第三十九章「パートナー」
日誌は机の引き出しにしまった。
ちゃんと鍵を掛ける。
「どうしよう、流石にこの人を探すのは骨が折れそうだ」
誰かに聞くにも誰に聞けば良いものか。
頭を悩ましているとノックが聞こえた。
「弘崎、いるか」
「はい!います」
急いで扉を開ける。
扉の前には神矢さんが立っていた。
「あ、神矢さん。どうしたんですか」
「どうしたって、いつも来てるじゃないか」
「あ、あぁ!もうそんな時間・・・」
俺とこの人はいわゆるパートナーというやつで
一緒にP2を倒しに行く。
優しくて良い人なんだけど、実力はそこまでない。
と言っても俺よりは強い。
「準備出来ました!」
「じゃあ行こうか」
特殊部隊の制服は軍服に似ている。
見た目に反して軽い素材で出来ていて
動きやすいよう工夫されている。
神矢さんは武器を作るのが苦手らしく常にショルダーを
持ち歩いている。
あの中には色んな武器が入っているらしい。
「最近増えましたよね、P2の数」
「そうだな、被害も増えてる。頑張らないとな」
日誌の内容を思い出す。
神矢さんには言っても良いだろうか。
「神矢さんはP2の名付け親の事知ってます?」
「名付け親?さぁ、父さんなら知ってるかもしれないけど」
神矢さんの両親は部隊の幹部。
一度だけ会ったことがあるが、神矢さんとは似てない。
いや、顔は確かに似ているが雰囲気が全然違う。
夕先さんともまた違った怖さがある。
神矢さんはそんな両親を苦手に思っているらしい。
「あ、あとあの人なら知ってるかも」
「あの人?」
「俺に色々教えてくれてた人がいるんだ。
あの人はなんでも知っているから、名付け親も知ってそう」
「そんな人がいるんですね」
神矢さんの師匠かぁ。
凄い人なんだろうな。
「その人は何処にいるんですか」
「分からない。行方不明なんだ」
神矢さんの顔が陰る。
あ、地雷踏んだかも。
「そうなんですか!いやぁ、俺も会いたかったなぁ!」
「良い人だよ。でも俺嫌われてるから」
「そ、そうなんですか・・・」
この人ネガティブ思考だからなぁ。
「なんかごめん」
「いえいえ、そんな・・・」
その時、嫌な気配がした。
神矢さんも顔つきが変わる。
「きたな」
「呼びます」
ポケットから笛を取り出し鳴らす。
犬汽笛のようなものだ。
仕組みはよくわからないがこれを鳴らすとP2が寄ってくる。
しばらくしてP2がわらわらと集まってきた。
「来ましたね」
「ぱぱっと片付けるぞ」
神矢さんはショルダーから銃を二丁取り出した。
俺も槍を創り出す。
弾をいちいち作るのが面倒なのでこういった近接武器にしている。
「神矢さんそっちの方お願いします」
「了解」
数はざっと五匹。
すぐに片がつくだろう。
槍を振り回してP2を狙う。
「一匹目っと」
もう一匹のP2は空中飛行していた。
俺はジャンプ力なんてないので槍を投げる。
「よーし、二匹目」
次の的を探そうと思ったら、P2は既にいなくなっていた。
「終わったな」
「流石神矢さん!」
「雑魚だったからな」
そう言いながらショルダーに銃をしまっていた。
かっこいいなぁ。
「帰ろうか」
「あ!俺チョコアイス食べたいです!」
「なんで奢らなきゃいけないんだよ」
グーで小突かれた。
いつも愚痴をいいつつも買ってくれる神矢さんは
やっぱり優しい。
「弘崎、俺はこれでいいのかな」
「え?」
「いや、なんでもない。アイス買いに行こう」
神矢さんは足早に歩き出した。




