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俺と先生のフリースクール  作者: 影峰 柚李
先生と生徒編
3/87

第二章「授業開始」

何か変わったかと聞かれれば、特に何も変わってない。

先生と名乗るアホの生徒になったからと言って

俺の学校生活に支障が出るわけでもない。

いつも通り授業を受けいつも通りお昼を食べ、いつも通り帰る。

そのはずだったが、少し変わったことがあった。

帰る準備をしていると、女の子に声を掛けられた。

「時雨君、相談に乗って欲しいんだけど」

俺に友達がいた記憶なんてないし、ましてや女の子なんて、名前も知らない。

「ごめん、無理。というか、誰?」

「時雨君にしか相談できないの!お願い!」

「いや、だから無理だって。これから行くとこあるし。

てか本当誰だよ。初対面だろ」

「同じクラスの、谷口(たにぐち)萌梨(もえり)。お願い、話だけでも聞いて!」

若干涙目になりつつ彼女は訴えてきた。

初めて話す俺にしか相談出来ないというのは変な話だ。

聞くだけ聞いてやるのもいいかもしれない。

「分かった、付いて来いよ」

「ありがとう・・・」


俺は谷口を連れて先生の営む喫茶店へと来た。

店内は誰もいなく、客が来ていた様子もない。

俺が呼びかけると、奥から大きな箱を持った先生が出てきた。

「お、時雨君。彼女かい?隅に置けないねぇ」

「違う、今日初めて会った」

「そう、お茶淹れてあげるよ。好きにしてて」

荷物を持ったまま、先生はまた奥へと消えていった。

俺と谷口さんはカウンター席へと座った。

「で、話って?」

「えっと、怒らないでね。

うちのお父さんよく何もないところを見て変な顔したり、

急に驚いて転んだりしてて、時雨君も、よくそういうところあるから、

何か分かるんじゃないかなって」

「分かるって、何が?」

「お父さん、昨日から帰ってこないの。

連絡もないし、なにかあったんじゃないかなって・・・」

「はい、紅茶」

空気の読めない先生が紅茶とお茶請けを持って現れた。

ヒロトも知らん顔でカウンターで寝ている。

まぁ、そんなことはどうでもいい。

谷口の言うとおり、お父さんはきっと俺と同じだったに違いない。

能力持ちの一般人。

そう考えると、彼女のお父さんはP2におそわれたか。

いや、そうとは限らない。

「君名前は?」

先生が紅茶を飲みながら谷口に聞いた。

まったく、空気の読めない人だ。

どこまでも自由人だな。

「え、えぇと、谷口です・・・」

「谷口・・・、あぁ!もしかして慎也(しんや)の娘さん?」

「知り合いなんですか⁉」

谷口さんが食い気味に先生に尋ねた。

「知ってるよ、一緒に学校に通ってたし、一緒に学年最下位に居座ってたし」

最下位だったのか。

「彼はセンスがなくてね、

P2を倒す力がないから特殊部隊に入らず一般的な暮らしを選んだんだ」

「P2?」

谷口さんは難しい顔をして悩んでいた。

そういえば、彼女の親が能力者なら彼女も能力者なのではないのだろうか。

「彼は所詮見える程度だったし、知らなくても当然かもね」

「それじゃあ、彼女のお父さんはP2に?」

「その可能性はある。でも仮にもあの学校の卒業生だ。

生き延びる術を彼は知ってるよ」

でも最下位だったんだよな・・・。

大丈夫だろうか。

「あの、お父さんは・・・」

「なんとも言えない、君にできることは信じて待つことだけだ」

「そう、なんだ・・・」

「力になれなくてすまない」

先生は申し訳なさそうに言った。

俺から彼女にかけてやる言葉はないだろう。

できることも、多分ないだろうな。

「まぁまぁ、気を落とさないで。彼はきっと生きているさ。

今は君らに危害が及ばないようにどこかに隠れているんだ。

出張程度に思っておくといいよ」

「ありがとうございます・・・、時雨君に相談して良かった」

彼女は少し気が晴れたような顔で喫茶店を出て行った。

これで良かったのだろうか。

「慎也には色々世話になったからなぁ」

「あんなこと言って、本当に死んでいたらどうするんだよ」

「生きてるよ」

「なんで分かるんだ」

「僕には分かる。それだけの話」

それ以上は聞かなかった。どうせ時間の無駄だろう。

「そうだ、最初の授業として彼を探しに行こうか!」

「探すって、アテがあるのか?」

「あるというか、見つけ出すんだよ。君がね」

「は?」

こうして一時間目の授業が始まった。


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