第五十章「誰かと誰かの喧嘩」
気がつくと俺は椅子に縛り付けられていた。
しかも腕には何か得体の知れない薬が点滴されている。
状況を確認するため辺りを見回したが、わかったことと言えば
壁と天井があるくらいか。
この無駄に広い空間に一人ぽつんと座らせておくとは
新手の嫌がらせだろうか。
いや、そんなこと言っている場合ではない。
まずはこの椅子から脱出しなければ。
この得体の知れない点滴も怖い。
やばい薬打たれてるだろこれ。
「ちっ、力じゃ無理だな・・・」
何の武器がいいだろう。
手首が椅子の肘掛に固定されているためナイフは使えない。
銃も、俺の腕が駄目になりそうなので無理か。
槍でいけるか?
取り敢えず短めの槍を作って手のロープを地道に切っていく。
手首痛い。
ロープにささくれが増えてきたので力一杯引き千切る。
今度は切れた。
もう片方の手のロープも取り、点滴を外す。
よし、逃げよう。
そう思ったが、世の中そんなに甘くなかった。
「何処へ行く」
「まぁ、そうですよねぇ」
男が、入り口から入ってきた。
「まさか、逃げようなんて思うとは。
薬が効いてないのか」
「やっぱやばい薬だったって事か」
「面倒な奴がいるものだ。やはり、殺すしかないか」
そう言って相手が攻撃の体制をとったので身構える。
その時、神矢総監督が入ってきた。
「大牙、準備が出来た」
え、大牙って、首領の?
こんな人だったの?
「おっと、もうそんな時間か」
神矢総監督と目が合った。
なんだかいつもと雰囲気違うな。
「そいつは、確か研二のとこの」
「あぁ、反逆者だ」
「・・・今はそれどころじゃない。牢屋に入れておけばいいだろう」
「確かにそうだな。任せたぞ」
そう言うと男は部屋を出た。
「行くぞ」
神矢総監督が俺の腕を掴み何処かへと連れて行く。
まぁ、辿り着いたのは牢屋なんだけど。
「この中では力は使えない。無駄な体力は使わないことだな」
「俺、殺されるんすか?」
「・・・行い次第だろう」
やっぱり、神矢総監督の雰囲気がいつもと違う。
こう、なんていうか
神矢さんに似てる?
「今日、何かあるんですか」
「あぁ、沢山の人を巻き添えにした喧嘩が始まる」
「え?」
「大人しくしておけよ」
それだけ言うと総監督はその場を去った。
喧嘩って、誰と誰の?
考える時間は沢山ある。
少し、頭を使ってみるか。
俺が牢屋に入れられて何時間か経った。
外はもう夜だろうか。
明かりがついてるから時間の感覚がないなと思っていた矢先
電気が消えた。
この施設に消灯時間なんて存在しない。
「停電だ」
こんなに真っ暗な空間は初めてだ。




