第二十二章「知らぬが仏」
「凄いですね!まるで魔法使いだ!」
そう言ったのは遠藤だ。
俺は遠藤を連れ喫茶店へと戻った。
そこには既に先生がいて、色々説明してもらうに至る。
先生の話を聞きながら遠藤はずっとこんなテンションだ。
谷口以上に明るい。
いや、うるさいと言うべきだろうか。
「まぁ、一通り話したかな」
「じゃあ僕にもできるんですか!」
なんだか若干嬉しそうなんだが。
しかし、先生は首を横に振った。
「いや、これは得意不得意があってね。
今まで認識することさえ出来なかった君には
多分使いこなせないと思う」
「そうなんですか・・・」
物凄く落ち込んだ。
感情豊かな奴だな。
「じゃあ僕はこれからどうしたらいいんですか」
「どうって、普通に生活してればいいんじゃないかな。
目を合わせなければ彼奴らも気づかないわけだし」
ね、時雨君。と振られたので、頷いておく。
俺自身十八年間死なずに生きてこれたしな。
「そんなの無理ですよ!」
遠藤は目を見開く。
「なぜ」
「だって、そんなのがいたら見たくなるじゃないですか」
ちょっと拳に力が入ったが、抑える。
あの先生でさえ苦笑いをしている。
「それじゃあ、こうしようか」
そう言って先生はお守りのようなものを取り出した。
「なんですか、それ」
「お守りさ。彼奴らから君を守ってくれる」
遠藤にお守りを手渡す。
「いいんですか!」
「うん、でも徐々に効力が落ちちゃうから
彼奴らに会ってもあまり見てちゃダメだよ」
初耳だな。
そんなものがあるのなら俺も欲しいが。
「本当ですか!ありがとうございます!」
遠藤は嬉しそうにお守りを握りしめた。
俺は先生に近づいて小声で話す。
「なぁ、あれって・・・」
「勿論、ただのお守りだよ。
そんな効果は一切ない」
やっぱりか。
無邪気に喜ぶ遠藤が虚しく見える。
「それで、遠藤。お前、親とかいるのか?」
「え?勿論いるよ」
先生に後ろから肩を叩かれた。
そしてまた、小声で言う。
「時雨君、彼は多分能力者じゃない」
「え、じゃあなんでP2が見えたんだよ」
「それは、よく分からないけど
これから先、彼がP2を見ることも少ないと思う。
だから、ここは上手く言いくるめた方がいい」
言うと、先生は笑顔になった。
「お守りがあるからといって、外をあまり出歩かない方がいい。
夜の外出は控えるんだよ」
「分かりました!」
遠藤はすっかり騙されている。
まぁ、それでいいなら止めはしない。
「どうでもいいことなんだが、お前、年幾つだ」
「僕は十五歳だよ、君ヶ浦高校一年生!」
同じ学校じゃねぇか。
休み明けに見つかったら大変そうだな。
まぁ、学年は違うし、会うこともないか。
「時雨君と同じ学校なんだね」
言うなよ、と視線を送る。
見てないふりをされた。
「へぇ、先輩だったんだ!
あ、じゃあ僕敬語使った方が・・・」
「そんなところに気遣いはいらない」
お言葉に甘えて、と遠藤が笑った。
なんかやっぱ敬語使わせたい。




