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俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
先生と生徒編
31/87

第三十章「雨」

「しーぐーれーくーんー」

机に伏せて俺の名前を呼ぶ人物を無視して開店の準備をする。

「今日はお休みにしようって言ったのに」

「煩いな、駄々をこねるなよ」

俺が叱咤すると先生は子供のようにバンバン机を叩いた。

「だって雨だよ、時雨君」

そう、この人が拗ねている理由はただ一つ。

雨だ。

夏休みに入って初めて雨が降った。

俺は少し涼しくていいくらいだと思うのだが

先生はよほど雨が嫌いらしく、今朝からずっとこんな感じだ。

「雨の何がいいのさ。ジメジメしてるし濡れるし

おまけに頭が痛くなる。悪い事ずくめだよ」

「我儘言うなよ。雨は降るもんだ」

「嫌いなものは嫌いなのさ」

先生は嫌々立ち上がってエプロンをつける。

どうせ雨の日はお客さんが少ないだとかぶつぶつ文句を言いながらだが。

そんなに嫌がるかと思うくらい嫌そうにしている。

まぁ、確かに雨の日はいい気はしないが。

「はぁ、雨だ・・・」

「先生、雨はいつか止むんだ。

寧ろ楽しむべきだと思わないか」

「お、いい事言うねぇ」

思わないけど。とボソッと言って机に伏してしまった。

俺は握った拳を緩めて溜息をつく。


先生の言った通り客はほとんどこなかったのだが

こんな日に限って一番来て欲しくないような奴が来た。

「時雨君お久しぶり!でもないか。元気ー?」

遠藤が笑顔で手を振る。

俺は取り敢えず一発殴った。

「いたっ!何すんの!?」

「すまん、ムカついてつい」

「理不尽ー」

遠藤は殴られた頬を撫でながら席についた。

「紅茶下さいな」

「はいはい」

先生が重々しい動きで準備をする。

誰から見ても機嫌が悪い事は一目瞭然だ。

遠藤は空気を読むスキルを持ち合わせていないらしく

次から次へと話しかけていく。

先生は嫌そうにしつつも話を聞いていた。

「マスターさんってなんでも出来て凄いですよね。

弱点とかないんですか?」

「弱点かぁ、なんだろう。なんだと思う時雨君」

俺に振らないでほしかった。

「病気くらいしか知らないな」

適当に返事をすると遠藤がわざとらしく驚いてみせた。

「えぇ!マスターさん病気なんですか!」

「え、うん、まぁ・・・」

「大丈夫ですか?なんか症状とか」

先生が若干引いている。

「心臓の病気なんだ。でもそんな大した事はない。

ちゃんと薬も飲んでるしね」

「その薬って副作用とかあるんですか」

そんなことが気になるのか。

遠藤は本当に気になって聞いているのか、それとも

ただの話題として聞いているのかよく分からない。

「聞いてどうするの?」

「これでも僕医学系を目指してるんです!」

「それは意外だな」

俺が言うと、遠藤は酷いなぁと言って笑った。

「副作用はそんなにないんだ。ただ、眠気がね。

だから飲むのは週一にしてるんだ」

「へぇ、それは大変ですね」

そう言いながらも遠藤は笑っていた。

心配とか毛ほどもしてなさそうだな。

「遠藤君は苦手な事とかあるのかい?」

「僕ですか?」

遠藤は顎に手を当て考えるポーズをとった。

「まず泳げないのと、足が遅いのと、あと虫が苦手ですね!」

「運動音痴そうだもんな」

「えへへ、否定できないなぁ」

遠藤は照れるように笑った。

なんだこいつ。

「時雨君は何かあるの?」

突然振られて変な声が出た。

「俺は、火が苦手だな」

「意外!怖いもの知らずっぽいのに」

「それは、事故のせいかい?」

先生が控えめに聞いてきた。

事故のせいなのかどうかは分からない。

「どうだろうな。本能だろう」

「人間も動物ですからねぇ」

遠藤がバカにするかのように笑ったので取り敢えず殴っといた。

「いたた、あ、雨上がりましたね」

その言葉に外を見ると、雨は止んでいた。

「時雨君の言った通りだ」

先生はそう言ってニコリと笑った。


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