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俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
先生と生徒編
35/87

第三十四章「スーツ」

先生が、スーツを着ていた。

スーツと言っても黒ではない。

いつもの格好と似た感じのものだ。

「そんな物珍しそうに見ないでよ」

「いや、物珍しかったから」

「なんか傷つくなぁ」

そう、ネクタイを締めながら言った。

若干苦しそうにしている。

「どこか行くのか」

「いや、柊にもらったんだ。

新しく作ったいわゆるバトルスーツってやつ?」

急に安っぽくっ感じたのは何故だろう。

バトルスーツという響きのせいか。

「どんな機能がついてるんだ?」

「涼しい」

「は?」

「いや、だから涼しい」

二度言わずとも分かってはいる。

「それだけ?」

「それだけ」

少しでも期待した俺が馬鹿だった。

靴の時のように何かあるのかと思ったら

涼しいだなんて、予想外だよな。

いや、凄いことには凄い。多分。

「あ、冬は暖かいって!」

「・・・凄いな」

まぁ、便利ではあるな。

「ほら、僕基本長袖でしょ?

暑いんだよねぇって愚痴ったら作ってくれたんだ」

長袖をやめればいい話ではないのだろうか。

そんなに火傷跡見られるのが嫌なのか。

「時雨君も何か言ったら作ってくれるかもよ。

彼暇だから」

暇なのか。

まぁ、暇じゃなければ作れないか。

「って、実は時雨君のもあるんだけどね」

そう言って服を差し出してきた。

まじか。

「え、着ろってか?」

「折角だし着てみなよ」

なんか嫌だな。

渋々服を受け取り広げてみる。

シャツとネクタイ、ズボンそれにベストと一式揃っていた。

着るだけ着てみる。

「似合ってるじゃん」

「・・・これの機能ってまさか」

「うん、涼しい」

ですよね。


「時雨君、今日は走るよ」

相変わらず意味のわからない一言から授業が始まった。

今朝もらった服を着ての授業だが、なんだか恥ずかしい。

「そうか、走るのか」

「僕に着いてきてくれればいい」

そう言うと、先生は準備体操を始めた。

俺も一緒に準備運動をする。

「さて、時雨君。僕に着いてこれるかな」

「そういう感じか」

先生の隣に立つ。

「準備はいい?」

「あぁ」

「行くよ?よーい」

どん。という言葉と共に先生が走り出した。

かなり早い。

しかし、追いつけないスピードではない。

「うん、出だしはまずまずだね」

そう言って更にスピードを上げたかと思うと

塀に飛び乗った。

「まじかよっ」

「ただ走るだけじゃ面白くないでしょ」

塀から電柱へ、電柱から電柱へ。

まるで忍者のごとく駆け抜けていく。

最近靴に慣れてきたばかりで距離感を掴めず

何度か落ちそうになったが、今の所先生を見失ってはいない。

ある程度走った所で先生は電柱からくるりと回りながら

飛び降りた。

俺も後を追って飛び降りる。

その時、俺の横を風が切った。

一瞬にして先生を見失う。

「み、見えなかった・・・」

「驚いた?」

振り向くと先生が楽しそうに笑っていた。

「今のが最高時速。時雨君もそのくらいは出せるよ」

「へぇ、そりゃ凄いな」

「目が慣れれば見えるようになるよ」

慣れって凄いな。

なんでも習うより慣れろ精神だからなぁ、この人。

「大分使いこなせてるね」

「あんたの特訓のおかげだな」

「おぉ?時雨君がそんなこと言うなんて嬉しいなぁ」

褒めると調子に乗るタイプだからな。

「じゃ、今日は終了。帰ろうか」

「ああ」

月明かりに照らされる道を歩く。

明日もきっと晴れるだろう。


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