第二十章「四時間目 防衛術」
最近では、日々の練習の成果か
弾丸が前より大分簡単に作れるようになった。
それでも先生には遠く及ばないのだが。
先生はマガジン(弾倉)に直接装填しているらしく
リロードがいらないのだとか。
見えない部分を想像するなんて俺には出来ない。
まだまだ特訓が必要だろう。
「時雨君、今日は久々に授業やるよ!」
いつも通り唐突に言われた。
そんなに久しぶりという訳でもない気がするが。
「今日は新しい事を教えるから、気合い入れてね」
なんとも気合いが入らない言葉だと思う。
「時雨君、今日は防衛術だ」
「はぁ」
取っ組み合いの中で何度か指導されたような気もする。
「君は、刃物を素手で止めようとは思わないでしょ?」
「まぁ、そりゃな」
「P2の攻撃から身を守る時、素手だと貫通するから
粒子で止めようって授業」
成る程。
確かに、避けきれない時もあるだろう。
「また、弾丸の時みたいに盾を作るって事か」
弾丸を作るのにやっと慣れてきたばかりだというのに
瞬間的に盾を作るなんて無理だろうな。
「違うよ、流石に瞬発力に思考はついてこない」
こうするのさ。と言いながら、先生が俺に掌を向けた。
すると次の瞬間、俺は後ろに吹っ飛ばされた。
「なっ!なんだ!?」
「今のが今日やる事ね」
だから、やる前に一言言って欲しいと。
急に吹っ飛ばされたら何をしたのか分からない。
「で、具体的には」
「時雨君、ちょっと僕を殴ってみて」
言われた通りやる。
すると、俺の拳は先生の手前で止まった。
まるで壁に遮られているかのようだ。
「僕は今、全力で君の攻撃を拒絶している」
「拒絶?」
先生がスッと避けると、壁がなくなったかのように拳が通った。
「そう、今回は自分自身の粒子じゃなくて空気中の粒子を使うんだ」
「どうやるんだ?」
「磁石の性質は分かるよね、同じ極同士は反発しあう。
それと同じで、空気中の粒子を拒絶する。
普段は力を集めるだろ?今回は逆をするんだ」
今の説明で原理はなんとなく理解したが、
根本的なやり方が伝わってこない。
つまりどうすればいいのか。
拒絶と言われても困ってしまう。
「なんかこう、来るなー!みたいな」
なるほど、分からん。
「まぁ、取り敢えずやってみようか」
そんな感覚的なことをどうやって練習するのかと思っていたら
いきなり先生が殴りかかってきた。
あ、そういうこと。
分かり易くて結構だな。
「避けないで、受け止めるんだ」
「そんなこと言われて、ぐはっ!」
先生の拳が見事俺の顔面にヒットした。
「ちょ、ちょっと、たんま・・・」
顔を上げると、第二撃目が飛んできていた。
来るなっ!と思いながら、目を閉じた。
「そうそう、いい感じ!」
先生の声に目を開けると、拳が俺の目の前で止まっていた。
「お、おぉ・・・」
「後は慣れだよ」
いつも慣れだと言われている気がする。
取り敢えず、今日は一発で済んだみたいだ。
ふぅ、とひと息ついた。
「あ、気を抜くと・・・」
いきなり、拳が俺の顔面に直撃した。
「気を抜くと、こうなるから気をつけてね」
「あ、はい・・・」
それは早く言って欲しかった。




