悪い。

「なに?」

「あの子、大丈夫かな」

あの子、とは時雨君の事だろう。

「どうして?」

「いや、なんとなく」

僕は首をかしげる。

何が言いたいのだろう。

そこへ時雨君が帰ってきた。

「ど、どうしたの!?」

時雨君は血まみれだった。

本人は平然とごめんなさいなんて言っている。

「もう退院だっていう時に、これは・・・」

「大丈夫です。痛くないですから」

「いや、そうじゃなくて。取り敢えず血を洗って手当しないと」

ここが病院でよかったと心から思った。

あれだけ血が出ていたのに傷は既に塞がっていて、本当になんともなかった。

やはり彼も能力者なのだろう。

「どこで怪我したの?」

「道で転んだだけです」

「嘘ついてるでしょ」

「仮に嘘だったとしても貴方には関係ありません」

無愛想な子だなぁ。

でもこの怪我は明らかにおかしい。

まさか影に・・・?

「ごめんね」

「どうして謝るんですか」

「気にしないで」

僕はしゃがんで時雨君の頭を撫でた。

「僕、もう会わないって決めたんです」

時雨君は唐突に言った。

「誰と?」

「友達とです」

友達なんていたんだ。

という事は、いつもその友達に会いに行ってたのかな。

「どうして?」

「会えなくなったら辛いから。もういいんです」

この子、学校に入って友達とか出来るのかな。

・・・厳しいかもしれない。

「ねえ、時雨君」

「何ですか、通りすがりさん」

「お婆さんの言う事はちゃんと守らなきゃダメだよ」

「分かってます」

本当かなあ。

この子将来ぐれそうで怖いんだよなあ。

素直な子に育つ事を祈ろう。


結局、彼と別れる時もあっさりだった。

「元気でね」

「はい、お世話になりました」

くらいの会話しかしてない。

きっと大人になったら僕のことなんて忘れてるんだろうな。

成長した彼に会いたい気もするけれど

僕は街に住んでるから会う確率は低そうだ。

「さて、帰ろうか」

猫のヒロトに話しかけると猫は小さく鳴いた。


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