表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
先生と生徒編
37/87

第三十六章「雨の日は用心を」

また、雨が降った。

今回の雨は止む気配がない。

そのせいか先生は部屋から出てこようともしないので

俺は一人傘を持って歩き回っていた。

雨の日に好き好んで散歩をする様な奴は少ない。

時折カッパを着た子供とその親がいるくらいで

後は人の姿を見られない。

雨の音だけが轟々と響く。

確かに、雨は嫌だな。

あてもなく歩いていると、猫が、俺の前に出てきた。

雨宿りの場所でも探しているのだろうか。

俺はなんとなく近づいてみる。

人馴れしているのか逃げようとはしなかった。

「猫に傘を貸すなんてどこの少女漫画だよ」

とは言いつつ俺は猫の上に傘をかざした。

「飼い猫じゃないな」

それにしては随分懐っこい奴だ。

俺がそばに寄ってもピクリとも動こうとしない。

触っても逃げないのだろうか。

俺は猫に手を伸ばす。

すると、思いっきり引っ掻かれた。

「いってぇ・・・、触られるのは嫌なのかよ」

指先から血が出る。

随分本気で引っかかれたものだ。

俺が傷口を見ていると、猫が立ち上がった。

普通に言ったが、普通ではない。

猫が二足歩行なんてするわけがない。

俺は咄嗟に傘を投げ捨て後ろへ下がる。

その時、猫は姿を変え黒い影と成り果てた。

「やっぱりか・・・」

この間のP2といい、こいつらには擬態能力があるみたいだ。

P2はしっかりと俺を見て笑った。

「雨は好き、晴れは嫌い。今日は雨」

「俺は雨は嫌いだ」

「それはなにより」

P2はニヤリと笑うと、虎に姿を変えた。

「そんなのもありなのかよ・・・」

一つ吠えてP2は動き出す。

スピードは多分虎並み。

目で追えはするが反撃が難しい。

飛びかかってくるP2を避けながら気づいた。

今日は手ぶらだ。

それは武器がないことを示す。

想像力の欠けている俺にはリボルバー銃なんて作れない。

どうしたものかと悩んでいた時、足元が滑った。

「しまったっ!」

その隙にP2が襲い掛かってきた。

避けれない、だが防御はできる。

俺は手を前に突き出した。

その時、P2が吹き飛んだ。

おかしい、俺は今何もしていなかった。

周りを見渡す。

すると、見覚えのある人が立っていた。

「雨降る日は化け物が増える、しかし人も減る。

だからそんなに警戒はいらないと思っていたんだがな」

狐が刀を片手に近づいてきた。

「何をしている、こんな日に。濡れたいお年頃か」

「雨の日に出歩くぐらいいいだろ」

「まぁ、止めはしない。だが、用心はすべきだろう」

それに関しては何も言えなかった。

銃を忘れたのは痛い。

「お前のせいで濡れてしまった」

「あ、すまない・・・」

あれ、この人元から傘さしてなかったよな?

「あの馬鹿はいるのか?」

「馬鹿?先生の事か。ここにはいない。

今日は部屋から出てこないんだ」

「そうか、じゃあ邪魔することにしよう」

そう言って、狐は喫茶店まで着いてきた。


喫茶店は暗く、先生がいる気配はなかった。

まだ部屋にこもっているのだろうか。

「タオル、使うだろ」

「ありがとう」

狐にタオルを渡したが、大して濡れている様には見えなかった。

俺はびしょびしょなので着替える。

「あの人、まだ寝てるのかな」

「一度も姿を見てないのか?」

「あぁ」

一応声は掛けたが、今日はお休みとダルそうに言っていただけだ。

「ふむ、まぁ雨だしな」

どうやら雨が嫌いなのは昔かららしい。

「あいつの部屋は?」

「二階の奥だけど」

そうか、と言うと狐は階段を登って行った。

何をするのだろうかと追いかけていくと、

先生の部屋の扉をノックもなしに開けた。

「おい、来てやったぞハゲ」

「うわっ、びっくりした」

先生は驚きのあまり机の上の本をことごとく落とした。

寝ていなかったんだな。

先生は慌てて机の上を片付ける。

何をしていたのだろう。

眼鏡をつけている。

片付け終えると、こちらを向いた。

「まず、僕はハゲてないし。人の部屋に入るならノックくらいしてよ」

「なんだやましい事でもしてたのか」

「いや、別にそうじゃないけど・・・」

先生はため息を吐く。

「下に行こう。紅茶出すよ」

そう言って先生と狐は部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ